○ショートストーリー”猫井川ニャンのHH白書”

保楠田、脚立足場がズルリ

こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。

index_arrow 第117話「保楠田、脚立足場がズルリ」

保楠田の今日の作業は、猫井川と建物の外壁のひび割れの補修に駆り出されていました。

最近は、忙しさの鳴りは潜めてしまい、仕事を探すことが大変だったりします。
そのような中での今回の作業なのでした。

今回の仕事はそのような中で、見つけたものです。
しかし2、3日で終わってしまう仕事なので、事務所でぼんやりしていることに比べたら、はるかにマシなのでした。

猫井川と一緒に現場入りしたら、まずは現場の確認です。

作業は、駐車場になっている1階部分の壁の補修です。
壁のあちこちにひび割れがしているのが見えます。
このひび割れをケレンして、モルタルを塗るのが今回の仕事なのでした。
その後、塗装をするそうなのですが、それは別の業者がやることになっていました。

「結構多いね。」

ひび割れた箇所に、チョークで印をつけながら、保楠田が言いました。

「そうですね。どこまでの範囲やるんですか?」

「ん~、とりあえず全部らしいよ。」

「そうですか。これだけの数だと結構時間がかかりそうですけど。」

「でも、明日までしかないから、急がないとね。」

「そうですね。急がないとですね。」

こうして、2人はバケツにモルタルと水入れて練り上げ、コテとともに作業に取り掛かりました。

壁の低い位置は、床に立ったままで作業できましたが、高い場所までは手が届きません。
しかし高所作業車などを使うほどではない高さです。

そのため脚立足場を組んで、作業をすることになったのでした。

脚立足場は、それぞれが使う分を組立てていきます。

「ゴムバンドはもう一つない?」

補楠田が猫井川に聞きました?

「ないですか?俺の方は余りないです。」

「そうか、片方のバンドがないけど、仕方ないか。
 まあ、注意してやるよ。」

完璧ではないものの、脚立足場を作り終え、それに乗って作業することになりました。

数が多いので、かなりの急ぎ気味に仕事を進めていきます。
保楠田も猫井川も無言で、どんどん進めていきます。

1箇所やり終えると、解体して、次の場所で組んでいきます。
そしてモルタルがなくなると、また練って、脚立足場に乗る。

これをずっと繰り返して、午前中の仕事を終えました。

昼休憩をしていると、2人はすでに疲れた様子になっていました。

「どれくらいできました?」

猫井川が聞きました。

「思ったほど進んでないかな。午後はもっとペースアップしないとだよ。」

「俺も同じような感じです。」

午後は2人とも張り切らなければならないと決意したのでした。

午後も同じような作業を繰り返します。さらにペースを上げて。

保楠田も急ぎ、ヒビを補修しては、次の場所に脚立足場を組んで、またその足場板の上に登ります。

そんな焦りが出てきしまいました。

保楠田が脚立足場を降りようとした時、バンドに結束されていない足場板が軽く浮いてしまったのでした。

その勢いでズルリと滑り、バランスを崩してしまいました。
咄嗟に足場板を掴み、何とか転落するのを防ぎました。

ガタンと大きな音を立てて、脚立に打ち据えられる足場板。
その音に猫井川が振り返ります。

「大丈夫でした?」

「あ、危なかったけど、何とか大丈夫。」

冷や汗をかきながら、ゆっくり立ち上がる保楠田。
そのまま脚立を下りていくのでした。

脚立を下り、改めな場所に組み立てるときは、急ぎながらも慎重に足を運んでいくことになるのでした。

index_arrow ヒヤリ・ハットの補足と解説

今回は、脚立足場のヒヤリハットでした。
脚立足場は特別教育を修了した人でないと、組立て解体できません。

そして構造にも規定があります。
構造の1つとして、足場板をゴムバンドで固定しなければなりません。
今回は、その足場板の固定がなかったことが問題でした。

脚立足場が使用できる高さは2メートル未満です。
高さとしては低いものですが、落ちると大怪我になることがあります。

脚立足場を組むときは、脚立や足場板だけでなく、ゴムバンドも忘れないようにしましょう。

それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。

ヒヤリハット 脚立足場の足場板がゴムバンドがなく、バランスを崩した。
対策 1.脚立足場はゴムバンドで固定する。
2.足場板の上では、慎重に歩く。

脚立足場の組立て解体も特別教育が必要というのは、意外と知られていなかったりします。
平成29年7月までは猶予期間ですが、それ以降は違反となるので、早めに特別教育を受講して下さい。

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