○健康と衛生

増える傾向の腰痛

 

先日、私が今担当している現場で、こんなことがありました。
朝、その日の準備をしているときに、荷物を持ち上げた作業者が、背中を痛めてしまったのです。

8:30の作業開始から、わずか10分後の出来事でした。
その日の仕事は、それでストップ。
背中を痛めた作業者は、病院へ行ったのでした。

幸い軽症で、翌日からは無事に仕事に戻ったのでした。

作業前の準備体操は大事

このケースでは、背中を痛めてしまったのですが、そこにほど近い腰痛になることも多いのではないでしょうか。

沖縄労働局の調査で、このような記事がありました。

14年県内労災「災害性腰痛」が最多 10年で2倍 (琉球新報 平成27年9月26日)

この記事によると、昨年度の沖縄県で業務上疾病が100人になったそうです。この人数は、前年度に比べ14人増加し、過去40年で最多になってになったそうです。
中でも多いのが、「災害性腰痛」が63人で、約6割を占めているそうです。
「災害性腰痛」というのは、仕事中に重いものを持ったのが原因で起こる腰痛です。代表的なのが、ぎっくり腰などです。私の現場のケースも、腰痛ではありませんが、これに分類されます。

それにしても、腰痛の割合が多いのがわかりますね。沖縄県のデータですが、全国的にもこの傾向はあります。

腰痛は、人間が2足歩行であるかぎり、確実につきまとう症状と言えます。これは業種を問いません。 立ちっぱなしの仕事も、座りっぱなしの仕事も、体を動かす仕事も、ありとあらゆる仕事が腰痛の原因になります。
実際に腰痛持ちの人は、周りでも多いのではないでしょうか?もしかすると、あなた自身も腰痛に悩まされているかもしれません。

私も比較的軽度ながら腰痛持ちです。寒くなってくると、腰がジンジンと痛くなります。特に少し腰をかがめた時が、チクっと痛みが走るのです。

index_arrow 腰痛を防ぐためには

「今月の安全大会」の記事でも、腰痛について取り上げたことがあります。
この時は、簡単な体操やストレッチを行うことで、腰痛を予防しようと書きました。

誰もが経験する腰痛の悩み

冒頭の背中痛のケースでも、たまたまラジオ体操をせずに、作業を開始したことが原因ではないかと推測されます。

体の柔軟性は、腰痛防止には重要な事です。
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また、あわせて腰に負担をかけない作業方法というものも身につけておくと、大変役に立ちます。 これはそれほど難しいことではないので、すぐに実践できるんですよ。

例えば、地面に置かれた荷物を持ち上げるとき、どうやっても持ち上げますか?

もし膝を伸ばしたままで、腰を折り、荷物を持ち上げる方法をとっていれば、腰への負担は相当かかっています。腰の曲げ伸ばしで、荷物を持ち上げるのですから、荷物の重量は、腰に集中してしまいます。力を入れた瞬間、ぎっくり腰なんてこともありえます。

どのように持ち上げれば、腰への負担は軽くなるのでしょうか?

それは、膝を曲げて荷物を持ち、膝を伸ばして持ち上げます。この時、上半身は寝かせず、なるべく立てておきます。この方法だと、荷物を腰の曲げ伸ばしではなく、膝の曲げ伸ばしで、持ち上げることになり、腰への負担は軽くなります。

難しい方法ではないですよね?何度か繰り返している内に、慣れてくると思います。ちょっとした作業方法の違いで、腰への負担はずいぶん変わるようです。

地面の荷物を持ち上げる例を上げましたが、腰への負担を軽減する方法は、まだまだあります。

もし専門的なアドバイスが欲しい場合は、こんな人に相談してみるのもいいかもしれません。
先ほどの、新聞記事でも紹介されていましたが、「腰痛予防アドバイザー」という人がいるとのことです。これは沖縄県労働局の取り組みですが、他県の労働局等でも、腰痛対策の相談ができると思いますので、興味があれば一度話を聞いてみてもいいかもしれません。

腰痛に関しては、コルセットなどのグッズもありますが、一番の対策は腰に負担の掛からない作業方法を行うことでしょう。
そのためには作業場のレイアウトを変える、作業の手順そのものを見直すということも視野に入れる必要があります。
リスクアセスメントをすると、腰への負担が大きいという意見が出てくることも多いです。作業者の多くは腰に不安を覚えているのですから、考える必要がありますよね。

腰痛はあなどるなかれ。一度腰痛になると、癖になり、痛みが続くといいます。
腰への不安を抱えて日々を過ごすのは、辛いものです。完治させるのが一番ですが、仕事においては、腰への負担を減らすことが大事ではないでしょうか。

腰痛は、高齢者だけではなく、若い人でも襲いかかります。今の仕事、作業方法に腰への負担はあるか、負担を軽くするのはどうすればよいか。少し時間をとり、じっくりと作業を見直すことは、作業者の健康をまもることはもちろん、長い目で見ると仕事の効率化にもつながるのではないでしょうか。

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