○コラム

続ける職長教育が現場を変える

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安全教育には、特別教育や技能講習などがあります。またその他にも雇入れ時教育などもあります。
これらは、どちらかというと作業に不慣れな人、新人に対して作業の仕方や安全に仕事をする上での注意点などを学ぶものです。

初めて携わる仕事に対しての教育は大事です。
何をするのか、何をすると危険なのかは、初心者では曖昧です。曖昧なままで、作業を行うと、本人が意図せずとも危険行為をすることもあるのです。
そのため何が危険かを知ることは、非常に重要なのです。

そして教育にはもう1つあります。
それが職長教育というものです。これは特別教育などと少し意味合いが異なります。

職長、別の言い方をすれば作業リーダーになりますが、のための教育、つまりリーダー教育になるのです。
リーダーになるくらいですから、入ったばかりの新人ではありません。
何年から十年以上作業に携わり、中堅からベテランになっている人が対象です。

現場作業をよく知る人は、現場を仕切ります。
作業主任者も現場を仕切る人ですが、これは特定の作業について、仕切る人です。
職長は特定の作業にとどまらず、もっと広範囲を仕切ります。自分のグループやライン全体の作業者を仕切り、まとめる人なのです。

職長になると、一作業者と注意することが大きく異なります。
一作業者であれば、自分の作業だけに集中、もしくは自分の周りだけ注意していればよいのですが、職長は全作業者に注意を払わなければなりません。場合によっては、他の作業グループや元請けといった体外的な交渉もする必要があります。

とにかく職長になると、気を使うことが増えるのです。

作業内容はよく知っていて手慣れた人でも、現場を仕切るとなると話は別です。
リーダーシップを発揮しろと言われても、そもそも何をすればよいのやら、さっぱり分からないというのも少なくないはずです。

新たに職長になる人のための教育が、職長教育というものです。

職長教育では、具体的な作業のやり方などは教えません。
教わる内容は、現場監督や指導、安全確保についてです。

職長教育については、安衛法に規定されています。


【安衛法】

第60条 事業者は、その事業場の業種が政令で定めるものに該当するときは、新たに職務につくとこととなった職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く。)に対し、次の事項について、厚生労働省令で定めるところにより、安全又は衛生のための教育を行わなければならない。

 1)作業方法の決定及び労働者の配置に関すること。
 2)労働者に対する指導又は監督の方法に関すること。
 3)前2号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な事項で、厚生労働省令でさだめるもの

ようするに、職長教育とはリーダーシップ教育なのです。
これからリーダーになるための心構えや、何をやっていくのかについての教育なのです。

職長教育によって、新たに職長になる人は、右も左も分かりません、全くの霧の中ですという状態からは脱します。
そして職長教育修了証が発行されるので、今後は職長に就くことはできます。

しかし数日掛けて行うとはいえ、1回きりの研修でリーダーシップが身につくでしょうか。
ひとまず教育を修了し、基礎は学んだから、後は現場でというのが趣旨でしょう。

本当にこれで十分か。
これでは結局、個人の能力に全面に頼ることになりそうです。

書店やアマゾンなどを見ると、リーダーシップに関する書籍がたくさんあります。
セミナーなどもたくさんあります。

そう簡単にリーダーとして現場を上手に仕切るのは難しいのかもしれません。

index_arrow 事業場の安全を高めるコツ その1つがリーダーシップ教育

Knowledge at safetyという海外で安全に関するブログを書かれているところがあるのですが、こんな記事がありました。

7 Hacks to Increase Workplace Safety Today(リンク切れ)

「ライフハック」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
これは人生をより良く送るコツとかアイデアとかの意味でしょうが、このブログでは「事業場の安全性を高めるための7つのハック(コツ)」というタイトルで書かれています。

7つアイデアはあるのですが、4つ目に紹介されていたものが目を引きました。

それは、

「4. Regular Training for all Leadership Levels」

つまり、あらゆる段階のリーダーに対する教育やトレーニングということです。
しかもこの教育・トレーニングは継続することが必要です。
継続的に行うことによって、リーダーシップを磨いていくのです。

なのほどと思うものの、目からウロコでした。

最初に教育して、あとはOJTなのが基本でしょうが、これでは不十分なところもあります。
例えば、職長をやっていた疑問が出た時、どう解決すればいいのでしょうか?
もっと上長に相談するなどが通常ですが、それを口にできない人だと、疑問を抱えたままになります。また上長が的確に疑問を解消できるとも限りません。

職長としての成長プロセスに合わせ、フォローアップが必要です。
継続的の教育は、職長としての成長をサポートします。職長の成長は、結果的に作業場の安全を高めるのです。

安全な職場を作るのは人です。
事業者、経営者が一番重要な役を担うのは間違いありませんが、一人一人の作業者や、その作業者を取りまとめる職長が安全を作るのです。

何度も教育となると時間も費用もかかって嫌だなと思うかもしれませんが、安全性を高める
ことを考えると、投資効果は小さくないはず。
職長のための、リーダーシップ教育を繰り返すことは、安全な職場作りに重要な意味を持ってくることでしょう。

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