○安衛法と仲良くなる製造機械・工作機械

木材加工機械の安全 その3。

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木材加工機械について、機械そのものの安全装置は重要です。

ただし、機械だけに任せておいてよいかというと、そうではありません。

作業者自身も、安全に作業を行わければなりません。

そのためには、機械ごとの操作をしっかり理解し、決められた手順で操作することを徹底しなければなりません。
また手袋やゴーグル、ヘルメットなどの保護具の着用も必要になるでしょう。

それらのことは、事業所での管理になり、1つ1つを挙げていくと、切りがないので、安衛則では触れられていません。

安衛則で規定されていることは、全ての機械に共通する一般的なことです。

今回は、木材加工用機械を使う上で、機械の安全装置以外の部分をまとめていきます。

【安衛則】

(立入禁止)
第128条
事業者は、自動送材車式帯のこ盤の送材車と歯との間に労働者が
立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に
表示しなければならない。

2 労働者は、前項の規定により立ち入ることを
  禁止された箇所に立ち入ってはならない。

自動で木材を送り出す帯のこ盤では、刃と送材車との間に作業者が入らないように、立入りを禁止し、立入禁止の掲示をしなければなりません。

自動送材車式では、台の上に木材を載せ、自動的にのこ盤まで運び、加工します。

送材車は木材を載せる場所と、刃の間を移動するので、この間には多少の空間ができるのです。

近道しようとして、この間を通過しようとすると、車に衝突したり、刃に巻き込まれたりする恐れがあります。

こういった危険箇所には、立ち入らないようにしなければなりません。

(木材加工用機械作業主任者の選任)
第129条
事業者は、令第6条第6号 の作業については、
木材加工用機械作業主任者技能講習を修了した者のうちから、
木材加工用機械作業主任者を選任しなければならない。

木材加工用機械としては、丸のこ盤や帯のこ盤、カンナ盤や面取り機などがあります。

機械が1台、2台であれば、個々の機械に注意していれば、事足ります。

しかし、多数の機械でラインを形成している場合、全体を把握する人が必要になります。

木材加工用機械を5台以上使用する場合は、作業主任者を選任し、作業を直接指揮させなければなりません。

安衛令第6条第6号は、機械5台以上の場合と規定されているのです。

個々の機械による作業だけでなく、規模が大きくなると、全体を把握する人が必要になるのです。

なお、作業主任者に選任される人は、木材加工用機械作業主任者の技能講習を修了していなければなりません。

(木材加工用機械作業主任者の職務)
第130条
事業者は、木材加工用機械作業主任者に、次の事項を
行なわせなければならない。

  1)木材加工用機械を取り扱う作業を直接指揮すること。

  2)木材加工用機械及びその安全装置を点検すること。

  3)木材加工用機械及びその安全装置に異常を認めたときは、
   直ちに必要な措置をとること。

  4)作業中、治具、工具等の使用状況を監視すること。

作業主任者は、安全に作業を行えるように、管理し、指揮しなければなりません。

作業主任者には、次のような行うことが求められます。

1.作業の直接指揮
2.機械と安全装置の点検
3.機械や安全装置に異常があれば、直ちに対処
4.作業中の工具や治具の使用状況の監視

機械が安全に稼働するようにチェックするとともに、安全に作業していることも常時チェックするのが役目です。

大規模な工場などでは、作業主任者が必要になるのです。

また機械が10台、20台となり、1人の作業主任者では、全体を把握することが困難になった場合は、複数の作業主任者を選任することができます。

複数の作業主任者を選任する場合は、それぞれの作業主任者の役割を明確にしておきましょう。

丸のこ盤担当、かんな盤担当などと分けたり、ラインごとに分けたりと、各作業主任者がしっかりと役目を果たせるようにしてあげることが重要です。

木材加工用機械は、刃物を使うことが多く、危険が伴います。

囲いや覆いを設け、刃に接触させないことが最重要の対策となります。

よく事故になるのは、勝手に覆いをとっていた場合です。
作業効率や、加工状況を確認しやすくするため等、理由は様々ですが、危険を招くことには変わりありません。

作業主任者であれば、直ちに元に戻す義務がありますが、作業主任者がいなくとも、直させなければなりません。

黙認すると、危険な状態が当たり前となり、ある日事故になります。

安全装置には、理由があるのです。

作業者が求めたとしても、危険な改造は許さない職場づくりが大切です。

まとめ。
【安衛則】

第128条
自動送材車式帯のこ盤の送材車と歯との間に労働者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。
第129条
5台以上の木工用加工機を用いる作業については、木材加工用機械作業主任者を選任しなければならない。
第130条
木材加工用機械作業主任者には、適切な指揮をさせなければならない。