○コラム

委員会の理想と現実

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安衛法では、一定の業種または規模に応じて、安全衛生に関する委員会を開催することと規定されています。

委員会については、こちら。
安全委員会、衛生委員会、もしくはどっちも合わせた安全衛生委員会

さて、この委員会、事業者と労働者双方の意見を取り入れ、調整しながら、安全衛生に関する問題を審議するわけですが、実際に運営または参加されて、いかがでしょうか?

私の会社では、開催する要件にないのですが、他社の委員会に参加する機会もあります。
参加して感じたことと、他の参加者の話を聞いた上での、感想は「なんだかな~」です。

当事者ではないので、実際のところはわかりません。
しかし、仮に私が開催する立場であれば、本来の目的を果たしきれているのか、ただ集まっているだけではないのか、時間の無駄なのではないかなどと頭を悩ませるかもしれません。

もしかすると、同じように感じてらっしゃる方は、少なくないのではないでしょうか。

通常の仕事を止めて、月に1回以上の委員会参加。
参加者にとっては、なかなかの負担です。
また同時に、運営側としても、議題や資料の準備など、かなりの負担です。

そこで、私が委員会に参加して感じた問題点をまとめてみたいと思います。

なるべく、こんな風にしてみるのはいいのでは、というのも書いてみます。が、参考になるかは、ご判断に任せたいと思います。
もしかすると、あるあるネタに終わるかもしれませんけども。

1. 年間計画を年度スタート後に審議

事業者は、安全衛生の年間方針を決めたりします。
これは法的には、「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」に基づくもので、事業所内の安全衛生計画で、提出等は必要ありません。
ただし、労働基準監督署等から提出を求められることもあります。

大体の事業者は、年度初め、多くは4月スタートの安全衛生計画を作成し、実施していくのではないでしょうか。

これは2度ほど、立ち会ったケースです。
4月スタートの年間計画を作るのが4月の定例会というのがありました。
内容は、大体昨年の同じようなもの
でしたね。確か。

原因としては、3月までの年度末は忙しかった、忘れていたなどかと。

こういうのは、少なくないのではと思うのですが、どうなんでしょうか?

安全衛生の指針等は、毎年大きく変わるものではないので、ある程度仕方ないかと思います。

事故が起こりやすいパターンは、業種によりある程度決まっているかと思います。
例えば、工場でプレス機を使うならば、はさまれ事故防止が、常に最重要の指針になると思います。
建設業、特に高所で作業することが多い場合は、墜落防止が、一番優先されるべきことになると思います。

これの対策としては、1月くらいの委員会で、年間計画の話題をあげることでしょうか。
また内容のマンネリ化については、事業場巡視や安全パトロールでの気づきを盛り込む。他社がやっていることで、使えそうなことを盛り込む。
事故の事例を踏まえた、目標として計画を立ててみるなどでしょうか。

例えば、韓国の旅客船沈没事故にちなみ、機械の点検強化を目標としてみる。
または過積載や無理な運用になっていないか、などの洗い出し強化年間とするなど。

1点のみ集中した目標を立て、その目標を達成する計画を作るとよいかもしれませんね。

ちなみに、私の会社での、今年(平成26年度)の年間目標は、次のとおりです。

1. 機械の点検
2. 作業場のでコミュニケーション向上

これを踏まえ、機械の点検ポイントの確認や、挨拶の大切さ、TBMではこんなことを話しましょうなどの教育を行っています。

2)マンネリ化、適切な議題が見つからない

長年やっていると、議題が出尽くします。
毎度毎度やっていると、会自体もマンネリ化します。
そして、マンネリ化した会議は、退屈この上ありません。

これは、永遠のテーマかもしれませんね。

運営側としては、何とか議題を集めたいところでしょうが、普段の仕事もあるので、そう時間をとることも難しいはずです。

このような場合で、案として出されるのは、こんなことですね。
・議題推進者を持ち回りにする。
・審議と報告の順番を入れ替える。
・メンバーを替える。
・時事ネタを盛り込む。

一時的には、効果はあると思います。
とはいえ、これらもすぐにネタ切れになる可能性があるので、持続的にあれこれ考えないといけません。

私は委員会運営をしていないので、安全大会、安全教育で工夫していることになるのですが、1つ紹介します。
年度初めくらいは、多少は気分も一新して、やる気があります。
その内に年間全てのテーマを決めて、ある程度のネタを仕込んでおきます。
つまり4月はこの話題、5月はこの話題というように、先に軽く決めておきます。

これがいいかどうかは分かりませんが、いざ開催前で、資料を準備するときに、とりあえずのネタがあると、スタートを切りやすいように感じます。
ネタ探し。これが一番しんどいので。

喫緊に審議すべき議題がある場合は、それを優先させるべきですが、議題が困った時のために、事前にいくつかネタを仕込んでおくと、「何をしようか」という時間は短縮できるのかなと思います。

3)報告だけ。しかも長い。

ひたすら報告事項が長く、審議することはあまりないというのも、よくあるのではないでしょうか?

発表の多くは、配布資料の読み上げというのは、委員会や会議等に限らず、よくあることです。
これは個人的な感想ですが、一字一句読まなくていいのと思ってしまいます。

配布資料は発表で読み上げている箇所よりも、先に先に読んでしまうので、遅く退屈に感じてしまうのです。

私としては要点と強調する箇所だけ発表しても、差し支えないのではと思ってしまうのです。

とはいえ、全部読み上げるのが好きだという人もいるのもいるのですけども。

膨大な資料を全て読み上げるとなると、相当の時間がかかります。
報告を聞いている時間は、発表者以外にとっては聞いている時間なので、議論の時間ではありません。
報告後に検討、議論、審議の時間になります。
意見が交わされない時間は、聞いている側としては、受け身になるため、少々退屈さを感じてしまうのです。

また報告が長すぎ、審議する時間が十分にとれないため、結論は次回にということも有るのではないでしょうか?
下手をすると、次回開催時には前回から先送りされた内容も忘れてしまい、結局事業者または労働者側の意見でまとまる、なんてケースもあるかもしれません。

ある程度意見を求める内容については、委員会開催の案内などとともに、審議内容の概要または資料を送り、その内容について各人にあらかじめ検討しておいてもらうのも1つの手だと思います。

全ての人が事前に資料を見るわけではないと思います。委員も他にも仕事がありますからね。
それに資料が複数もあれば、読む気にもなれません。
複数の議題がある場合は、特に事前に検討してもらいたいもののみ、事前資料として渡す方がいいでしょう。
その辺りはバランスを感が手調整ですね。

ただし、事前に資料を配布しているならば、報告を行うときに、一字一句読み上げるのではなく、要点を絞って話しても、多少は言い訳はたつのではと思ったりします。

私個人としては、ぜひ端折って欲しいところです。

4)時間が長い、または短い。

委員会では、全委員が仕事の手を止め、時間を割いて参加しています。
各委員にとっては、なかなかの負担であると思います。

もしかすると、今は忙しいから早く切り上げたという委員もいるかもしれません。
その人にとって、長い話し合いは、気が滅入るかもしれません。

審議内容により長くなるものはしかたがないと思います。
しかし、だらだらとした話し合いが2時間以上も続くのは、案外苦痛です。

そのような会議や委員会の経験はありませんでしょうか?

また、15分位で終わってしまうのも、あれ何話したんだろうと、心細くなってしまいます。
時間が短いのは、審議内容がなかったことですから、これは議題探しに重点を置く必要があるかもしれません。

時間については、終了時間を決めておくのがよいと思います。
決められないのでしたら、例えば午前10時からスタートして、遅くとも12時の昼休憩で開放とするような時間設定にするかです。

最もダメなのは、就業時間後から、終わりの時間を決めずにやることです。
うちの会社でも、会議を作業完了後にすることがあるのですが、だらだらに続く傾向にあります。

先ほどの報告が長いというのも、時間を長引かせる要因です。
また報告ではなく、活発な議論が交わされる場合も、長引きます。
議論は大切ですが、1つの案件だけで、時間を使いすぎることもよくありません。

可能ならば、運営側で1つの案件の審議時間にかける時間を決め、タイムスケジュールを組んでおくのがよいと思います。
締切が見えていると、活発に明確になるでしょう。

長くすぎもせず、短過ぎもしない。
ちょうどいい具合の時間にしたいものです。

5)審議した案件が、実行に移されていない。

委員会で審議し、決を取ったものの、実行されていないというのも、時々耳にします。

これについては事業者が労働者に指示し、実施させることになります。
この指示が不十分だと、実行されませんね。
また指示されても、労働者側がやる気がないと、実行されませんね。

決めたことを、実行するのは、事業者と労働者ともに協力しなければいけません。
しかし、ただやれ、という命令では、実行してくれません。
なぜ、委員会はその結論に至ったのかなどの背景もきちんと説明する必要があります。
委員会の概要等については、公開しなければならないのですが、みんなが読むとは限りません。

そのため、労働者に関係する内容は別途、案内資料を作成し、配布してもらった方がいいかもしれませんね。

また実行されてないようです、と見守っていても仕方ありません。
委員会では、決定事項が実行されているかの経過を確認し、評価しなければなりません。
大体において、評価基準も設定しているでしょうが、実行の有無も含めての評価方法も審議しておきましょう。

かなりの私見も入っているのですが、私が感じる委員会の問題点をまとめてみました。
他にも、たくさん問題と感じているものはあると思います。

また問題があったとしても、様々な工夫や知恵で、うまくいっている委員会もたくさんあると思います。そういった例があれば、ぜひ知りたいものです。

義務とはいえ、労働者の安全衛生に関わる重要な場なのですから、なるべく意義のあるものになればいいなと思います。

個人的には、濃密でコンパクトなのがいいなと思いますが、なかなか思い通りにいかないものです。

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