○安衛法と仲良くなる高所作業・足場

通路と足場 その9。 作業構台の注意

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作業構台は、斜面から張り出したステージのことです。

十分な作業スペースや材料置き場が取れない時、ステージを作り、その上で作業します。

設置する場所は、河川や山の傾斜部、崖、谷などがあります。

分かりやすくイメージするならば、プールの飛び込み台が、ものすごく大きくなったものです。

この作業構台は、足場と並んで条文が並んでいます。
材料や構造は似通っていますが、しかし足場とは少し異なります。

足場は下から上への組み上げて行きますが、作業構台は水平方向に組んでいきます。
もちろん支柱などは地面から建てるので、構造は足場と似通っています。
材料は、ショベルカーやダンプなども仕事ができるようにと、鉄骨を用いることが多いです。

そうなると、横に張り出す、ものすごく頑丈な足場が作業構台とも言えますね。

作業構台も、その上で人や機械が仕事をするわけですから、丈夫でなければなりません。

そのための基準も、足場同様定めれられています。

作業構台の規定にについては、足場に引き続き、安衛則にまとめられています。

【安衛則】

第11章 作業構台

 

(材料等)
第575条の2
事業者は、仮設の支柱及び作業床等により構成され、
材料若しくは仮設機材の集積又は建設機械等の設置
若しくは移動を目的とする高さが2メートル以上の設備で、
建設工事に使用するもの(以下「作業構台」という。)の
材料については、著しい損傷、変形又は腐食のあるものを
使用してはならない。

2 事業者は、作業構台に使用する木材については、強度上の
  著しい欠点となる割れ、虫食い、節、繊維の傾斜等が
  ないものでなければ、使用してはならない。

3 事業者は、作業構台に使用する支柱、作業床、はり、大引き等の
  主要な部分の鋼材については、日本工業規格G3101
  (一般構造用圧延鋼材)、日本工業規格G3106(溶接構造用圧延鋼材)
、   日本工業規格G3191(熱間圧延棒鋼)、日本工業規格G3192
  (熱間圧延形鋼)、日本工業規格G3444(一般構造用炭素鋼鋼管)
  若しくは日本工業規格G3466(一般構造用角形鋼管)に定める規格に
  適合するもの又はこれと同等以上の引張強さ及びこれに
  応じた伸びを有するものでなければ、使用してはならない。

作業構台で使用する材料は、丈夫で、破損や腐食がないものを使用しなければなりません。

木材を使う場合は、割れや虫食いがあるものを使用してはいけません。
鋼材もJIS等の規格をクリアしたものを使用します。

足場の材料でも同じでしたが、材料は使用前に必ず基準に適合しているか、状態はどうかということは確認しましょう。

(構造)
第575条の3
事業者は、作業構台については、著しいねじれ、たわみ等が
生ずるおそれのない丈夫な構造のものでなければ、
使用してはならない。

材料だけではありません。
構造も丈夫でなければなりません。

丈夫な鉄骨を使っていても、鉄骨の組み方が悪く、乗ったら崩れてしまったというのでは、安心して作業ができませんね。

(最大積載荷重)
第575条の4
事業者は、作業構台の構造及び材料に応じて、作業床の
最大積載荷重を定め、かつ、これを超えて積載してはならない。

 

2 事業者は、前項の最大積載荷重を労働者に
  周知させなければならない。

使用する材料や構造によって、最大積載荷重は異なってきます。

そのため、最大積載荷重を定めて、これを超えてはなりません。

事前に荷重計算は行い、全員が分かるように掲示するなどして、周知する必要があります。

(組立図)
第575条の5
事業者は、作業構台を組み立てるときは、組立図を作成し、
かつ、当該組立図により組み立てなければならない。

 

