○ショートストーリー”猫井川ニャンのHH白書”

猫井川、ちょいと現場を振り返り

entry-759

こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。

index_arrow 第1100話「猫井川、ちょいと現場を振り返り」

猫井川は現場の丁張りのしっかり仕切り、順調に終わらせることが出来ました。

丁張りが終えたところで、野虎も現場を確認しました。

「おお、順調に進みましたね。」

「はい、これから掘削ですね。」

猫井川は答えました。

「それじゃ、また事故がないようによろしく。」

一通り野虎は現場を確認すると、現場事務所に戻って行きました。

元請けのチェックを受けたところで、猫井川たちは片付けをして、現場を後にしました。

事務所に戻り、明日の準備を終えると、帰宅しました。

猫井川は会社から電車で数駅の場所に、住んでいます。
一人暮らしではなく、実家住まいなのでした。

夕暮れの中、少しずつ外灯が灯り始めています。
帰路に向かう人もチラホラと見かけます。

猫井川は長く伸びた自分の影を追いかけながら、駅から実家まで歩いて行くのでした。

家に着くと、ドアを開けると、玄関には妹のミュウがいました。
ミュウも帰ってきたばかりのようでした。

「あ、兄ちゃん、おかえり。」

「おう、ただいま。
 前歩いてんだ?」

「そうみたいね。」

そうして、猫井川が靴を脱いで、上がり框に足をおいた時、

「あ、汚い!」

と、ミュウが声を上げました。

「何その靴下。泥だらけじゃない!
 あー!そこ足跡付いてるし!」

と強い調子で言うのでした。

そう言われて、猫井川が自分の足元を見てみると、猫井川の靴下は土で汚れているでした。
作業服は事務所で着替えてきたのですが、靴下は現場で履いたいてままのものなのでした。

「ああ、今日の現場で汚れたからだな。」

「きちんと脱いでから、上がってよね。
 そこもちゃんときれいに拭いておいてよね。」

妹ミュウの強い口調に、苦笑いしながら靴下を脱いで、泥を払ってからあがったのでした。

泥に汚れていることもあり、まず風呂に入り、食事をしていると、ミュウがビールを持って食卓に着きました。

「ご飯は?」

猫井川が聞きます。

「兄ちゃんがお風呂に入ってる間に食べてわよ。
 今は、晩酌。」

「おっさんみたいだな。」

「うっさいわね。
 兄ちゃんも飲む?」

「いや、やめとくよ。」

「そう。」

しばらく静かに飲んでいたミュウですが、唐突に

「今の現場も土だらけになるの?」

「ああ、さっきの靴下な。
 現場やってると、どうしても土だらけになるな。」

「そうなの。」

「今の現場は、俺が担当しているからな。
 その分やらなきゃならないことも多いしな。」

「そうなの。担当って?」

「下請けで受けてる工事だけど、俺が現場監督ということ。
 作業だけやったらいいのと違うから、結構大変だよ。」

「へー、すごいんだ。」

「おう、今回は現場行くより、事務仕事が多くて。
 正直こっちの方が大変だ。体動かしている方が楽だ。」

「そんなものなのね。
 今はどんなことやってるの?」

「そうだな、今は調査と準備が終わって、これから本格的に本格的に作業だよ。
 土木作業だから、これから掘り方だな。」

「へー、よくわかんないけど、これから大変なのね。」

「そうだな、ずっと鼠川さんという人が一緒だから、何とかなってる。」

「鼠川さんて、あの若い奥さんがいる人?」

「そうそう、その人。」

「その人、スペインレストランにいるんでしょ?今度連れて行ってよ。」

「よく覚えているな。また今度な。」

「ちゃんと連れて行ってよね。」

「覚えとく。ところで、お前の方は仕事どうなの?」

「ん?私?順調よ。」

ミュウは、高専を卒業後、工作機械のメーカーに勤め、あちこちの工場に行って機械のメンテナンスをやっているのでした。

「でも、変な会社はいっぱいあるね。
 機械なんかも全然メンテしてなくて、よく動くなと思うのもいっぱい。」

「そんなもんか。なんか面白い話ある?」

「面白いことね。
 そうそう、今日兄ちゃんが汚い靴下で足跡つけたでしょ。」

「ああ。」

「足跡というと、変なことがあったのよ。」

「へー、どんな?」

「この前メンテに行った工場は、すごく掃除とかも行き届いていて、いつも床もピカピカなのよ。
 メンテには何日かかかったんだけど、ある日にね、床に足跡が1つだけついていたの。」

「誰かが汚れた靴で歩いたんじゃないの?」

「うん、普通はそう考えるよね。
 でも足跡は一つだけで、前にも後ろにも1つもないの。ドアからジャンプするのにも遠いし。」

「なんだろうね?それ。
 足跡はいつ付いてたの?」

「昼休みの間よ。変でしょ?
 社員さんみんなハテナになっちゃって。」

「どうしてかはわかったの?」

「うん、私が解決した。」

「え、そうなの?」

「うん、私そういうの好きだから。
 色んな工場行くと、こういう不思議なことも結構あるのよ。
 その度、私が解決してる。」

ちょっと胸は張るミュウ。

「お前すごいな。
 で、その足跡はなんだったの?」

「それはね・・・」

こうして、猫井川家の夜は夜は更けていくのでした。

今回で、このヒヤリハットも100話になります。
よくここまで続けてきたなと思います。

毎回、ネタとシチュエーションを考えるのが大変です。

100話目ということで、今回はヒヤリハットではなく、ちょっとブレイクを入れてみました。

ミュウの話は気になりますが、また機会あればそんな話も書いてみたいなと思います。

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