○ショートストーリー”猫井川ニャンのHH白書”

猫井川に迫る指詰めの危機!

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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。

(株)HHCの猫井川ニャンの今日は、会社の資材置き場でのお仕事です。

今朝、犬尾沢ガウから、コンクリート打ちがあるから、型枠用のコンパネを準備してくれという指示があったのです。
この作業を保楠田コンと一緒に行うことになりました。

コンパネ、つまりコンクリートパネルとはベニアを重ねた合板のことで、表面がオレンジ色の多いです。
コンクリートを打つ時は、ドロドロなので、固まるまでの間、形を保ってあげなければなりません。
コンクリートが固まった時の形に、コンパネで型取りを行うことを型枠というのです。

倉庫では、常時コンパネをストックしています。
猫井川と保楠田は、保管場所から外に運び出します。

「夏に倉庫内整理してて、よかったですね。
 去年だったら、物がたくさんあって、運ぶ時にコンパネがあちこちぶつかってました。」

猫井川は、夏の倉庫整理のことを思い出しながら、話しました。

「そうね。ぶつかるどころか、コンパネがどこにあるか探すのに時間がかかったよ。」

保楠田も笑いながら、答えます。

「保楠田さん、明日くらいから型枠を組むんですか?」

「犬尾沢君の話だと、そうみたいだね。
 それにしても、かなりの量のコンパネを使うな。
 とりあえず、トラックに載せられるだけ、載せていこうか。」

保楠田と猫井川は、長さが1.8m×0.9mのコンパネを1枚ずつ運び出して、倉庫の出口付近に重ねていきました。

10枚ほど運び出したところで、ひとまずトラックに積み込んで、運び出すことにしました。

「猫ちゃん、トラック持ってきて。
 コンパネは一回載せよう。」

猫井川は、保楠田の指示を受け、猫井川はトラックを持ってきました。

「じゃあ、俺は車台で受け取るから、猫ちゃんは運んできて。」

「はい。1枚ずついきます。」

猫井川が重ねたパネルを1枚ずつ荷台まで運び、荷台の上で保楠田が重ねていきます。
リズミカルに作業は進み、あっという間に10枚運び入れました。

10枚重なったコンパネは、荷台のアオリよりも高くなっています。

「ちょっと、これ以上重ねて運ぶとグラグラするから、一度加工場に運び込もうか。
 コンパネはロープで固定しよう。
 
 猫ちゃんはロープ持って、固定していってくれる。」

猫井川は、言われたように荷台にロープを掛け、コンパネが輸送中にグラグラと動かないように縛っていきます。

荷台の左右をロープを渡し、ギュッギュッときつく縛っていきます。
手でコンパネを押してみて、動くかどうかを確認し、縛り具合も確かめます。

トラックの右側で、ロープを縛りながら、猫井川は保楠田に伝えました。

「保楠田さん、反対側のロープを持って、引っ張ってくれません?
 もうちょっときつく縛ります。」

「いいよー。
 じゃあ、引っ張るね。」

ちょうど左側に居た保楠田は、すぐさまロープを持ち、ぐいっと引っ張りました。

「いや、ちょっと待って。
 まだこっちの準備がッ!
 危ねッ!」

いきなり引っ張ると思わなかった猫井川は、まだロープを荷台のフックにかけてるところでした。
指はまだ、荷台とロープの間に。

やばい、挟まれる!

