○今月の安全大会

安全省略は、命のショートカット

entry-388

作業が安全かどうかを確認するためには、どんな作業を、どういった手順で行っているのかを把握しなければなりません。仕事の進め方もわからないのに、危険だ安全だなど言えませんよね。

安全に作業を進めるためには、まず作業手順書を作成することが大事です。
これにより、一連の作業をポイントごとに分解するとともに、各ポイントで何が危険かが分かるのです。

事業場では、作業マニュアルのように手順書を備えているところが多いでしょう。
また明確な手順書はなくとも、作業の進め方を経験という形で、共有していることもあります。
その場合、どこに危険があるかを経験で理解していたりします。

長年同じ作業に携わっていると、どこに危険があるか、対策はどうすればよいかを、理解できている人が多いです。
しかし、危険ポイントとその対策を知っていても、やらなかったら意味がありません。

安全確認や安全行動は、時として作業の手を止めることがあります。
そのため、何となく省いたり、ショートカットしたりされがちです。

確かに作業効率は下げるかもしれません。
しかし、安全確認をするには意味があるはず。
それを省いてしまうと、事故になることもあります。

安全確認のショートカットは、命のショートカット。

そんなことにも、なりかねません。

index_arrow なぜ安全確認は省かれるのか

よくある安全確認、対策の省略にはどのようなものがあるでしょうか。

建設業の現場では、こういったものをよく見ます。

・ヘルメット、安全帯などの保護具を着けない。
・作業前に機械や工具の点検を行わない。
・悪天候の後、掘削断面や切土面の点検を行わない。
・酸欠のおそれのある場所で、酸素濃度測定を行わない。

その他もありますが、段階ごとのチェックがないというものが多いです。

製造業でも、機械の点検や保護具、材料を所定の位置に置くなどのチェックがありますね。

安全確認や対策というものは、なぜ省かれがちなのでしょうか。

理由の1つは、やらなくても支障がないというのがありそうです。

事故になるや危険だといったことを、このブログでもよく言います。 しかし、本当はどうかというと、事故が起こる確率は、そんなに高くありません。

ヘルメットをかぶっていなくても、頭をぶつけることは、数えるほどです。
安全帯を使っていなくとも、墜落する危険にあうことは、そんなにありませんね。
機械の点検をしていなくて、暴走に巻きこまれたという経験をお持ちの方は、ほとんどいないでしょう。

安全確認や対策をそんなにしっかりしなくとも、作業に影響はないのです。
むしろ、一旦手を止めたり、安全帯のように作業の邪魔になることさえあります。

安全確認してて、助かったという実感を得ることも少ないのです。

安全確認や活動は、成果が見えません。
何もないことが成果といえます。
逆の見方をすると、何も起こらないのに、手間だけ食うのなんてやってらないということです。

もちろん、他にも理由がありますが、成果が見えないため手間を惜しみ、省略するというのは一因ではないでしょうか。

実は、口うるさく安全について言われるけど、ほんとうに必要なのか疑問に思っていることはありませんか?

index_arrow 命のショートカットをしないため

安全確認や対策活動には、根拠があります。
確かに、慣習的な対策もあります。
工事現場の仮設事務所だからといって、ヘルメットをかぶっておく必要なんてありません。

少なくとも、安衛法での規定されている対策については、全て1人以上の死傷者を出した事故が元になっています。
事故が起こり、再発防止のため、法規制されたのです。

この対策がないと、すぐに事故になるものではありません。
事故の確率を、小さくすることができるものです。

そんな事情があっても、事故は身近ではないのも確かです。
遠い出来事だと、危機感も薄れますね。

常に危機感を持つのは難しいとは思いますが、危険に対して油断しすぎるのは怖いですよね。
事故は、いつ起こるか予想ができません。

ただ、油断した状態は、事故を招きやすいのも確かです。

とある、安全教育のビデオを見たのですが、大工さんが、地上から荷物を運び上げる、足場の手すりを外し、作業後もそのままにしていたら、そこから別の作業員が墜落したというのがありました。

これも荷物を運び上げるのに、邪魔になった手すりを外すというショートカットを行った結果、友人でもあった同僚の命を奪ってしまったのです。

ビデオなので、やや極端ではありますが、十分起こり得ますよね。

このビデオでも、手すりを外した大工さんは、その後安全について口うるさくなっていました。
身近で事故があると、安全意識を高めます。

でも、できるなら事故を起こさずに、安全意識を高めたいものです。
そのためには、日頃の安全教育と現場での指導でしょう。
事業者自身が、安全確認や活動の大切さを、繰り返し繰り返し伝えることです。

作業者はトップの姿を見ています。
口だけで指導してるなと思われたら、信用ができません。

トップから作業者まで、全員が命をショートカットしないためにする必要がありますね。

H2709月号

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