2 前項の組立図は、支柱、作業床、はり、大引き等の部材の
  配置及び寸法が示されているものでなければならない。

丈夫な構造とするためには、事前に組立図を作成し、組立図に従って部材を取り付けていきます。

型枠支保工でも、組立図を必要としますが、決して崩れない、壊れない、揺れない構造とすることは、作業床に機械を載せるためには、大切なことなのです。

(作業構台についての措置)
第575条の6
事業者は、作業構台については、次に定めるところに
よらなければならない。

  1)作業構台の支柱は、その滑動又は沈下を防止するため、
   当該作業構台を設置する場所の地質等の状態に応じた
   根入れを行い、当該支柱の脚部に根がらみを設け、敷板、
   敷角等を使用する等の措置を講ずること。

  2)支柱、はり、筋かい等の緊結部、接続部又は取付部は、
   変位、脱落等が生じないよう緊結金具等で堅固に固定すること。

  3)高さ2メートル以上の作業床の床材間の隙間は、
   3センチメートル以下とすること。

  4)高さ2メートル以上の作業床の端で、墜落により労働者に
   危険を及ぼすおそれのある箇所には、手すり等及び中さん等
  (それぞれ丈夫な構造の設備であって、たわみが生ずるおそれがなく、
  かつ、著しい損傷、変形又は腐食がないものに限る。)を
  設けること。
 

2 前項第4号の規定は、作業の性質上手すり等及び中桟等を
設けることが著しく困難な場合又は作業の必要上臨時に手すり等
又は中桟等を取り外す場合において、次の措置を講じたときは、
 適用しない。


  1)要求性墜落制止用器具を安全に取り付けるための設備等を設け、
   かつ、労働者に要求性墜落制止用器具を使用させる措置又はこれと同等以上の
   効果を有する措置を講ずること。

  2)前号の措置を講ずる箇所には、関係労働者以外の
   労働者を立ち入らせないこと。

3 事業者は、前項の規定により作業の必要上臨時に手すり等
  又は中桟等を取り外したときは、その必要がなくなつた後、
  直ちにこれらの設備を原状に復さなければならない。

4 労働者は、第2項の場合において、要求性墜落制止用器具の使用を命じられたときは、
  これを使用しなければならない。

作業構台は、丈夫な構造でなければなりません。
そのためには、しっかりと満たさなければならない決まり事もあります。

満たさなければならないことは、次のとおりです。

1.支柱は動いたり沈んだりしないように、根入れや根がらみ、敷板などで固定する。

2.支柱やはり、筋交いの接続は、確実に行う。

3.作業床を並べておく場合、隙間は3センチ以下とする。

4.作業構台の端では、作業者が転落しないように、手すりや中さんを取り付ける。
 もし手すりを付けるのが困難な場合は、要求性墜落制止用器具が付けられるようにする。

作業を行っている間は、常に正常に機能するよう作り上げる必要があるのです。

平成27年7月法改正部分について、追記です。
条文中の赤字が、追加部分です。
これは第552条の変更と同様になります。
第552条は仮設通路でしたが、作業構台でも同じということですね。
 
原則として、第1項第4号で、墜落防止設備の取り外しは、臨時でも行ってはいけないとしています。
 
しかし、どうしても手すりなどを外さなければ作業ができない場合は、必要な措置をとらなければなりません。
 
その措置は、安全帯(要求性墜落制止用器具)を着用できる設備を設けること、関係者以外立ち入らせないことです。
安全帯が着用できる設備とは、親綱などですね。作業者は当然、安全帯を着用しなければなりません。
 
また、手すりなどを取り外しているのは、一時的なものとし、用件が終われば、すぐに元通りにします。
 
あくまでも、手すりなどの墜落防止設備が取り外されているのは、イレギュラーで、臨時の場合のみということです。
原則としては、取り外さないことを徹底するのが、この法改正の狙いです。
(作業構台の組立て等の作業)
第575条の7
事業者は、作業構台の組立て、解体又は変更の作業を行うときは、
次の措置を講じなければならない。

 

