○安衛法と仲良くなる粉じん則

粉じん障害防止規則 その6。排気装置の要件

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特定粉じんが発生する場所、発生させる作業で最も注意が必要なことは、人体に取り込まないことです。

発生すること自体を抑えることは困難です。
岩石を砕けば、細かな土煙が立ちます。これはどうしようもありません。

発生を抑えられなくとも、吸い込まないようにする方法が重要なのです。
その方法として、粉じんを吸い込んでしまうというものがあります。
つまり発生しても、顔に届く前に、吸い取ってしまえばいいのです。

これを排気設備といいいます。いわゆる換気扇を強力にしたようなものといえます。
排気設備で効果的なのが、局所排気装置やプッシュプル型排気装置です。

粉じん則では、これらの排気装置についての規定もあるのです。

【粉じん障害防止規則】

第3章 設備の性能等

(局所排気装置等の要件)
第11条
事業者は、第4条又は第27条第1項ただし書の規定により設ける局所排気装置については、
次に定めるところに適合するものとしなければならない。

  1)フードは、粉じんの発生源ごとに設けられ、かつ、外付け式フードにあっては、
   当該発生源にできるだけ近い位置に設けられていること。

  2)ダクトは、長さができるだけ短く、ベンドの数ができるだけ少なく、
  かつ、適当な箇所に掃除口が設けられている等掃除しやすい構造のものであること。

  3)前条第1項の規定により除じん装置を付設する局所排気装置の排風機は、
   除じんをした後の空気が通る位置に設けられていること。
   ただし、吸引された粉じんによる爆発のおそれがなく、かつ、ファンの腐食
   又は摩耗のおそれがないときは、この限りでない。

  4)排出口は、屋外に設けられていること。ただし、移動式の局所排気装置
   又は別表第2第7号に掲げる特定粉じん発生源に設ける局所排気装置であって、
   ろ過除じん方式又は電気除じん方式による除じん装置を付設したものにあっては、
   この限りでない。

  5)厚生労働大臣が定める要件を具備していること。

2 事業者は、第4条又は第27条第1項ただし書の規定により設けるプッシュプル型換気装置については、
  次に定めるところに適合するものとしなければならない。

  1)ダクトは、長さができるだけ短く、ベンドの数ができるだけ少なく、
   かつ、適当な箇所に掃除口が設けられている等掃除しやすい構造のものであること。

  2)前条第2項の規定により除じん装置を付設するプッシュプル型換気装置の排風機は、
   除じんをした後の空気が通る位置に設けられていること。
   ただし、吸引された粉じんによる爆発のおそれがなく、かつ、ファンの腐食
   又は摩耗のおそれがないときは、この限りでない。

  3)排出口は、屋外に設けられていること。ただし、別表第2第7号に掲げる特定粉じん発生源に
   設けるプッシュプル型換気装置であって、ろ過除じん方式又は電気除じん方式による
   除じん装置を付設したものにあっては、この限りでない。

  4)厚生労働大臣が定める要件を具備していること。

第4条とは、特定粉じんが発生する場所と対処法です。第27条の2項は呼吸用保護具でも電動ファン付のものを使用しなければならない場所です。
これらの場所は、別表1~3にまとめられています。

第4条の対処法の中に、局所排気装置やプッシュプル型排気装置が必要という項目があります。
これらについては一定の要件があります。

局所排気装置やプッシュプル型排気装置は、基準を満たしていなければなりません。

局所排気装置とは、粉じんの発生源に近いところに吸込み口がある排気装置です。
例えば、金属のバリ取り作業をしていた場合、金属の削りカスが粉じんとして発生します。局所排気装置はバリ取りをしている手元に吸込み口を置きます。こうして、粉じんが発生と同時に吸い込まれるという仕組みなのです。

非常に限られた範囲しか吸込みません。しかしその分、吸引力は強いのです。

局所排気装置の反対の装置が、全体換気装置です。これは天井や壁にあるいわゆる換気扇のことです。作業場全体の空気を排出します。
字面で見ると全体換気装置の方が効果範囲が広そうに感じますが、吸い込む面積が広い分、効果は小さいのが実情です。

水鉄砲は穴が小さいほど、遠くまで勢いよく飛ぶように、吸い込む範囲が狭い局所排気装置の方が、粉じんを捕まえる能力は高いです。

局所排気装置は次の要件を満たしていなければなりません。

1.吸込み口のフードは発生源ごとに設け、発生源の近くでなければなりません。
2.ダクトはなるべく短く、ベンド(曲がり)も少なく。ダクトが長くなったり、ベンドが多いと吸い込む力が弱くなります。
3.排風機は、目詰りしないように、除じん設備の後ろに設置する。
4.排出口は原則屋外に設置する。

局所排気装置は換気扇を着けて終わりというものではありません。設計から検討することが多いのです。

局所排気装置と同様に粉じんを排出するのに効果的なのが、プッシュプル型排気装置です。
これは、送風機と排風機がセットになっており、常に一定の方向への気流を作るものです。

例えば、天井に送風機を設置し、床に排風機を設置すると、気流は常に上から下に流れることになります。
これの気流に乗って、粉じんが床の排風機に吸い込まれるのです。

プッシュプル型は、部屋全体が排気装置になっていることもあります。

プッシュプル型も一定の要件を満たさなければなりません。

1.ダクトはなるべく短く、ベンド(曲がり)も少なく。ダクトが長くなったり、ベンドが多いと吸い込む力が弱くなります。
2.排風機は、目詰りしないように、除じん設備の後ろに設置する。
3.排出口は原則屋外に設置する

局所排気装置に似ていますね。
これらのことを実際に設置する現場にあてはめなければならないのです。

(局所排気装置等の稼働)
第12条
事業者は、第4条又は第27条第1項ただし書の規定により設ける局所排気装置については、
当該局所排気装置に係る粉じん作業が行われている間、厚生労働大臣が定める要件を
満たすように稼働させなければならない。

2 前項の規定は、第4条又は第27条第1項ただし書の規定により設ける
  プッシュプル型換気装置について準用する。

排気装置を設置しても、動かさなかったら、効果はありません。

局所排気装置やプッシュプル型排気装置は、粉じん発生作業中は、稼働させなければなりません。

厚生労働大臣が定める要件を満たすようにとありますが、これは粉じんが拡散しないよう吸い込口が正しい位置で、本来の性能を発揮しているというものです。

稼働時間を短くしたり、性能が落ちてるのにメンテナンスしないままで使ってはいけません。

特定粉じんは、発生を抑えることが一番効果がありますが、出来ない場合はとにかく人体にとりこまないようにするのが重要です。そのためには、局所排気装置やプッシュプル型排気装置を設置が必要になるのです。

まとめ。

【粉じん障害防止規則】

第11条
第4条又は第27条第1項ただし書の規定により設ける局所排気装置については、一定の条件に適合するものとしなければならない。
第12条
第4条又は第27条第1項ただし書の規定により設ける局所排気装置については、局所排気装置に係る粉じん作業が行われている間、厚生労働大臣が定める要件を満たすように稼働させなければならない。

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