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重機下敷きで男性死亡(神奈川県川崎市)

建設業の現場では、ほとんどの場合、ショベルカーを使います。
サイズは小型のものから、大型のものなど現場や用途によって使い分けられますが、土をいじるのに欠かせない機械です。

使う頻度の多い機械は、相対的に事故も増えてしまいます。
事故の多くの場合は、使用時に接触するか、ひかれるというものです。

しかし、機械を現場に持ち込む時、持ち出す時も油断なりません。
トラックやトレーラーから降ろすときなども、危険を伴うのです。

神奈川県川崎市の道路作業現場で、トラックにショベルカーを積み込もうとした時に事故がありました。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

重機下敷きで男性死亡 川崎の路上 (平成29年2月2日)

1日午後5時35分ごろ、川崎市幸区の路上で、男性作業員がショベルカーをトラックの荷台に積み込もうとした際にショベルカーが横転、一緒に作業していた会社員が下敷きになった。

被災者は2日未明、搬送先の病院で死亡が確認された。

神奈川県警幸署によると、男性作業員がショベルカーに乗って荷台に乗り入れようとした際、傾いたため、近くで片付けをしていた被災者に様子を見るよう頼んだ。その後、何らかの理由でショベルカーが地面に倒れたという。

同署が詳しい原因を調べている。

産経新聞

この事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」で、起因物は「重機」です。

この時使用されていた、ショベルカーのサイズはわかりません。
しかし路上作業なので、さほど大きなものでなかったかもしれません。

事故は作業が終わって、ショベルカーをトラックに載せようとした時に起こりました。
トラックの荷台は、道路から1メートル以上段差があるので、さすがのショベルカーもそのままでは載りません。
荷台に載るために、道板など使用します。道板を道路と荷台の間に架け渡し、ショベルカーはその上を歩きます。

しかし道板も幅広ではありません。せいぜい左右のキャタピラ(履帯)部が載る程度です。
少し進入角度を間違えると、途端に道から外れてしまいます。

この事故でも、道板を踏み外し傾いた思われます。
そして、運転者とは別の作業者が確認していたところ、地面に転落したのでした。
様子を見ていた作業者は、この時下敷きになってしまいました。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

道板を使ってトラックなどに載せる場合には、注意が必要です。
まず、平坦な場所で行うこと。これは路上だったので、問題なかったと思われます。
次に道板は十分な強度を持ち、勾配も適切でなければなりません。

この事故ではどのような道板を使っていたかは不明ですが、角度が急だったなどの可能性はありそうです。

積卸し作業時ですが、運転者は機体の下にある道板を十分に見ることは出来ません。
記事を読むと、どうやら1人作業を行っていたようですので、足元の見えなかったのではないでしょうか。

事故が起こったのは、2月の午後5時過ぎです。
まだ日暮れが早く、暗くなっていました。
足元の見えづらい条件が整っていたと思われます。

車体が傾いた時の対処方法も問題です。
足元の確認を別の誰かに見てもらうにしても、車体に近づかせすぎることで、被害を大きくしたのではないでしょうか。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

夕暮れ時で足元がよく見えなかったこと。
積込時に、誘導者がいなったこと。
傾いた車体に、対処なく近づかせたこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

まず何より道板を適切に使用しなければなりません。
強度や幅はもちろん、勾配も適切(15度以内)とするため、ある程度の長さも必要です。

適切な道板を使用しても、ショベルカーの積卸し自体が、細い板を歩く、不安定な作業なのは間違いありません。
そのため運転者と誘導者が連携して、積卸しを行います。

特に暗くなってきたときなどは、運転者だけでは通路が見えづらいので、誘導者が必要になるでしょう。

万が一、車体が傾いたなどの場合は、車体を無闇に動かしてはいけません。
ましてや、下敷きになるおそれのある場所に人を立ち入らせてはいけません。

まず転落しないような対処をとり、元の道に戻すなどが必要です。(具体的には現場で考える必要があるでしょうが。)
また、機体の転落はやむを得ないとして、運転者も退避する選択肢も排除しないほうがよいでしょう。

復旧させて、何事もなく作業を行うのが理想ですが、場合によっては命を守る方を選ばなければならないこともあります。

対策をまとめてみます。

誘導者に誘導させる。
道板を見やすくするため、十分な照明を点ける。
機体の下に人は立ち入らせない。やむを得ない場合は、退避する。

狭い道板を踏み外すと、復旧するのに四苦八苦します。
下手に動けば、ますますバランスを崩したりもします。

ちょっと足元見てくれとお願いしたくなるのは確かですが、下手に近づきすぎると、大事故になりかねません。

トラブルを回避するためにも、誘導者をつけて作業するほうがよさそうです。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

【安衛則】

第161条
車両系建設機械を移送するために貨物自動車に積卸しを行う場合は転倒防止のための措置をとらなければばならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

安全に車両系建設機械を使用するための措置 その2

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