○コラム

足場の特別教育の猶予期間は1年を切りました

A2 Medway Bridge

昨年、平成27年の7月1日より、安全衛生法関連規則の内、足場に関する法改正が適用されました。

この時の法改正では、一部足場の構造について、墜落防止対策が強化されるなどがありましたが、まだそれは些細な事でしょう。
最も大きな改正で、さらに会社や足場作業をする人に直接関係してくるものは、特別教育です。

法改正以前、足場の資格というと、技能講習がありました。これは作業主任者になるために必要な資格でした。
作業主任者は、足場作業を取り仕切る人、リーダーです。

足場の組立てや解体などの作業するのには資格は不要でした。
しかし今後は、作業するには特別教育を受講しなければならなくなったのでした。

これは作業する人には大事なことです。

先日ある会社で、足場の特別教育に行ったのですが、その会社の方が労基に「特別教育がない人は、どの程度の作業なら出来るのですか?」と質問したそうです。

その回答は、「足場の組立て解体、変更に関わること、あらゆる一切が特別教育修了者でなければダメ」ということだそうです。極端な例として、足場の材料を運ぶのも有資格者でなければダメだとか。
どうやら、材料に触ることすらNGだそうです。

当然、今までやっていた脚立足場も、足場と名が付いているので、有資格者でなければ、組んだりしてはいけません。

相当厳しいことになっています。

この特別教育ですが、時間はどれくらいだと思いますか?

実は、6時間教育なのです。

これは、「安全衛生特別教育規程の一部を改正する告示の適用について」(基発0331第10号平成27年3月31日)に規定されています。

科目としては、次のように定められています。

科目 範囲 時間
足場及び作業の方法に関する知識 足場の種類、材料、構造及び組立図 足場の組立て、解体及び変更の作業の方法 点検及び補修 登り桟橋、朝顔等の構造並びにこれらの組立て、解体及び変更の作業の方法 3時間
工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識 工事用設備及び機械の取扱い 器具及び工具 悪天候時における作業の方法 0.5時間
労働災害の防止に関する知識 墜落防止のための設備 落下物による危険防止のための措置 保護具の使用方法及び保守点検の方法 感電防止のための措置 その他作業に伴う災害及びその防止方法 1.5時間
関係法令 法、令及び安衛則中の関係条項 1時間

半分は、足場についての知識になっています。

しかし、すでに足場の特別教育を受講されたかたの中には、6時間も受けていないという人もいるはず。3時間の講習だったという人もいますよね。

その講習は、別物かというと、そんなことはありません。
正規の講習です。
きちんと修了証も発行されます。

実は、昨年の7月1日の法改正施行から、2年間は猶予期間が設けられているのです。
今まで足場の作業を行っていた人も、この猶予期間内で、特別教育を受講してくださいね、というものです。

昨年7月に法改正が思考されたとはいえ、一度に全ての人が特別教育を受講するのは不可能です。
時間差は出てきます。
まだ未受講の人も作業せざるを得ませんし、直ちに違反だと摘発することも現実的ではありません。

予定を組んで受講されていくので、その期間を2年間としているわけです。
猶予期間を過ぎた、平成29年7月1日からは、有資格者でなければ、一切足場作業に携わってはいけないので注意です。

さて、少し脱線したので、話を戻しますが、3時間講習については、通達の中でこのように記載されています。

第3 特別教育の科目の省略

2 適用日時点で、現に足場の組立て、解体又は変更の作業に係る業務(地上又は堅 固な床上における
  補助作業の業務を除く。)に従事している者については、改正後 の安全衛生特別教育規程第22条に
  規定する足場の組立て等の業務に係る特別教育 の科目に応じて、次に掲げる時間とすることができること。

  (1)足場及び作業の方法に関する知識           1時間30分
  (2)工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識   15分
  (3)労働災害の防止に関する知識             45分
  (4)関係法令                      30分

法改正があった時点で、作業に従事していた人は、教育時間が半分の講習でOKですよという内容です。
3時間講習を受けられた方は、この適用を受けているのです。

この適用を受けるためには、事業者証明が必要です。

私もお世話になっている安全教育センターの講師として、足場の3時間講習をやっています。

安全教育センター

4月から講習した人の人数を数えてみたら、大体500人くらいでした。そんなにも沢山の人の前で話していたんだなとびっくりです。
100人以上の前で話したり、会社に出張して話したり、現場の仮設事務所に出張して話したりしています。

全国依頼があれば出張講習しているから、沢山の人にお会いし、話す機会を頂いているのだろうと思います。

私はパトロールや講習の前には必ず、「今日会う人は絶対事故と無縁にしよう」と自分に言い聞かせているのですが、まだまだ余裕なくやっている感じです。

それはさておき、今多くの方が受講されている3時間講習ですが、これが出来る期間が残り1年を切っているのは知っていますか?

これは私の誤解ですので訂正します。

経験者は猶予期間以降も3時間教育です。

index_arrow 猶予は平成29年6月30日まで

2年間の猶予期間があるといいましたが、これは今まで作業に従事していた人が、特別教育を受講するための猶予期間です。
もしこの期間内に受講しないで作業を行うと無資格作業で違反になります。また10年以上も作業してきたベテランであり、事業者証明があったとしても、講習の省略を受けることは出来ません。

もし今度に関わることがないというのであれば、全く気にする必要はありません。
しかし少しでも足場を触る作業をする会社で、まだ作業者が未受講という場合は少し焦ってもいいかもしれません。

おそらく来年の4月から6月は、駆け込み受講で、あらゆる教育機関が満席になる可能性があります。
特別教育を受けたいのに、受けられないという声があちこちで上がるのは目に見えています。

またこの機会に、技能講習を受けさせる、または鳶技能士を受けさせるのもいいかもしれません。こっちはかなり前向きで、攻めた対応ではないかと思います。

先日、講習に行った際に、ふとあと1年なんだなと思い、こんな宣伝めいた記事を書いてみました。
いずれにせよ、足場の特別教育は義務になります。そして猶予期間は残り10ヶ月ですので、検討してみてはいかがでしょうか。

もしかすると、私が講習を担当するかもしれません。
そうなった場合は、なるべく眠くないようにお話するようにしますので!

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