○コラム○今月の安全大会

多忙な時期こそ、指差でしっかりチェック!

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指差呼称でのチェックについて、以前一度書いたことがあります。

しかし、今月の安全大会でのテーマは、チェックの大切さについて行いましたので、再度指差呼称についてまとめようと思います。

同じテーマですので、重複する点があると思いますが、内容のカブりについてのチェックは省いて書いてきます。

指差呼称というのは、どこかで耳にしたり、目にしたりしたことはあるのではないでしょうか。

電車の運転手や車掌がやっていますよね。
人差し指を立て、顔の横から前に手を振り下ろし、「○○ヨシ!」と確認することです。

これはチェックを目で見るだけの確認だけでなく、指を指す、声に出すというアクションを加えて行うものです。

要は動作と声をプラスすることで、チェックを意識的に行うわけです。
そうすることによって、チェック対象に意識が集中しますし、後でチェックしたかどうかを思い出すことができます。
こうやって、チェック漏れを減らすわけですね。

ヒューマンエラーの事故は、チェック漏れによって引き起こされることが少なくありません。

いくつか例を挙げてみましょう。

昔ある病院で、患者の取替事故と言うのものがありました。
これもチェック漏れによる事故であったと言えます。

簡単に概要をまとめると次のとおりです。
同じ日に2人の患者が手術を受ける予定になっていました。
1人は肺の手術、もう1人は心臓の手術を行います。

しかし、患者受け渡しの際の引き継ぎミスにより、それぞれの患者に、別の患者の手術を行ってしまったのでした。
つまり、肺の手術予定の患者に心臓の手術を、心臓の手術予定の患者に肺の手術を行ってしまったのです。

この間違いに気づいたのは、手術後です。
もう取り返しがつかない状態でした。

この医療事故については、検索するとすぐに出てきます。

背景にはもちろん院内の体制などもありますが、直接的な原因は、きちんと患者をチェックしなかったことによります。

これは深刻な例ですが、チェック漏れによる事故は、枚挙に暇がありません。
事務書類のミスなども含めたら、とてもありふれているものではないでしょうか。

ちょっとしたことなら、ミスも見過ごして構わないでしょう。
しかし、時として先の例のように深刻になるのです。

電車もちょっとしたミスが、大事故につながりかねません。
過去に、チェック漏れが事故に繋がったことも少ないないのでしょう。

そのため、今でも電車の運転手や車掌は、指差呼称でチェックを徹底しているのです。

指差呼称はパフォーマンスだけではありません。
アクションを伴うチェックなので、多少なりとも意識的に確認する方法なのです。

とはいえ、急に指差しするのは、気恥ずかしいものです。
やるなら堂々が一番でしょうが、気恥ずかしい場合は、気持ち指を差し、小声で「○○ヨシ」というだけでも、効果はあると思います。

私も、意識的に指差呼称をするようにしているのですが、電車の車掌のように、堂々とではありません。

室内で仕事をして出る時、電気が消えているか、片付けは行っているか、鍵はしたかなどを指を差し、「電気オッケー、片付けオッケー、鍵オッケー」と確認してみる程度です。

とはいえ、その効果侮るなかれ。
これだけでも、電気の消し忘れや鍵のかけ忘れなどを、減らす効果を実感しています。

一昨年なんて、2回も施設の電気消し忘れで注意を受けたというのに、今のところ同じような注意を受けていないのです。

大きな進化ですね。

ただ一定期間効果があっても、慣れてくると、ただやっているということになりかねません。
意識的にさせる工夫を取り込んでいく必要があるとは思います。

チェックの仕方には、色いろあるでしょう。
2人で行うダブルチェック、記録に残すチェックシートなど。
しかし、どれも一長一短はあります。

指差呼称にも欠点があります。
慣れると形だけで、実質的なチェックが伴わなくなるというのは短所ですね。

しかし手軽に始めれるのは長所であると言えます。

1人でやるのが気恥ずかしいなら、職場全体で取り入れるのも挑戦的であると言えそうです。

安全管理は、コストがかかるものもたくさんがあります。
機械の安全化などは、機械そのものを新しくしたり、改造したりと費用がかかりますね。
こればっかりは、コストを掛けなければなりません。

刃が剥き出しの回転機械は、どんなに作業者が注意を払っても危険ですよね。
それよりは、刃にカバーが付いているものに換えるほうが、遥かに安全効果が高くなります。

そういったものではなくてもヒューマンエラーを防ぐ手段はあります。その手段には、コストをかけずに行えるものもあります。指差呼称はヒューマンエラー対策に効果的です。

何事もコストをかけるか、手間をかけるかという選択があるでしょう。

指差呼称による、チェック漏れの防止は、手間をかける対策です。

ほんの少し、「チェックしているんだ!」という意識を高める程度のことですが、この少しが大きな効果として現れるのです。

3月は年度末なので、バタバタすることも多いでしょう。
忙しさのため、最後の最後で確認ミス、チェック漏れで、跡を濁すことも起こりがちです。

終わりよければ、全て良し。
最後の最後に、チェック体制を強化するのも大切なことではないでしょうか。

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