○安衛法と仲良くなる酸欠危険作業

酸欠作業 その8。 酸欠の教育内容と事故報告

entry-485

酸欠作業その3で、作業主任者と特別教育について、まとめましたが、今回はその関連。
(以前書いていたのですが、アップするのを忘れていました。)

酸欠作業の作業主任者になるには、作業主任者教育を受けなければなりません。

また酸欠作業を行うのにも、特別教育を受ける必要があります。

酸欠則では、こんな内容を学ばなければなりませんとの規定があるのです。

【酸素欠乏症等防止規則】

第4章 酸素欠乏危険作業主任者技能講習及び酸素欠乏・
   硫化水素危険作業主任者技能講習

(酸素欠乏危険作業主任者技能講習の講習科目)
第26条
酸素欠乏危険作業主任者技能講習は、学科講習
及び実技講習によって行う。

2 学科講習は、次の科目について行う。

  1)酸素欠乏症及び救急そ生に関する知識

  2)酸素欠乏の発生の原因及び防止措置に関する知識

  3)保護具に関する知識

  4)関係法令

3 実技講習は、次の科目について行なう。

  1)救急そ生の方法

  2)酸素の濃度の測定方法

(酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習の講習科目)
第27条
前条の規定は、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習に
ついて準用する。この場合において、同条第2項第1号中
「酸素欠乏症」とあるのは「酸素欠乏症、硫化水素中毒」と、
同項第2号中「酸素欠乏」とあるのは「酸素欠乏及び硫化水素」と、
同条第3項第2号中「酸素」とあるのは「酸素及び硫化水素」と
読み替えるものとする。
(技能講習の細目)
第28条
安衛則第80条 から第82条の2まで及びこの章に
定めるもののほか、酸素欠乏危険作業主任者技能講習
及び酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習の
実施について必要な事項は、厚生労働大臣が定める。

主任技術者のカリキュラムと時間は、法律で定められています。

いわゆる法定講習というものです。
言うなれば、運転免許更新時に受講する講習と似たようなものと思ってください。
あの講習も時間と内容が決められていますね。

カリキュラムには、学科と実技があります。
それぞれ次のとおりです。

学科内容
1.酸素欠乏症及び救急そ生に関する知識
2.酸素欠乏の発生の原因及び防止措置に関する知識
3.保護具に関する知識
4.関係法令

実技内容
1.救急そ生の方法
2.酸素の濃度の測定方法

作業を管理するために必要な知識と実技を身につけなければなりません。
しっかりと学習しましょう。

また酸欠の作業主任者には、第一種と第二種があります。

第一種は酸欠のみですが、第二種は酸欠に加え、硫化水素なども含まれます。
第二種の教育では、硫化水素についての知識も学習することになるのです。

第5章 雑則

(事故等の報告)
第29条
事業者は、労働者が酸素欠乏症等にかかったとき、
又は第24条第1項の調査の結果酸素欠乏の空気が
漏出しているときは、遅滞なく、その旨を当該作業を
行う場所を管轄する労働基準監督署長に
報告しなければならない。

もし作業者が酸欠にかかってしまった場合、また酸素濃度が低い空気が漏出するような事故があった場合の対処です。

酸欠に関する事故があった場合は、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に報告しなければなりません。

遅滞なくというのは、すぐにということです。
何週間も、何ヶ月も放っておいてはなりません。
事故の対応の中に、報告することも含まれます。

もし報告をしなければ、労災隠しということになります。
その場合は、罰則もあるので、必ず報告を行いましょう。

酸欠危険作業について、酸欠則を中心にまとめてきました。

酸欠事故の恐ろしさは、その危険を目で見て、察知できないことにあります。
酸素濃度の高い低いは、目で確認できません。

そのため、無防備に低酸素状態の場所に進入し、倒れるということが多いのです。

密閉空間、窪地、四方が囲まれた場所、異臭がする場所などは、酸欠が起こりやすいといえます。
ほんの少しでも、可能性があるならば、事前に濃度測定を行いましょう。

その上で、換気や呼吸器などの対処を行って作業します。

目に見えなくても、危険なものはあります。

酸欠は、目に見えない危険なのです。

事故を防ぐためには、まず酸欠について知ること。
そして全員が危険性や対処法を共有すること、これがとても大事なことですね。

まとめ。

【酸素欠乏症等防止規則】

第26条
酸素欠乏危険作業主任者技能講習は、学科講習及び実技講習によって行う。
第27条
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習の講習内容について。
第28条
酸素欠乏危険作業主任者技能講習の講習内容は、厚生労働大臣が定める。
第29条
酸素欠乏症等の事故があった場合、調査の結果酸素欠乏の空気が漏出しているときは、遅滞なく、労働基準監督署長に報告しなければならない。