墜落・転落○事故事例アーカイブ

作業員が17メートルの足場から転落、死亡(大阪府堺市)

先日、地元の市役所に行った時のことですが、外壁工事をしている現場を見かけました。
足場を組んで、おそらくコーキングをしていたようでした。

私は仕事がら、どうも足場の構造に目が行きます。
その足場は、幅木がない、外周にメッシュシートも付いてませんでした。
さらに、作業者はヘルメットもかぶっていない。

市役所の敷地内の仕事なのに、なんともまぁです。

墜落事故は、全体の死亡災害で約25%くらいを占めています。

H27労災事故統計

そして墜落箇所として一定の割合を占めているのが、足場です。
建設作業では、足場を組むことは非常に多いです。住宅工事やビル工事では、確実に足場を組みます。

足場上での作業は、少しバランスを崩すと、地上まで真っ逆さまになる危険な作業なのです。

大阪府堺市で、足場から墜落する事故がありました。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

作業員が17メートルの足場から転落、死亡 堺市北区役所の天井工事中 (平成28年9月24日)

24日午前11時35分ごろ、堺市北区の北区役所で、玄関ホール天井の改修工事中だった建設作業員の男性が高さ17メートルの鉄製の足場から転落した。男性は全身を強く打った状態で病院に搬送され、まもなく死亡が確認された。

大阪府警北堺署によると、区役所は5階建てで、玄関ホールは吹き抜け構造だった。男性は別の作業員と2人で天井に向けて足場を組んでいたが、命綱を付けていなかった。同署は男性が誤って足を踏み外したとみて事故原因を調べている。

産経新聞

この事故の型は「墜落・転落」で、起因物は「足場」です。

事故は足場の組立作業中に起こりました。
区役所内の玄関ホールだったので、室内での足場でした。

組立作業中、安全帯は使用されておらず、墜落防止設備もなかったようでした。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

区役所内の作業ですので、公共工事として発注されていたものでしょう。
足場を組んでいたのが、元請け業者だったかは不明ですが、高所での安全対策が不十分でした。

足場の組立解体作業では、手すりなどの墜落防止設備がないため、安全帯を使用する必要がありますが、していなかったため、大きな事故になりました。

また5メートル以上の高さの足場組立では、作業主任者を選任しなければなりません。作業主任者の職務には、安全帯などの保護具の使用を監視することがあります。この作業では、作業主任者が職務を果たしていなかったようです。

安全帯の重要性など、安全教育がされていなかったため、墜落防止対策が十分でなかったのかもしれません。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

作業主任者がいなかったこと。
安全帯を使用して作業していなかったこと。
安全教育が行なわれていなかったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

この足場は、17メートルもの高さを組んでいるので、作業主任者を選任しなければなりません。
作業主任者は、足場作業を直接取り仕切る人です。安全帯を使用していない作業者がいれば、しっかり指導しなければなりません。

足場が完成するまでは、手すりなどもありません。このような場所で作業する場合は、安全帯を使用します。
安全帯は、フックを掛けないと効果がありません。もしフックを掛ける場所がなかったのであれば、親綱を張る必要がありました。

公共工事ですので、市からも安全対策は厳しく言われていたはずです。
おそらく手順書やKYなどにも、安全帯を使用するなどを書いていたのではないでしょうか。しかし実際に、行動に移らなければ意味がありません。

安全教育をいくらやっても、行動に移らなければ事故減少には結びつきません。

また墜落の危険を小さくする工法として、足場先行工法がありますので、工法の工夫も必要だったのではないでしょうか。

対策をまとめてみます。

作業主任者を選任する。
安全帯を使用する。
足場先行工法で組み立てる。

墜落事故、特に足場に関わる事故は跡を絶ちません。
作業している間は、まさか落ちるなんてと思っているのでしょうが、事故はいつ起こるかわからないのです。

足場作業は、高所作業である。
墜落すると命に関わるということは、しっかり頭に入れておかなければなりません。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

第521条
高さが2メートル以上の箇所で作業を行なう場合で、労働者に安全帯等を使用させるときは、安全帯等を安全に取り付けるための設備等を設けなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

最も多い事故。墜落・転落事故の防止。

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