○事故事例アーカイブ転倒

大型くい打ち機転倒 病院の建設現場(三重県伊勢市)

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昨年、平成27年での大きな事件として、横浜市のマンション傾きというものがありました。連日のように報道されていたので、覚えている人も多いのではないでしょうか。

このマンションが傾いた原因は、基礎不良で、地盤沈下したものでした。
基礎杭の中に、固い地盤まで達していないものがあり、この部分が沈んだのでした。

基礎工では、地盤を改良するため地中に杭を打ち込こんだりします。
杭打ち作業では、杭打ち機を使って行います、この杭打ち機はかなり大きな機械です。

もし転倒など使用者なら、大きな事故になるのです。

三重県伊勢市で病院の基礎工事で、杭打ち機が点灯する事故がありました。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

大型くい打ち機転倒 市伊勢病院の建設現場 (平成28年6月24日)

二十四日午前九時ごろ、伊勢市の市病院の建設工事現場で、高さ三十六メートル、重さ百三十五トンの大型くい打ち機が倒れ、先端が国道23号側の柵や歩道に当たってコンクリート片などが飛び散った。けが人はなかった。

市によると、現場では造成工事を進めており、くい打ち機の男性操縦士ら作業員十人ほどがいた。軟弱地盤にセメントのくいを打ち込む作業中、キャタピラ付きの機体を二十メートル移動させようと操作した直後、後ろ向きに倒れた。操縦士は「くい打ち機の足を取られ、バランスを崩した」と話しているという。

市は施工会社のに、原因究明と安全対策の報告を求めた。それまで工事は中断し、九月中旬までの予定だった造成工事の施工期間に間に合わない可能性がある。

中日新聞(記事リンク切れ)

この事故の型は「転倒」で、起因物は「杭打ち機」です。

この事故は、基礎工事中に杭打ち機が転倒し、その先端が道路にまで倒れこんだという事故です。
幸い怪我人はいませんでした。

杭打ち機を移動させようとしたところ、バランスを崩したようです。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

地盤改良は1箇所だけで行うものではありません。建物の敷地全体で行う必要があります。
そのため杭打ち機の足元は固定されているわけではありません。

この現場で使用されていた杭打ち機の足元は履帯式でした。つまりキャタピラタイプです。このタイプは凸凹のある地面の上では効果を発揮するものです。
しかし杭打ち機は高さのある機械です。この現場でも高さ36メートルもの機械を使用していました。

高さのある機械はバランスを崩すと、倒れやすいものです。凸凹した地面を移動するのはなおさらバランスを崩しやすくなります。
この事故の時も移動時に起こりました。

運転者の話によると「足を取られて、バランスを崩した」ようです。
移動するルートがひどく凹凸があったりと、移動に向いていなかったのかもしれません。

また移動時誘導する人や、作業指揮する人などが適切な指示を出していなかったのかもしれません。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

杭打ち機の移動ルートが適切でなかったこと。
合図者や作業指揮者がいなかったこと。
作業計画や安全教育が適切でなかったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

杭打ち機などの大きな機械を移動させるときには、事前にルートを決めておく必要があります。
このルートは作業計画に書きます。
もし凹凸が移動の支障になるようでしたら、均しておくのがいいでしょう。

また移動時には、作業指揮者が必要です。
足元が悪いようならば、別途合図者に誘導させるのもよいでしょう。

移動作業前に、指揮者や運転者などは打合せやKYを行う必要があります。

対策をまとめてみます。

杭打ち機の移動ルートを決めておく。
移動ルートの凹凸を均しておく。
作業指揮者、合図者を定める。

杭打ち機などの大きな機械は、事故になると大きな被害が出ます。
事故なので警察なども捜査しますが、労働基準監督署に届けを出さなければならないことも覚えておきましょう。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

第157条
車両系建設機械を用いて作業を行うときは、転倒防止のための措置をとらなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

安全に車両系建設機械を使用するための措置

第190条
くい打機、くい抜機又はボーリングマシンの組立て、解体、変更又は移動を行うときは、作業指揮者を定めなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

くい打ち機、くい抜き機、ボーリング機械を使用する時の安全。その6

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