  1)組立て、解体又は変更の時期、範囲及び順序を当該作業に
   従事する労働者に周知させること。

  2)組立て、解体又は変更の作業を行う区域内には、
   関係労働者以外の労働者の立入りを禁止すること。

  3)強風、大雨、大雪等の悪天候のため、作業の実施について
   危険が予想されるときは、当該作業を中止すること。

  4)材料、器具、工具等を上げ、又は下ろすときは、つり綱、
  つり袋等を労働者に使用させること。

作業構台の組立は、作業主任者選任要件ではありませんが、それでもしっかり現場を管理し、指揮する人が必要になります。

その点において、足場の組立と変わりありません。

足場組立、解体と同様に、作業者の危険がないように作業を進めていく必要があります。

1.組立や解体の時期や方法、順序などを作業者に周知し、理解させる。

2.関係者以外は立入禁止とする。

3.大雨や強風の悪天候時には作業を中止する。

4.道具や材料を上げ下ろしする場合は、つり綱やつり袋を使用する。

作業構台が完成したら、手すりなどである程度は安全設備ができますが、作業中はありません。

十分に注意して作業することが大切です。

(点検)
第575条の8
事業者は、作業構台における作業を行うときは、その日の作業を
開始する前に、作業を行う箇所に設けた手すり等及び中桟等の
取り外し及び脱落の有無について点検し、異常を認めたときは、
直ちに補修しなければならない。

 

2 事業者は、強風、大雨、大雪等の悪天候若しくは中震以上の
  地震又は作業構台の組立て、一部解体若しくは変更の後において、
  作業構台における作業を行うときは、作業を開始する前に、
  次の事項について、点検し、異常を認めたときは、直ちに
  補修しなければならない。

  1)支柱の滑動及び沈下の状態

  2)支柱、はり等の損傷の有無

  3)床材の損傷、取付け及び掛渡しの状態

  4)支柱、はり、筋かい等の緊結部、接続部及び取付部の緩みの状態

  5)緊結材及び緊結金具の損傷及び腐食の状態

  6)水平つなぎ、筋かい等の補強材の取付状態及び
   取り外しの有無

  7)手すり等及び中桟等の取り外し及び脱落の有無

3 事業者は、前項の点検を行ったときは、次の事項を記録し、
  作業構台を使用する作業を行う仕事が終了するまでの間、
  これを保存しなければならない。

  1)当該点検の結果

  2)前号の結果に基づいて補修等の措置を講じた場合にあっては、
   当該措置の内容

足場と同様、作業構台も常に安全に使用できるよう点検が欠かせません。

点検は、その日の作業前と大雨や強風、大雪などの悪天候後、もしくは中震以上の地震の後に臨時で行います。

点検の内容は、足場と似通っていますが、損傷や腐食、部品が外れていたり、緩んでいたりするのを確認します。

目で見ただけでは緩んでいるのは、分からないので、手で揺すってみたりすることも大事です。

もし点検で異常や不具合があれば、すぐに修理や補修などの対応しましょう。
放置していると、それが原因で事故や崩壊になりかねないので、見つけたらすぐに対応が大事です。

点検を行ったら、必ずチェックシートなどの記録簿に記録しましょう。

記録は、少なくとも作業構台が解体されるまでの間は保管しなければなりません。

工事であれば、検査書類として必要でしょうから、少なくとも竣工までは保管になりますね。

作業構台は、張り出した部分に設ける、人と機械が作業するステージです。

足場のような構造ですが、機械も載るので、非常に強度を必要とします。

一歩間違えれば、機械もろとも谷底に落ちていってしまうのですから、しっかりとしたものでなければなりませんね。

まとめ。

【安衛則】

第575条の2
作業構台の材料については、著しい損傷、変形又は腐食のあるものを使用してはならない。
第575条の3
作業構台については、著しいねじれ、たわみ等が生ずるおそれのない丈夫な構造のものでなければ、使用してはならない。
第575条の4
作業構台の構造及び材料に応じて、作業床の最大積載荷重を定め、これを超えて積載してはならない。
第575条の5
作業構台を組み立てるときは、組立図を作成し、組み立てなければならない。
第575条の6
作業構台については、材料や構造が適合したものでなければ、使用してはならない。
第575条の7
作業構台の組立て、解体又は変更の作業を行うときは、必要な措置をとらなければならない。
第575条の8
作業構台における作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、点検し、異常を認めたときは、直ちに補修しなければならない。