○ショートストーリー”猫井川ニャンのHH白書”

牛黒、サンダーの跳ね返りにおののく

こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。

index_arrow 第118話「牛黒、サンダーの跳ね返りにおののく」

今は忙しさの狭間で、牛黒は少し現場からあぶれていました。
担当する工事のスタートを切っているのですが、まだ準備段階で、現場事務所すら立っていません。
とにかく、社内外の細かな仕事を見つけては、それをやるという日が続いているのでした。

そんな暇を持て余している牛黒でしたが、今日は別の会社が行っている建築工事のヘルプに向かうことになったのでした。

現場に到着すると、

「おはようございます。
 今日はよろしくです。」

現場監督が挨拶してきました。
牛黒は挨拶を返すと、

「今日は何をするの?」

と聞きました。

「これからコンクリート壁の塗装があるんですけど、塗装の工期があんまりないんです。
 それなのに塗装屋の入が早まらくて。
 それで、壁の下地をする時間がなくて。

 牛黒さんには、壁のサンダー掛けをお願いしたいんです。」

また、そういった仕事か。
しばらく建物の補修工事が続いていた牛黒は、心の中で少しため息をつきました。

「屋内だけ?屋外も?」

「とりあえず、屋内だけです。」

部屋を見渡すと、かなりの広さです。
1日や2日で終わりそうにありません。

「何日までに終わらせればいいの?」

「塗装屋が来週から来るのです、今週中に。」

3日しかありません。

「結構頑張らないとだね。
 明日はもう1人連れてこないと。」

「すみません。お願いします。」

かなり大変な仕事になりそうですが、とりかくやるしかありません。

「じゃあ、頑張ってやりますよ。」

と言って、車からベビーサンダーを持ち出してきました。

電工ドラムを引っ張ってくると、ベビーサンダーを簡単に点検しました。
今使っているサンダーの歯は、しばらく替えていません。そろそろ交換してもよいのでしょうが、目で見た様子では、ヒビなどはなさそうでした。

点検をしたら、ケーブルを電工ドラムにつなぎ、試運転をしました。
妙な音や振動もなさそうです。
ひとまず、ベビーサンダーは使えそうです。

試運転も問題なさそうなので、ゴーグルと防塵マスクを着け、早速コンクリート壁の凹凸を削っていきました。

コンクリート壁はコンパネとコンパネ隙間などにバリがあります。
バリをそのままにしていると、塗装が出来ません。

サンダーで削って行く必要があるのでした。

バリを削っていくと、細かな粉塵が辺りに漂い、白く空気を彩っていきます。
通気があまり良くない屋内なので、粉塵はしばらくそのままなのでした。

そんな中、慣れた手つきで壁を削っていきます。
1箇所を終えると、次の場所へ、どんどんバリ取りを進めていくのでした。

午前の仕事を終え、昼休みに行こうとした時でした。

午後からも引続き、作業を行う予定なので、ひとまずベビーサンダーを床に置こうと思いました。
まだ回転を止めていないベビーサンダーを床に置いた時でした。

回転した歯が、床に接触し、サンダーが跳ね返ってしまったのでした。

「おおお!?」

牛黒は驚いて、飛び退きます。

サンダーは2度3度跳ね上がると、動きを止めました。

「危なかったー」

いつも以上の汗を額に浮かべる牛黒。
静かに横たわるサンダーを手にすると、指で歯をくるりと回して、確認しました。

「今ので、この歯もダメかな。替え歯はあったかな。」

今度は完全に動きを止めたサンダーを床に置くと、頭をポリポリ掻きながら、入口に向かったのでした。

index_arrow ヒヤリ・ハットの補足と解説

今回もベビーサンダー(グラインダー)のヒヤリハットですね。

ベビーサンダーなどの研削といしは、歯が高速で回転し、物を削る機械です。
歯の回転数は、1分間に5000回転以上になります。

それだけ回転しているものですから、回転が止まらないまま、床などにおいてしまうと、歯が接触し、反発してしまうのです。

しっかりコントロールしてないと、跳ね回ってしまい、危険極まりないことになりかねません。

今回の牛黒のように、回転が止まってないのに、床に置くなどは危険極まりないのです。

それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。

ヒヤリハット 回転を止めていないベビーサンダーを床においたら、跳ねてしまった。
対策 1.床に置くのは、完全に床を置いてからにする。
2.床に置く時は、歯が接触しないようにする。

ベビーサンダーの歯を床などに置いてしまうと、衝撃で歯にヒビをいれてしまうこともあるので、その点も注意ですね。

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