○ショートストーリー”猫井川ニャンのHH白書”

猫井川、ミキサー車からの足ツルリにゾワッとする

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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。

index_arrow 第105話「猫井川、ミキサー車からの足ツルリにゾワッとする」

工事は順調に進んでいきました。
基礎地盤の改良工も無事終わりとなりました。

「これで、第一段階終了ですね。」

猫井川は、側で野虎に言いました。
2人の視線の先には、トレーラーに載せられ、引き上げていくオーガがあります。

役割りを終えたオーガは、別の現場へと運ばれていくのでした。

「そうだね。順調で何よりだよ。」

野虎も満足そうです。

「明日は、均しコンクリートを打ちます。」

「そうか、地盤改良でも均しコンクリートは打つんだね。」

「ええ、そうですね。コンクリートがないと、墨出しとか、鉄筋組みがやりにくいので。」

「わかった。コンクリートが入るのは、何時くらい?」

「朝から型枠を組みますので、11時くらいですね。」

「それじゃ、明日頼むよ。」

「わかりました。」

野虎が去った後、猫井川は片付けをしている鼠川や保楠田の元に向かいました。
鼠川たちは、道具をダンプに積み込んでいました。

「明日なんですけど、」

猫井川は2人に話しかけました。

「うん?」

鼠川と保楠田は、猫井川の方に顔を向けます。

「朝から防湿シートと均しコンの型枠を組んで、11時にコンクリートを打ち始めますので、よろしくです。」

「型枠材はあるのか?」

鼠川が聞きます。

「昨日、兎耳長さんに準備してくれるように頼んでるので、大丈夫です。」

「そうか。コンクリートは何台来るんだ?」

「これくらいの大きさなので、一応大型を4車頼んでいますが、最後は余るかもしれません。」

「そうだな、少し余るかもしれんな。」

「でも3車では足らなさそうなので。最後は少なめにしてもらっていますが、余ったら余ったで仕方ないです。」

「わかった。じゃ明日はそういう段取りだな。」

「はい、お願いします。」

3人は明日の段取りを確認すると、事務所に引き上げていったのでした。

翌日、朝から大忙しです。

何せ、コンクリートが来るまで時間がありません。
しかしやることはたくさんあります。

時間制限がある中で、兎耳長を含めた4人は大忙しで作業をするのでした。

そんな中、ミキサー車は予定の時間より15分くらい早く現場に来ました。

4人の作業は終わりかけとはいえ、まだ完了していません。

「11時前に来たな。」

鼠川が言いました。

「そうですね。仕方ないので、少し待っててもらいましょう。」

猫井川は、ミキサー車の運転手のもとに行き、しばらく待っててくれるように伝えました。

ややせっかちそうな運転手は、頷くと運転席に乗り込んでしまいました。

少しミキサー車を待たせつつ、作業を進めます。

11時の5分前には、一通りの準備ができました。

ソワソワと運転席を出たり入ったりしていた運転手は早速、準備に掛かりました。

コンクリートは、バケットを吊ったショベルカーで打ち込んでいきます。

保楠田はショベルカーに乗り込むと、バケットを運んできました。

ミキサー車の側に付けると、バケットにコンクリートが流し込まれてきます。

バケットいっぱいになると、ショベルカーはそれを運んでいきました。
そして、所定の位置まで来ると、側に控えていた猫井川が、バケットを開き、コンクリートを流し込みます。

ドドドっと流れ落ちたコンクリートに、鼠川がバイブレーターを挿し込み、型枠の隅々まで流し込んでいくのでした。
基準杭の高さまでコンクリートが打ち込み、どんどん場所を移動させていきます。

同じ手順を、何度も繰り返し、ミキサー車のコンクリートを空っぽにしていくのでした。

1台目のミキサー車が空になるタイミングで、次のミキサー車が場内に入ってきました。
ミキサー車はこうして入れ替わっていきました。

新しく入っていたミキサー車が続けざまに、コンクリートをバケットに流し込み始めたのでした。
一方、空になったミキサー車は、少し離れた場所に移動し、掃除にかかるのでした。

ミキサー車に付いている洗浄機で、シュートやホッパーなどを洗っていきます。
猫井川は、その様子を横目で見つつ、新たなコンクリートの打込みをしていました。

チラチラと視界に入る掃除している姿は、先程同様やや忙しないようでした。

ミキサー車の上に登り、ホッパーに水を流し込んでいる時でした。
足場に片足立ちになって、身を乗り出して水を注ぎ込んでいた運転手の足元がツルリと滑り、バランスを崩したのでした。

視界の隅で、倒れそうになる運転手。
猫井川はとっさにミキサー車の方に振り向くと、そこにはホッパーのヘリをガッツリ掴んで、何とか耐える運転手の姿がありました。

「大丈夫ですか?」

猫井川が大きな声で、聞きます。

その声に鼠川や2台目のミキサー車の運転手が同じ方向を見ます。

「だっ、大丈夫です。」

ミキサー車から落ちそうになっていた運転手は、何とか大勢を立て直しつつ、返事をします。

「気をつけてくださいね。あと、上に登るときは安全帯着けて!」

猫井川は大声で指示しました。

ようやく足場に立つことができた運転手は、ペコリと1つ頭を下げて、自分の腰の安全帯のロープ伸ばすと、フックを掛けるのでした。

そしてまたいそいそと水洗いをしていくのでした。

index_arrow ヒヤリ・ハットの補足と解説

今回は、ミキサー車でのヒヤリハットです。

ミキサー車はコンクリートを運びます。コンクリートを運び出した後、そのまま放置していると固まってしまいます。
固まってしまうと、後々困ってしまいます。

そのため現場で洗い流し、掃除します。
この時、ミキサー車の上にまで登り、ホッパーにも水を流し込します。

ホッパーは2メートル以上の高さになります。
高さが2メートル以上の場所では、作業床を設置するか、安全帯を使用しなければなりません。

最近は、清掃のときに安全帯を使用している人も増えてきましたが、まだまだ進んでいません。

それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。

ヒヤリハット ミキサー車の清掃中、落ちそうになった。
対策 1.安全帯を使用する。
2.身を乗り出しすぎない。

機械からの墜落事故も少なくありません。特にミキサー車の清掃は高所作業になりますので、安全帯を使用することが必要です。

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