そう思った瞬間、反射的に指を引っ込めました。

引っ込めるのが早いか、挟まるのが早いか。
指の行方は。

どうやら、今回は引っ込めるが早かったようで、ちゃんとヒヤリハットの範疇に収まりました。

「保楠田さん、合図してから引っ張ってくださいよ。
 今の危なかったですよ。
 指を挟みそうになりましたよ。」

「ごめんごめん。
 ちょうど側にいたし、すぐやってもいいものかと思って。
 大丈夫だった?」

「とりあえず、大丈夫です。
 でも、あの勢いで挟まれていた、やばかったですよ。」

猫井川は、ほっとした表情で、保楠田に言いました。

「そうか、よかった。
 でも指を挟むと、痛いし、下手したら骨が折れるよー。
 俺も一度、玉掛けの時に指を挟んじゃってさ」

保楠田は、自分の怪我の経験話を思い出したようです。

「何ですか、それ。
 痛い話ですか?」
痛いのが苦手な猫井川は、聞きます。

「そうそう。その時はものすごく痛くてさ。」

ひとまず、荷台とロープに指を挟まれるピンチを脱した猫井川は、二人してトラックに乗り込んでから、延々と保楠田痛い話を聞かされるのでした。

このピンチは、まだしばらく続きそうです。

今回は、トラックの荷台に物を載せる時に、ありがちなヒヤリハットです。

トラックの荷台に積んだ荷物は、そのままでは、走行中に落下してしまいます。
そのため、覆いをかぶせるか、ロープで落ちるどころか、ちょっとやそっとの力では動かない程、ガチガチに縛り付けます。

とてもきつく縛り付けるのですから、ロープと荷台や荷物の間に手や指を入れてしまうと、挟まれますし、かなり痛い思いをするはめになります。

また勢いよく指を挟み込んでしまうと、骨が折れることもあります。
扉に指を挟むなどを想像してみると、どういう状況か分かるかもしれませんね。

とにかく痛いです。

荷台でのロープ固定の時以外でも、指を挟む状況はあります。

非常に多いのが、玉掛けの時、荷物とワイヤーの間に指が挟まれてしまうことです。

玉掛けは、クレーン作業の時などに、荷物を吊上げられるようにう、ワイヤーでくくることです。
荷物をくくり、ワイヤーをクレーンのフックに掛けるのですが、この時に荷物の重心が傾いたりしていると、落下します。

そのため、一度少しだけ宙に浮かせて、バランスを見ます。
これを地切りというのですが、地切りの際に少し荷物を持ったり、ワイヤーを持つことも少なくありません。
バランスを崩した荷物とワイヤーに指が挟まれるという事故も、少なくないのです。

指を挟む、詰めるという事故は、命に関わるようなものでありません。
打撲やひどい場合でも骨折です。
どちらかと言うと軽微な怪我で済みます。

そのため、注意も軽視されがちではあります。
足場からの落下や、加工機械への挟まれ・巻き込まれなどの重大さ以外に比べて、特段の注意を払われにくいです。

しかし、労災には違いありません。しばらく通院も必要になるでしょう。
そして、何よりもとても痛いです。

一方で、しっかり注意を払っていれば、防ぐこともできる事故でもありますね。

さて、今回のヒヤリハットをまとめたいと思います。

ヒヤリハット コンパネをトラックの荷台にロープで固定していたら、指を挟みそうになった。
対策 1.固定物と荷物の間に指を入れない。
2.2人で引っ張る場合は、声を掛け合い、引っ張るタイミングを合わせる。

今回のお話では、猫井川がまだロープを掛けている途中で、準備ができていないのに、保楠田がロープを引っ張ったため、あわやということでしたね。

複数で作業に当たる時は、声を掛け合うことが大切です。
相手が何をするのか、自分は何を行おうとしているのかを、互いに把握しなければ、時に危険な時もあります。

玉掛けの場合であれば、クレーンの操作者が玉掛け者を見ずに、荷を吊り上げたりすると危険極まりありません。

指先への注意と声の掛け合いで、指を挟む事故は防ぐことができます。
玉掛けやロープ掛けは、日常的な業務で慣れているでしょうが、慣れは油断を産み、怪我につながることもあります。

どうやら、保楠田も昔、指を挟んだことがありそうですね。
昔の怪我の話を、武勇伝のように話す人もいますよね。

さて、猫井川は保楠田の痛い話からは逃げられそうにありません。
耳からの危機は続きそうです。

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