○格言でこじつける安全衛生活動

エンペドクレス・筍子・アンブローズ・ビアスの格言をこじつける

entry-592

格言を使って、安全関係の小話にしていくシリーズです。
朝礼やミーティングなどで、使えたらいいなと思います。

私にとっては、エンペドクレスはあまり馴染みがなかったのですが、格言としては使えると思いピックアップしました。

  エンペドクレス(古代ギリシャの哲学者) の格言
必要なことは二度でも言うがよい
【解釈】

記憶に残すためには、繰り返し刷り込まないといけません。
大切なことを頭にいれるためには、一度や二度言ったくらいではダメです。

安全の大切さ、事故防止についても何度も何度も繰り返し言って、習慣になるくらいにする必要があります。

エンペドクレスは古代ギリシアの自然哲学者です。この時代の哲学者としてはソクラテス、プラトン、アルキメデスなどが有名です。
エンペドクレスは、物質は火、水、土、空気からなり、この4つの元素が集まったり、離れたりした構成されているという四元素説というのを提唱しました。

何となくファンタジー系の設定の元祖のような説に感じます。

さて、エンペドクレスのこの格言は、とても大切なことを言っています。

人間の記憶は、よほどのことがないと、一度見聞きしただけでは、残りません。かなりのものが忘れ去られます。
もし一度見聞きしただけで記憶できるならば、試験勉強なんて不要です。

試験勉強は、いかに記憶を定着させ、引き出せるかがキモになります。
記憶の定着のためには、繰り返しインプットするしかありません。一説には、勉強し学んだことは翌日には30%くらいまで低下するとか。そのため一度勉強したことは、翌日にもう一度復習することで記憶率が高まるそうです。

事故を防ぐために指導をすると思いますが、何度か言っただけでは、作業者には伝わりません。ましてや行動にも反映されません。指導の直後は、改善されてもしばらくすると元の木阿弥です。

一貫した指導やメッセージを、しつこく続けること。
安全指導の王道は、続けることにあるのです。

  筍子 の格言
道近しといえども、行かざれば至らず。
【解釈】

簡単だ、すぐにできると思っているだけでは、何にもなりません。

安全対策なんて、やろうと思えばすぐにでもできるから、その内やろうと、後回しにしていると、いつまでも変わりません。
そして、そんな時に事故が起こったりします。

すぐに取り入れ、出来そうなことも、思うだけでは、何にもならないのです。

人の価値観には様々な切り口がありますが、その1つに「性善説」か「性悪説」という見方があります。
「性善説」は孟子の説で、「性悪説」がこの格言の主、荀子の説です。

「性善説」は何となくイメージがつきやすいでしょが、誤解されやすいのは「性悪説」です。
「性悪説」は「人間の本性は悪である」というのではありません。この場合の「悪」とは、「弱い心」「易きに流れる心」といったものでしょうか。人は放っておくと、欲望のままに動いてしまうから、教育と礼儀が大切さを説いています。

「性悪説」については、以前のエントリーが書いていますので、こちらもご覧ください。

安全管理は「性悪説」で。

そんな「性悪説」の荀子の言葉です。

簡単ですぐにできそうなことであっても、思っているだけでは、変わりません。
実際やって初めて、変化が生まれます。

机の上を片付けるのなんて、すぐできると思い、放置しているというのはないでしょうか。
また、ゴミを集積所まで捨てに行くのを面倒くさがっていると、部屋の中がごみ袋でいっぱいになってしまいます。

これらはほんのちょっとした作業です。でもやらないと変わりません。

作業場で安全帯を使用する、作業前に危険箇所を確認する、作業前に役割を決め、手順を確認するなどは、大きな機械を購入したり、抜本的な構造改革を必要としません。
割りとすぐに導入したり、出来ることです。そして事故防止に効果も期待できます。

その程度なら、すぐに導入できそうと思える安全対策も多数あるでしょう。
しかし思っている間に事故が起こることもあります。
事故が起こってから、「あの時こうしておけば」と後悔しても遅いのです。

あれこれ考えるよりも、実行してしまうのが早いこともあるのです。

  アンブローズ・ビアス の格言
家庭――最後の頼みの綱として語れる場所。24時間営業中。
【解釈】

事故や病気で、家庭に帰れなくなるのは悲しいことです。
家庭は24時間、あなたの帰りを待っています。

事故は、最後の頼みの綱を手放してしまうものなのです。

アンブローズ・ビアスはアメリカのジャーナリストだそうです。名前に薄っすら記憶があったので、調べてみたら「悪魔の辞典」の著者ですね。
「悪魔の辞典」は通常の辞書のように、用語の解説をしているのですが、その解説は皮肉いっぱいのユーモアにあふれています。

悪魔の解説を収めたコラン・ド・プランシーの「地獄の辞典」とは、名前は似ていますが、全く別物です。 (「地獄の辞典」の系列だと思って、手にしたら全く違ってがっかりした記憶が、あるわけですが。)

そんなビアスの家庭についての言葉です。

安全管理の原点は、このブログのタイトルの通り、毎日無事に帰宅することだと思います。
事故は死亡した場合はもちろんのこと、怪我で入院となっても帰宅できなくなるものです。
家庭は24時間、あなたを迎えてくれますが、一時的にせよ事故その関係を壊してしまいます。
手術、入院となると帰りたくても帰れません。

もし死亡する事故ともなると、永遠に帰れないどころか、あなたと家族が当たり前に思っていたものが絶たれます。

ほんのちょっとした気の緩みが、そのような事態を引き起こすこともあるのです。

家庭を大事に思うのならば、自分を大事に思う。
それがまず最初の家庭への貢献ではないでしょうか。

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