有機則○安衛法と仲良くなる

有機溶剤取り扱い時の規則。その7

屋内で有機溶剤を使用するに当たっては、第5条などに従い、発生源を閉じ込める、または局所排気装置等を設置しなければなりません。

これらの設備で、作業者が有機溶剤に接触したり、吸引するなどを防止します。

この時設置する設備は、何でもいいというものではありません。
一定の性能や設置方法などがあります。

性能や設置方法について、有機則に規定があります。

【有機溶剤中毒予防規則】

第3章 換気装置の性能等

(局所排気装置のフード等)
第14条

事業者は、局所排気装置(第2章の規定により設ける局所排気装置をいう。以下この章及び
第19条の2第2号において同じ。)のフードについては、次に定めるところに
適合するものとしなければならない。

 1)有機溶剤の蒸気の発散源ごとに設けられていること。

 2)外付け式のフードは、有機溶剤の蒸気の発散源にできるだけ近い位置に設けられていること。

 3)作業方法、有機溶剤の蒸気の発散状況及び有機溶剤の蒸気の比重等からみて、
  当該有機溶剤の蒸気を吸引するのに適した型式及び大きさのものであること。

2 事業者は、局所排気装置のダクトについては、長さができるだけ短く、ベンドの数が
  できるだけ少ないものとしなければならない。

局所排気装置は、ピンポイントの場所を強力な吸引力で吸込み、排気する設備です。
吸込み口は、有機溶剤の蒸気発生源のすぐ側に置きます。

いわば、蒸気発生源付近に、掃除機のノズルを当てているものだと思ってください。

吸い込む範囲や面積は狭いですが、その分吸引力が強くなります。

局所排気装置は、有機溶剤などの化学物質を取扱う作業では、エース的な役割になります。

この局所排気装置ですが、設置にあたっては、いくつかの基準に適合しなければなりません。

基準は次の通りです。

1.有機溶剤の蒸気の発散源ごとに設けられること。

2.外付け式のフードは、有機溶剤の蒸気の発散源にできるだけ近い位置に設けられていること。

3.作業方法、有機溶剤の蒸気の発散状況及び有機溶剤の蒸気の比重等に対して、
  適した型式及び大きさのものであること。

また、吸い込んでから排出するまでのダクトにも注意を払う必要があります。
あまりに距離が長かったり、曲がっている箇所が多くなると、吸い込む力が弱くなります。

そのため、なるべくダクトは短く、曲がりを少なくなるよう設置しなければなりません。

(排風機等)
第15条

事業者は、局所排気装置の排風機については、当該局所排気装置に空気清浄装置が設けられているときは、
清浄後の空気が通る位置に設けなければならない。
ただし、吸引された有機溶剤の蒸気等による爆発のおそれがなく、かつ、ファンの腐食のおそれがないときは、
この限りでない。

2 事業者は、全体換気装置(第2章の規定により設ける全体換気装置をいう。以下この章
  及び第19条の2第2号において同じ。)の送風機又は排風機(ダクトを使用する全体換気装置については、
  当該ダクトの開口部)については、できるだけ有機溶剤の蒸気の発散源に近い位置に設けなければならない。

局所排気装置で吸引された蒸気などは最終的に、排風機を通って屋外に排出されます。

このとき発生した蒸気をそのまま排出してしまうと、有害な成分により環境や周囲の住民に被害を出してしまいます。
また排風機のファンなどが蒸気に晒されることにより、腐食したり、場合よっては引火することによって火災や爆発になることもあります。

排風機と空気清浄装置の取付けについても決まりがあります。

局所排気装置の排風機は、空気清浄装置が設けられている時は、清浄後の空気が通る位置に設けなければなりません。

ただし、蒸気が排風機のファンを腐食させたりしない場合は、空気清浄装置の前に設置するのも可能です。

また全体換気装置、いわゆる換気扇は、局所排気装置に比べ吸引力が格段に劣ります。
そのため、送風機や排風機などは、なるべく発生源に近くに設置します。

距離が離れると、蒸気が拡散するので、吸引効率が悪くなるのです。

(排気口)
第15条の2

事業者は、局所排気装置、プッシュプル型換気装置(第2章の規定により設けるプッシュプル型換気装置をいう。
以下この章、第19条の2及び第33条第1項第6号において同じ。)、全体換気装置又は第12条第1号の排気管等の
排気口を直接外気に向かって開放しなければならない。

2 業者は、空気清浄装置を設けていない局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置
  (屋内作業場に設けるものに限る。)又は第12条第1号の排気管等の排気口の高さを屋根から
  1・5メートル以上としなければならない。ただし、当該排気口から排出される有機溶剤の濃度が
  厚生労働大臣が定める濃度に満たない場合は、この限りでない。

排気装置で、局所排気装置以外によく設置されているものが、プッシュプル型換気装置です。

プッシュプル型換気装置は、送風機と排風機がセットになっているもので、常に一定の方向に気流を起こすものです。
常に一定方向に空気が流れるので、発生した蒸気も気流に乗って、排気される仕組みです。

局所排気装置に比べ、広範囲に発生する蒸気を効率よく排気されるます。
ただし、設備が大掛かりはなります。

局所排気装置、プッシュプル型換気装置が2大エースで、全体換気装置は控えという考えることができます。

これらの排気、換気装置は、排気口を直接外気に向かって開放しなければなりません。

空気清浄装置を設けていない換気装置は、排気管等の排気口の高さを屋根から1.5メートル以上としなければなりません。
とはいうものの、有機溶剤の濃度が厚生労働大臣が定める濃度に満たない場合は、この限りではありません。

まとめ。

【有機溶剤中毒予防規則】

第14条

局所排気装置のフードは、基準に適合したものとする。

第15条

局所排気装置の排風機は、空気清浄装置が設けられているときは、清浄後の空気が通る位置に設けなければならない。

第15条の2

局所排気装置、プッシュプル型換気装置、全体換気装置の排気口を直接外気に向かって開放しなければならない。

コメント

  1. 通りすがりですいません。 より:

    第十五条の二 空気清浄装置を設けていない換気装置は、排気管等の排気口の高さを屋根から1.5メートル以上としなければなりません。とありますが一階建ての屋根の1.5m以上という解釈でいいのでしょうか?3階建ての場合、その建物の3階屋根から1.5m以上なのでしょうか?

    1. itetama より:

      コメントありがとうございます。

      屋根から1.5メートルは、階数に関わらず1.5メートルという解釈でよいと思います。
      1階建ての場合は1階屋根から1.5メートル、3階建ての場合は3階屋根から1.5メートルです。

      ただし、1階建屋で排気する場合、隣接する建屋に排風が流れ込むなどの場合は、排気口の位置や向き、高さなどの検討は必要になるかと思います。

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