墜落・転落○事故事例アーカイブ

クレーン点検中に転落死 川崎のJFEスチール(神奈川県川崎市)

entry-529

工場や倉庫では、重く大きな材料や部品、製品を移動させるために、クレーンやフォークリフトなどを使用します。材料や製品の中には、数百キロ、数トンになるものも少なくないので、とてもじゃないですが、人力で運ぶのには限界があります。

工場や倉庫などで使用されるクレーンには、天井クレーンが多いのではないでょうか。天井クレーンには、床の上でコントローラーで操作するものをよく見ますが、中には天井に操作室が付属しているものもあります。
これはかなり大きな物を運ぶのに適しています。

しかし天井クレーンに付属しているのですから、操作室があるのは天井です。工場などの天井は非常に高いです。操作室はかなりの高所に位置しているのです。この時気をつけなければならないのは、操作室から墜落することです。数十メートルの高さから落ちると、命に関わることになるのは言うまでもありませんね。

川崎市のJFEスチールで、天井クレーンの操作室の点検中に墜落するという事故がありました。
状況を見てみると、かなり怖い状況だなと思いました。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

クレーン点検中に転落死 川崎のJFEスチール (平成28年1月13日)

13日午前9時40分ごろ、川崎市川崎区のJFEスチールの製鉄所で、同社社員の男性がクレーンの操縦室(高さ約20メートル)付近から転落、地面で頭を強く打ち死亡した。川崎臨港署は、何らかの原因でクレーン操縦室前の床が抜けたとみて、業務上過失致死容疑を視野に調べている。

同署によると、男性は工場の設備をメンテナンスするクレーンを同僚と2人で点検していた。同僚が音に気付くと、操縦室前の床が外れてぶら下がっており、男性が下に倒れていたという。

神奈川新聞

この事故の型は「墜落・転落」で、起因物は「クレーン車」です。

この事故は、クレーン設備のメンテナンス中に起こりました。
高さ20メートルの高さにあるクレーンの操作室の床が抜け、墜落したのでした。とても予想外の事故でしょう。思いもよらなさ過ぎて、対応も出来なかったのではないでしょうか。

なぜ操作室の床が抜けたのかは、今後捜査で明らかになるでしょうが、事前に異変があったのかが気になるところです。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

この原因は、クレーン操作室の床が抜けたことです。床板を固定するネジが外れていたのか、破損していたのかは不明ですが、これを防げなかったことが、一番の問題と言えそうです。

とはいうものの、まさかの出来事であったことには、間違いありません。
そのまさかが起こったのですから、それを防ぐ手立てはなかったのかと、考えてみる必要はありそうです。

まず高所作業なので、床のある場所ではあるものの安全帯などの使用や、墜落や落下物の防止ネットを張るなども必要もしれません。

またメンテナンスの作業を行うにあたって、事前にどのように作業を進めるのか、どんな危険があるかを検討しておく必要があったのではないでしょうか。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

メンテナンス作業での危険について、検討がされていなかったこと。
安全帯などの墜落防止する対策がなかったこと。
まさかの事故について予想がなかったこと。

3つ目はちょっと厳しいですけれども、実際に事故が起こったことを考えると、原因となるのではないでしょうか。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

事故は起こったものの、JFEなど大きな会社では、安全管理はしっかりされているはずです。

今回起こった事故は、事前に床に異常があったことを知っていないと、対応しようがなかったかもしれません。仮に床の異常を把握していたのに、何ら対策がなかったのなら、作業の進め方に問題があったといえそうです。

メンテナンスでは、異常がないかを確認しますが、事前に現場の声として、異常箇所があるかを聞いておくことも大事です。

また天井クレーンのように高所の機械のメンテナンスでは、安全帯などの保護具も重要です。
普段作業者が入り込まない場所もチェックするのですから、その対応は必要ではないでしょうか。

安衛則などでは、安全に作業を進める上での規則がまとめられています。しかし事故はいつも同じパターンだけで起こるものではありません。全く予想外のことが起こることもあります。法を守っているだけでは、全ての事故は防げません。

法の規制を超えた、安全対策が必要になってきます。その方法としてリスク・アセスメントがあります。事前に作業内容とリスクを検討し、対応策を考えておくと、より危険に対する備えになります。

対策をまとめてみます。

メンテナンスでは事前に異常個所の有無を確認する。
高所作業では、安全帯などの墜落対策を行う。
リスク・アセスメントを行う。

メンテナンスはいつもと違う仕事です。そのためいつもと違う危険があり、いつもと違う安全対策が必要なのです。
時には予想しないことも起こります。
リスク・アセスメントなどのリスクについて考え、備えることは、全部ではありませんが、ある程度の危険を避けさせます。

KYなどと合わせ、普段からいかに危険を考えるかは、いざという時み身を守る可能性を上げてくれるのです。

コメント

  1. 田邊経夫 より:

    私は、25年鳶職をしています。現場で何十人も足場からの墜落を目にしてきました、墜落の根本的な理由は、安全帯の未使用によるものです。現在の安全帯フックは昭和の時代からほぼ形状は変わらず、安全帯使用率を上げることには繋がっていないのが現状です、私は、次世代足場なら安全帯器具を兼ね備えた安全安心の人が、落ちても必ずヒューマンエラーを起さず重大災害を無くす器具を作りたいと思います。現在は自作の器具と仮設ユニットがありますが、実用化するには専門家からの意見などを聞きたいのですが、どの様にすれば良いですか。ご連絡をお待ちしています。

    1. itetama より:

      こんにちは。
      コメントありがとうございます。

      墜落災害をなくす器具というのは興味深いです。
      どの程度お力になれるかはわかりませんが、
      より詳細な内容をお伝えいただけるのであれば、
      メールにてご相談いただければと思います。
      私のメールアドレスは、自己紹介のページにございます。
      自己紹介のページ

    2. itetama より:

      こんにちは。
      コメントありがとうございます。

      墜落災害をなくす装置というのは、非常に興味深いです。
      どの程度お力になれるかはわかりませんが、
      もしご詳細があるようでしたら、メールでお送りいただけるとありがたいです。

      私のメールアドレスは自己紹介のページにございます。
      自己紹介

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA