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統計が平成28年度の事故統計から、考えること

ここしばらく、ブログの更新を怠ってしまいました。

仕事と家庭で忙しいという言い訳があるのですが、更新を完全にストップするとなると、気が引けてしまいました。

さて、今日は書いて、更新します。

労働安全において、6月から7月にかけては最も多忙な時期になります。
なぜなら、毎年7月1日から7日は、全国安全週間だからです。
そして6月は丸ごと、安全週間の準備期間と位置付けられています。

そのため6月は、特に安全大会などを開催する会社や事業場が多いです。
安全大会以外にも、公共工事では発注者主催の合同安全パトロールが開催されたりしています。

私がお世話になっている仙台の安全教育センターでも、土日なども含み、かなりのストジュールが埋まっているようです。
日によっては、安全大会での講演がダブルヘッダーという日もあったりするようです。

また今月末には、足場作業従事者への特別教育の猶予期間が終了となります。
足場業務をする人の多くはすでに受講されているかと思いますが、今まで受けるタイミングを逃していた方や事業者の駆け込み依頼もあるようで、6月のスケジュールを更に過密にする役を担っています。あ

私も4月、5月には、足場の特別教育(経験者向け3時間コース)を午前と午後やったりしてました。
ダブルヘッダーは大変は大変なのですが、何というか慣れてきました。人間は大した順能力を持っているようです。

このように労働安全に携わる一部の人には多忙なこの時期に、中災防より「安全の指標」という冊子が刊行されます。
「安全の指標」には、昨年から今年にかけての労働安全に関する統計やトレンドなどがまとめられています。

ちなみに今年の大きなトレンドは、ISO45001についてではないでしょうか。
ISO45001は、労働安全衛生マネジメントシステムの国際標準規格です。
ISO9001(品質)、ISO14001(環境)、ISO27001(情報セキュリティ)などを導入されている企業も多いと思いますが、これに列する新たな規格です。

労働安全衛生マネジメントシステムとしては、OSHMSなどがすでにあります。
若干の相違はあるようですが、既存のシステムを基礎にして進めるようです。

私はISOについては関与していないので、具体的な相違点は分からないので、これ以上は足を踏み込みません。
きっと他にたくさんの専門家の方がいらっしゃると思います。

さて、ISOのトピックもあるのですが、「安全の指標」の冒頭カラーは、昨年度(平成28年度)の災害統計が掲載されています。
これについて、少し見ていきたいと思います。

統計は、厚生労働省も公表しているので、こちらも参考になります。

平成28年の労働災害発生状況を公表(厚生労働省)

昨年度の統計をグラフで表すと、次の通りです。

死傷災害(業種別)

死亡災害(業種別)

死傷災害(事故の型別)

死亡災害(事故の型別)

まず特徴ですが、死亡者数は昨年に引き続き1000人を下回り、928人です。統計を取り始めて最小の災害数です。
しかし、休業4日以上の怪我や病気を含めた死傷災害は、117,910人となり、前年より1,599人の増加となっています。

過去5年の推移は次の通りです。

厚生労働省も分析していますが、死亡災害が減ったのは、建設業と陸上貨物運送業での死亡事故減少が大きいようです。
ちなみに建設業の死亡者は294人(前年比33人(10.1%)減)、陸上貨物運送事業は99人(前年比 26人(20.8%)減)となってます。
一方、製造業では、製造業が177人(前年比 17人(10.6%)増)となり、 前年より増加しています。

減少傾向にありますが、依然として建設業の死亡災害が多く、全体の約30%を占めています。

災害の型で見ると、「墜落・転落」が多く、 232人の方が被災し命を落とされました。これは全体の約25%を占めています。
しかし前年に比べると16人(6.5%)減のようです。
増加したのが、「交通事故(道路)」で218人(前年比29人(15.3%)増)、機械などによる「はさまれ・巻き込まれ」が132人(前年比4人(3.1%)増)になってます。
交通事故の増加が、気になるところです。

死傷災害が増加したのは、小売業、社会福祉施設、飲食店などのいわゆる「第三次産業」での災害増加が影響しているようです。
業種別死傷災害のグラフを見ると、第三次産業が46%を占めているのがわかります。
死亡事故までは至らなくとも、長期休業を伴う事故が多いのは気になるところです。

第三次産業で事故が多い理由は、安全衛生管理の体制や教育が弱いということがあるようです。

統計データで見ると、死亡事故は減少傾向にあり、死傷災害は横ばいと見ることが出来ます。
しかし決して忘れてはならないのが、この数字1つひとつに「人」がいるということです。

数字だけを見ると、災害でどのような影響があったのか、被災者本人やその周りの人たちのことは見えてきません。
しかし被災した928人の方には、全て家族や友人、同僚といった人たちがいるのです。

もしそれが私たちの周辺で発生したならば。

決して、数字の多寡では測れないものがあります。

これらの統計データは、安全教育などで活用されるのが良いと思いますが、その時は被災された1人ひとりを思い描き、自分たちの周囲で事故が起こったら、どんなことがあるのかを想像してほしいと思います。

心に残り、行いの改善を引き起こすのは、情報ではなく、情緒であると思います。

災害ゼロは、不可能かもしれません。
しかし、この数字をさらに少なくする努力は可能です。
全国安全週間は、そのような期間になると、多忙なことも報われるかなと思うわけです。

 

コメント

  1. 大迫 健二 より:

    はじめてコメントさせていただきます。
    大変勉強になることが多くて、ありがとうございます。

    いま作業員にもわかりやすい、訓練テキストを作成しているのですが、これでいいものなのか?思案中です。もしよろしければ、送付しますのでご意見をお聞かせできないでしょうか。また、当ブログの内容を安全訓練の資料作成に、使用して問題はないでしょうか?

    1. itetama より:

      コメントありがとうございます。
      また返信が遅くなり申し訳ございません。

      まず、ブログの内容を使用していただくことは問題ありません。
      ただ、各ページトップの画像は、版権フリーのサイトなどから探してきているものの、再利用となると問題があるかと思うので、避けていただければとも思います。
      記事内のグラフや安全教育で掲載している画像などは、使用していただいて構いません。

      さてテキストを拝見し、何かしらの意見を申し上げる件ですが、いかに時間を捻り出そうかなど考えてみました。
      ぜひ拝読したいところなのですが、現状としまして、精読する時間を十分に持つことが困難ですので、大変申し訳無いのですが、ご辞退させていただければと思います。

      1. 大迫 健二 より:

        ありがとうございます。
        安全訓練の資料として、使用させていただきます。

        今後の活躍をご期待しています。

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