安全衛生教育

全国安全週間ということで、県の安全大会に参加しました。

毎年7月1日から7日は、全国安全週間です。そして6月はまるごと1ヶ月が、その準備期間となります。

全国安全週間は各事業場で安全について考える機会です。
安全大会や安全教育などの企画も集中する時期です。

私がお世話になっている、仙台の安全教育センターでも依頼が殺到し、非常な繁忙期に突入していました。
私自身、パトロールや研修だけでなく、安全大会で講演の機会も頂きました。

安全大会では、会社の上層部の方に安全についてお伝えすることができる機会です。
安全衛生の責任は、第一に事業者にあります。
だから、上層部が安全の大切さを再認識する機会は大事だと思うのです。
何かしらの施策に反映されるならば、尚更良しです。

さてそんな機会の全国安全週間に、兵庫ゼロ災・リスクアセスメント推進大会参加してきました。

大会での講演では、兵庫労働局の安全課長のお話、事例発表として三菱重工業パワードメイン、森長組の安全衛生活動の取り組みについてのお話がありました。

いずれも興味深いものでしたが、各講演の印象に残った点を紹介します。

index_arrow 兵庫労働局 製造業の事故減少と残留リスク

労働局は県内の災害についての傾向についての内容でした。
注目すべきは、製造業の死亡災害の多さです。平成28年は兵庫県での死亡災害は13件で、ワースト1位です。

この状況を改善するため、こんなリーフレットを配布されています。

「製造業死亡重篤災害防止運動」リーフレット

最後のページに、「労働災害棒自主点検表」があります。
これは死亡災害を分析し、特に問題点のあったトップ10の項目になります。
自社のチェックに役立ちます。

また、リスクアセスメントについて。
大きな事業場では、リスクアセスメントを実施しているところは多いです。しかし残留リスクについての対処までは及んでいないようです。
今後の課題は、残留リスクに対する管理となるでしょう。

index_arrow 三菱重工業パワードメイン兵庫 BBSO活動

事例発表をされた、三菱重工業さんの取り組みで注目したのは、BBSO活動というものでした。

三菱重工業
三菱重工業  神戸造船所

BBSO(Behavior Barsed Safety Observation) は、ヨーロッパの原油プラント等?で行なわれている取り組みだそうです。

簡単に言うと、「災害が起こる前に、事故の可能性のあるものに対して対処する」というものです。
災害の可能性の大小や、怪我の大小に関わりなく、作業場で「ここ危険だよね」「もしかすると危ないかも」を洗い出し、対処することです。

ヒヤリハットとは逆の発想です。
ヒヤリハットは「事後」です。何かしらの事故が発生し、災害(怪我)にならなかったことに対して、処置をするものです。

BBSO活動のポイントは「事前」です。

例えば、鉄板の厚みが2センチあり、そこに足を躓かせる可能性があるならば、対処するというものです。現時点で、つまづいた人がゼロでもやります。

三菱重工業さんは、BBSO活動で洗い出された危険性に対して、90%以上対処されているそうです。
未対処のものは、予算がかかったりするので、少し実施に時間がかかるものなのだそうです。

この活動のポイントは、以下にボトムアップの仕組みを作り上げるかといえます。
ある種、トヨタのカイゼンと共通するものがあるといえそうです。

index_arrow 森長組 現場とトップの一体活動

もう1つの事例発表は、南あわじ市に本社を持つ森長組さんです。

森長組

森長組さんは、海洋土木では国内トップクラスの会社といえます。もちろん海だけでなく、陸上での工事も多々実績をお持ちです。

私は宮城県に行くことが多いのですが、いくつかの会社で森長組さんについて耳にしました。森長組さんは東日本大震災後は三陸沖まで駆けつけ、震災復旧・復興作業に尽力されたそうです。同じ県内の者として、そのような話を聞かせていただくことは、嬉しく思いました。

森長組さんの安全活動の取り組みでは、技術力と安全が融合したものといえます。
海上での杭打ちは、周りが海なので、危険を伴います。安全に作業するため開発された工法もあり、これは高い技術力があってこそのものといえます。

また、安全管理としては法令基準+αの、自主基準ルールを設けているとのことです。
例えば、グラインダーを使用する際に使用するヘルメットはフェイスシールドが付いているものとするなどです。
アメリカでは、フェイスシールド+保護メガネを使用することとなっていたはずです。

Eye and face protection

その基準に近い運用をされていると言えます。

また、安全衛生パトロールでは経営トップの方も巡視されるそうです。
これはトップの人に現場を見てもらうことで、現場とトップの意識を合わせる効果があります。
大きな会社になるとトップが回ることは少なくなりますが、安全は事業者責任ということを考えると、大事なことといえます。

この後にあった杉本先生の話にもありましたが、安全衛生は、無過失責任です。
災害が発生した時点で、その責任は事業者にあります。安衛法でも、ほとんどの条文は「事業者は~しなければならない。」との構造となっています。

事故・災害を防ぐ責任は事業者にあるのだという意識を再認識するためには、経営トップが現場を見て、実情を知ることが大事といえるでしょう。
森長組さんの取り組みは、大事な取り組みといえます。

個人的な立場で加えると、労働安全コンサルタントなどの外部パトロールなんてのも加えるといいかもしれませんよ。
県内(他道府県も!)には優秀で濃いコンサルタントの方が、多数いらっしゃいますので。(もちろん私もコンサルタントなのですが)

日本労働安全衛生コンサルタント会兵庫支部

三菱重工業さんのBBSO活動や森長組さんの安全活動の取り組みも、特別講演の杉本旭先生の話にも共通するものがありました。

NPO安全工学研究所

杉本先生の情熱と想いの溢れるお話は、非常に学ぶことが多いものでした。

これは別の記事で紹介したいと思います。

全国安全週間は今日で終了ですが、あくまでも安全を考える機会です。
活動は継続することが大事なのは言うまでもありませんね。

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