○ショートストーリー”猫井川ニャンのHH白書”

保楠田、鉄板の傾きにドキリする

entry-724

こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。

index_arrow 第95話「保楠田、鉄板の傾きにドキリする」

次の工事に向けて準備は着々と進み、ようやく明日から本格的に現場入りになりました。

猫井川は明日からの段取りについて、犬尾沢と打ち合わせを行うことにしました。

「明日は何から始めるんだ?」

犬尾沢が聞きます。

「最初は木の伐採ですけど、まず鉄板で仮設道を作ります。
 明日は鉄板の搬入と、重機を入れることくらいしか出来ないかもしれません。」

「そうだな。雨が降るとすぐに道が泥濘むから、鉄板はたくさん必要かもな。
 何枚持って行くんだ?」

「30枚の予定です。たぶん大丈夫だと思うんですけど 。」

「30か。斜面の上まで敷くとなると、もう10は必要かもしれないな。
 様子見て増やすなら、増やせよ。」

「分かりました。明日は鼠川さんと、保楠田さんは来れるみたいなんですけど、人足りますかね?」

「もう少し欲しいな。兎耳長さんは午前中は別の現場に行くけど、終わったら向かってもらうよ。
 うちからはそれ以上は難しいんだよな。
 土工とかは、下請けをお願いしてるけど、できたら準備はうちの手でやりたいな。」

「そうですね。今から頼むのも出来ませんし。」

「もしどうしても人手が足りなかったら、俺も行くから、言ってくれ。」

「分かりました。その時はお願いします。」

「明日は朝礼は何時で、鉄板はいつ入ってくるんだ?」

「朝礼は8時ですね。鉄板は10時に入ってくる予定です。」

「そうか。朝礼には遅れないようにな。
 明日から任せたぞ。」

「はい。明日すぐに出られるように準備しておきます。」

こうして、いよいよ作業当日が来たのでした。

現場入りの朝、猫井川と鼠川は一緒に向かい、保楠田はショベルカーを持ち込むため別の車できました。

朝礼の後、新規入場者教育で現場の注意を受けると、現場入りです。
まずは鉄板敷きなので、受け入れのための準備です。

鉄板の搬入は、10時です。しばらく時間はありますが、準備していると、あっという間に時間が経ってしまうのでした。

10時を少し過ぎた時、鉄板を積んだトラックが現場入りしました。

「オーライ、オーライ」

猫井川が誘導し、トラックは入ってきました。
そこに野虎が来て、

「これで、山の方まで走りやすくなるね。」

と話しかけてきました。

「そうですね。ようやく作業現場まで車を乗り付けられます。」

猫井川としばらく雑談した後、野虎は、

「じゃあ、事故がないようにおねがいしますね。」

と言い、現場事務所に帰って行きました。
すると、猫井川は、

「それじゃ、鉄板を降ろしていきましょうか。」

と言い、作業を開始したのでした。

保楠田がショベルカーに乗り込み、猫井川が玉掛けをします。

慎重に鉄板を吊上げ、ゆっくりと運びます。

「オーライ、オーライ。
 ゆっくり降ろしていってください。」

猫井川の合図で、鉄板は運ばれ、1枚目の鉄板敷きを行ったのでした。

同じ要領で2枚目、3枚目を敷いていきます。

トラックに載っている鉄板もこれで最後になりました。
猫井川が玉掛けし、トラックから離れて、誘導していました。
今までに敷いた鉄板のすぐ側に持って行き、片面を着地させたところ、猫井川が保楠田に少し持ち上げるように合図しました。

保楠田がどうしたのか首をかしげていると、猫井川が鉄板に近づき、

「少し隙間があるので、位置を直します。」

と指差しながら、大声で叫びました。
その声を聞いて、保楠田はショベルカーのジブを少し上げました。

その時です。
接地していた鉄板の面の下に石があり、持ち上げた時ぐるんと一回転したのでした。
この衝撃で、鉄板が少し傾き、下がったのでした。

やや距離をとっていたものの、予期せぬ動きをした鉄板に驚く猫井川。
そして鉄板を持ち上げた保楠田もかなり焦った様子です。

「大丈夫!?」

保楠田が大声で言います。

「だ、大丈夫です。あせった~」

猫井川も答えました。

鉄板は少しがたんと揺れた後、静止しどうやら安定したようでした。
その様子に保楠田も冷や汗をぬぐいました。

「じゃ吊り上げるから、退避して。」

保楠田が猫井川にそう言うと、猫井川はいつもの2倍は距離をとったのでした。

そして普段はあまりやらない、指差し呼称などをしながら、先ほどの動揺を沈めようとしていたのでした。

午後からは兎耳長も作業に加わり、2日間で鉄板敷き作業は完了となりました。
その後、猫井川は保楠田は、鼠川に「どうした、急に?」と言われるほど、丁寧に慎重に作業を進めたのは言うまでもありません。

index_arrow ヒヤリ・ハットの補足と解説

いよいよ作業は本格的が始まり、現場内の養生や仮設道のために鉄板を敷き始めました。
鉄板はぬかるんだ地面の上を車で走るためにも必要になります。

しかし1枚1枚が数百キロ以上になる鉄板です。手で運ぶことは不可能です。
多くの場合クレーンや移動式クレーン付ショベルカーを使用します。

クレーン作業は重量物を玉掛けし、吊上げ移動する作業です。
いずれも資格を必要とします。

特に玉掛け者は比較的吊り荷の近くにいるため、もし荷物が落下すると、巻き込まれる危険があるのです。< br />今回は、鉄板の端を地面においたところ、ちょうど小石に乗っかり、この小石がずれることで鉄板ががたんと落ちたというものでした。

小石の高さ程度のズレですから、ほんの数ミリ落ちた程度ですが、この時の衝撃は場合によってはワイヤーを切ってしまうこともあります。
非常に怖い衝撃といえます。

それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。

ヒヤリハット 鉄板の片面を地面においたら、がたんと揺れた。
対策 1.着地面に障害物がないかなどを確認して、荷を下ろす。
2.玉掛け者は十分距離をとる。少なくとも2メートル以上。

鉄板敷も終わり、車も出入りできるようになったので、次は伐採作業にはいっていきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA