はさまれ・巻き込まれ○事故事例アーカイブ

工場の粉砕機に巻き込まれ、男性従業員死亡(奈良県南庄町)

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我が家にはAmazonのFire TV Stickがあるので、無料の映画やドラマなどをよく見ています。
妻がはまっているのが、海外ドラマのBONESです。

簡単に内容を説明すると、犯罪による遺体を検死し、犯人像を科学的に導き出す法人類学者を主人公としたドラマです。
日本でいうところの検視官や監察というものでしょうか。

今はシーズン4まで見ましたが、どうやらシーズン10くらいまであるとか。先は長そうです。

妻がこのドラマを見つつ、私は1stガンダムを見て、次はZを見ようかなとしていたりします。

ガンダムはともかく、BONESでは毎度、それこそ奇想天外の状態の遺体を取り扱います。
中にはかなり損傷の激しいものもあります。

先日、奈良県で工場の粉砕機に人が巻き込まれるという事故がありました。
ニュースでも大きく取り上げられていたので、記憶されている方もいるかもしれません。
このニュースを見た時、BONESのことが思い浮かびました。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

工場の粉砕機に巻き込まれ、男性従業員死亡か (平成28年9月5日)

5日午後5時頃、奈良市南庄町の木材リサイクル会社から、「従業員が工場の粉砕機に巻き込まれたかもしれない」と110番があった。

奈良県警は、粉砕された木片の中から遺体の一部を発見。連絡が取れない男性従業員(45)とみて身元や経緯の確認を急いでいる。

この工場の敷地内では先月20日夕、別の男性従業員(56)がバックしてきた建設重機とトラックに挟まれて死亡。同2日にも、奈良県大淀町の関連の別工場で派遣社員の男性(67)がベルトコンベヤーに挟まれて亡くなっており、県警が原因などを詳しく調べている。

読売新聞

この事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」で、起因物は「粉砕機」です。

かなりとんでもない事故です。そして痛い事故です。

木材を粉砕する機械に、巻き込まれてしまったというものです。機械の中からヘルメットや体の一部が発見されたとあるので、状況はかなり凄惨なことになっていたと思います。

別の記事によると、被災した男性は、この日初めて仕事に入ったとか。

そして、この工場は3ヶ月で3人もの死亡者を出したということです。
恐るべしです。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

根本的な原因として、この工場では、安全管理がされていなかったのではないでしょうか。
もし、十分な安全対策や教育を行っていたならば、短期間に3人もの死亡者を出すことはないでしょう。データで現れていませんが、怪我なども多数あったのではないでしょうか。

労災死亡事故があれば、労基の捜査もあったはずですが、事故の抑止力にならなかったようです。

仕事初日の人は、まだ十分に仕事内容も把握できていません。そして危険箇所も把握できていません。
雇入れ時の教育が十分だったとは言いがたいでしょう。

また、設備面では粉砕機の開口部に墜落防止の手すりなども備わっていなかったと思われます。
開口部に入り込まないように、安全帯などの保護具もなかったことでしょう。

事業者の安全に対する姿勢が、事故の原因といえそうです。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

雇入れ時教育が行われていなかったこと。
粉砕機の開口部に墜落防止の設備がなかったこと。
安全帯などの保護具を使用していなかったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

まずもって、根本的な対策が求められます。

労基も指導をしていたものと思われます。それによって、以前発生した事故の対策はされていたのかもしれません。
しかし、この事故ニュースを見る限り、事業場全体での安全対策は十分ではありません。

おそらく労基の指導は、数限りなくあったと思います。
一度に全ての改善をすることは不可能なので、1つずつやっていくしかありません。

ところが、最も致命的な箇所への対応がなされなかったため、事故が起きました。

設備面などのハード面の改善は、根本的な対策になります。一方でこれらには、費用と時間がかかるのも確かです。

しかし、安全教育などのソフト面の改善は、すぐに手を付けることが出来ます。
作業手順書を作り、守らせる。危険作業はさせない。

特に新人に対する教育で、危険作業については徹底的に行う必要があります。

それがされていなかったことが、大きな問題です。
そしてそれに手を付けていなかったことが、事業者の安全に対する姿勢の問題といえます。

対策をまとめてみます。

安全教育を行う。
リスクアセスメントを行い、改善計画を作成する。
経営姿勢を見直す。

安全よりも業務優先すると、事故が起こる確立が高くなります。

一見すると安全対策は、利益を生まず、コストばかりかかるものに思えます。
しかし、一度事故が起こると、事業者には大ダメージになります。
これは全ての利益を吹き飛ばすほどの損害を産み、中小零細にとっては、致命傷になります。

事故は、目に見えて売上を上げるものではありませんが、損害を最小にするためのものです。

忙しいから、金がないからの理由は、安全を後回しにする理由になりません。
この事故は、事業者の安全に対する姿勢の大切さ、そのことを教えてくれるのではないでしょうか。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

【安衛則】

第142条
粉砕機又は混合機の開口部から転落防止の為、蓋、囲い、柵等を設けなければならない。

 

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

粉砕機や混合機の危険防止。。

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