飛来・落下○事故事例アーカイブ

ディスクグラインダーの事故。取り替えたディスクが破損していたら。

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ディスクグラインダーは、金属のバリ取りや切断などで使います。
小型で軽量、用途も幅広つということもあって、特に金属を扱う仕事ではよく使われます。

よく使われるということは、使用する人も多く、それに伴い事故も少なくありません。

グラインダーで起こりやすい事故は、ディスクの部分、つまり歯部の破損です。
高速で回転しているディスクが破損すると、その破片は勢いよくはじき出されます。
この手の事故が多いのです。

私の近くでも、事故に至らなくともグラインダーが割れたという話も耳にしたりします。

今回はグラインダーの事故についての事例を紹介し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

今回は厚生労働省の労働事故事例かち参照にしています。
労働事故事例

携帯用グラインダーのといしを交換後、試運転中にといしが割れて被災

この災害は、農機具や建設機械の鋳物部品のバリ取り及び仕上げ研磨作業を行うことになっていました。

午後の作業を開始してまもなく、グラインダーのといしが磨耗してきたので、といしを交換することにしました。
使用していたといしをはずし、廃棄物保管場所の容器の中に捨てようとした際、容器周辺の床の上に別のといしが落ちているのを見つけ、このといしを拾って観察したところ、まだ使える状態だと判断し、このといしをグラインダーに取付けました。

グラインダーの試運転を行っていたところ、突然といしが破裂し被災したものである。

なお、このといしは、別の作業者が以前に廃棄物保管場所の容器の中に捨てたものが飛び出し床に落ちていたものであった。この容器には蓋はなく、廃棄されたといしにも廃棄品であることを示す表示等はされていなかった。

また、グラインダーのといし周面には厚さ1.5mmの鋼製覆いが設けられていたが、約240度の開口部があった。被災者は研削といしの取替えまたは取替え時の試運転の業務についての特別教育を受けたことはなかった。

NO.101178

この事故の型は「飛来・落下」で、起因物は「グラインダー」です。

この事故は、グラインダーのディスクを交換した後に起こりました。
通常はディスクを新しいものに取り替えるのですが、この時はたまたま落ちていたものを使ったのでした。

しかし交換したディスクは使い古したものであったため、試運転中に割れ、被災したのでした。
命に別状はなかったものの、破片が刺さり、大怪我になったのでした。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

この事故の原因は、取り替えるべきディスクを誤ったことです。
通常であれば、摩耗したディスクを廃棄し、新しいディスクにしなければなりません。

しかし取り替えたディスクは、廃棄場所近くに落ちていたディスクでした。
このディスクは、本来廃棄していたものが落ちていただけなのでした。落ちていたディスクは破損してました。

元々破損していたディスクだったので、試運転中に割れてしまったのでした。

ディスクの廃棄場所では、今回の事故のように流用されないように蓋などして、隔離しなければなりません。
この廃棄場所では蓋などはなく、ディスクも転がっていました。廃棄されてのか、誰かが新品を誤って落としてしまったのかが判断できません。

さらにこのグラインダーは、安全カバーが開きすぎの状態でした。そして作業者自身も本来ならばディスクの取替に必要な特別教育を受けてはいないのでした。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

廃棄したディスクが隔離されていなかったこと。
安全カバーが不備の状態だったこと。
作業者が特別教育を受けていなかったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

ディスクは新品でなければなりません。
廃棄したディスクは、流用されないように隔離し、廃棄品であると明示しなければなりません。
ましてや廃棄されているディスクが落ちているなどがないように、整理整頓が必要です。

また取扱の際には、グラインダー本体の点検もしなければなりません。
安全カバーが正常でなければなりません。カバーの開き方も適正でなければなりません。

そして取替作業を行う作業者は、「自由研削用といしの取替え等の業務に係る特別教育」を修了しなければなりません。

対策をまとめてみます。

ディスクの廃棄品は、流用されないように保管する。
ディスクの安全カバーなどの点検を行う。
ディスクの取替作業は、特別教育を受ける。

グラインダーは見よう見まねで、誰でも使えます。
しかしその一方で、ディスクの取替には特別教育を必要とする危険作業でもあることは理解しておく必要があるのです。

特にディスクの取替は、危険があることを十分知っておく必要があります。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

【安衛則】

(研削といしの試運転)
第118条
事業者は、研削といしについては、その日の作業を開始する前には
1分間以上、研削といしを取り替えたときには3分間以上
試運転をしなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

工作機械の危険防止 その2。

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