○ショートストーリー”猫井川ニャンのHH白書”

猫井川、丸のこ盤から木っ端を打ち放つ

こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。

index_arrow 第119話「猫井川、丸のこ盤から木っ端を打ち放つ」

「今後の予定はどうでしょうか?」

猫井川は、野虎がいる現場事務所に行くと、今後の予定を聞きました。

「そうね。今のところは予定通り進んでいるよ。
 だから、最初渡した工程表の予定でいける。」

野虎は工程表を見せながらいいました。

「それじゃ、来月の後半くらいから、外構に行けますね?」

「多分そうなるかな。」

「準備してきますよ。」

「頼みます。現場も結構進んだけど、見てきた?」

「少しだけ。」

「まだ、建物の外壁だけど、これから内装に入っていくからね。」

「現場から離れている内に、かなり進みましたね。」

「毎日見てると、代わり映えしないけどね。
 ここに詰めるのも飽きてきたよ。」

「野虎さんは泊まりですから、なおさら飽きますよね。」

「宿周辺の食い物屋は、全部行ったよ。」

「そうですか。」

「今度、飯でも行こうか。」

「はい。お願いします。」

こうして事務所を後にし、現場の確認に向かうのでした。

作業現場は、猫井川たちが明け渡してから、大きく様変わりしました。

猫井川たちは、基礎土工を終えて、引き上げました。
今はその基礎の上に、5階建てのコンクリートの建物が立っていたのでした。

建物は、まだコンクリートの打ちっ放しの状態です。
内装も、外壁の塗装や防水もされていない状態でした。

大きな作業は終わったので、外構工事も取り掛かれそうになっていたのでした。

「帰って、また工程組むかな。」

こうして、猫井川は久しぶりの現場を去っていったのでした。

事務所に帰ると、犬尾沢が机に座って書類を作っていました。
猫井川に気がつくと、

「現場はどうだった?」

と聞きました。

「順調でしたよ。予定通りみたいです。」

「そうか。次はいつから行くんだ?」

「来月の後半くらいですね。」

「工程表を作ってくれ。」

「わかりました。」

「それはそれとして、今日は悪いんだが、コンパネを捨てるから、まとめておいてくれないかな。
 少し切って、小さくしておいてくれよ。」

犬尾沢の指示で、猫井川は、資材置き場に向かうのでした。

資材置き場の一角には、使い終わったコンパネが山積みになっていました。
コンパネは何度か使い回したりしますが、限度があります。

ここにはもう使い回せないものばかりが集められていたのでした。

大きさはマチマチです。
中には、クギが刺さっているものも多々あります。

「やっていくか。」

猫井川は、丸のこを持ってくると、一定の大きさに切りそろえていくことにしました。

簡単な作業台を作り、その上に受台を起きました
コンパネを受台に1枚づつ載せると、丸のこで切っていきました。
こうして、どんどん切っていきます。

中にクギがあれば、抜いて切っていきます。
切ったコンパネはトラックの荷台に載せていきました。

ある程度、荷台がいっぱいになると、トラックでゴミ捨て場に運んでいくのでした。

コンパネを何枚も切っていくと、細かい木片が作業台の上に残ったりするのでした。

この作業を何度か繰り返したときでした。

猫井川が丸のこで切っているときでした。

突然、カーンと乾いた音がしました。
そして何かが前方に打ち出されていったのでした。

驚き、スイッチを止めると、丸のこを置き、打ち出されたものが何かを見に行きました。

それは小さな三角形の木片でした。
どうやら丸のこの歯に引っ掛かり、打ち出されてようなのでした。

木片が当たったと思しき棚を見てみると、木くずがくっついているのでした。
なかなかの勢いで当たったようでした。

もし人がいたら。
猫井川は軽くぞっとするのでした。

そして改めて作業台を見てみると、そこには木片が多数落ちてます。

猫井川は作業台の上の木片をまとめて、トラックに放り込む、また切断作業に戻ることにしたのでした。

index_arrow ヒヤリ・ハットの補足と解説

今回は丸のこのヒヤリハットですね。

丸のこは作業台を使います。
地面に加工物を置いた状態で切ると、無理な姿勢になるので、反発を起こしやすくなります。

作業台を使っても、その上があまりに散乱した状態だと、切れ端や木っ端が丸のこの歯に接触してしまいます。
とはいうものの、歯の出し代が適切であれば、ほとんど問題ありませんが、必要以上に出していると、当たる可能性が高くなります。

それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。

ヒヤリハット 丸のこの歯が木っ端に接触し、打ち出した。
対策 1.作業台の上を片付ける。
2.丸のこの出し代を適切にする。

丸のこの歯の出し代は、加工物の厚さより、2〜3ミリ程度です。
あまりに出しすぎると、反発の原因になるので注意です。

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