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ディスクグラインダーの事故 その4。漏電によって感電。

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グラインダーは高速で歯(ディスク)を回転させる機械です。
どうやって回転させるかというと、電気を使ってです。

電気を使うということは、感電の危険があるということです。
感電は電気を使うときには、常につきまとう危険です。

通常使う分には、問題はありませんが、電気ケーブルに破損していたりすると感電します。
100Vの低圧でも命を奪うに十分な力を持っています。

今回は、ディスクグラインダーでの感電事故の事例を紹介し、その原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

今回は厚生労働省の労働事故事例かち参照にしています。
労働事故事例

溶接部分の研磨中、ディスクグラインダーの漏電によって感電

災害の発生した事業場は金属製品等の加工、修理等を行っており、溶接後、溶接の部分の研磨とサビ落としをディスクグラインダーを使用して行うものであった。

事業場の床面は、そのほとんどが鋼板で敷きつめられ、その上で作業が行われるようになっていた。
被災者は1人で排水口の溶接作業を行い、その後溶接部分の研磨を行うためディスクグラインダーを作動させたところ、ディスクグラインダーが漏電し、感電したものである。

被災者が使用していたディスクグラインダーにはコード先端に漏電用アースの取り付けクリップが付いていたが、この漏電用アースは使用されていなかった。またこのグラインダーは感電防止のための二重絶縁構造のものではなかった。

 事業場内の電気配線は、工場機械用に200Vの配線と、照明用の100Vの配線がなされていた。200Vの配線は工場内に設置された機械に接続されており、配電盤には漏電遮断装置が付いていた。

一方、100Vの配線は、工場内の照明用に使用されているほか、100V用の電動工具に接続され、漏電遮断装置は接続されていなかった。グラインダーはこのソケットより延長コードを介して100Vの電源をとっていた。

この事故の型は「感電」で、起因物は「電気工具(ディスクグラインダー)」です。

この事故は、グラインダーで溶接部分の研磨をしている時に起こりました。
グラインダーはこの時漏電しており、感電しました。

事故の時に使用していたグラインダーは、二重絶縁構造ではなく、アーククリップは使用されていませんでした。
さらに作業場の床は鉄板が敷かれていました。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

この事故の原因は、グラインダーが漏電していたことです。
破損していたり、電源ケーブルの被覆が破損してなどの点検が十分できていませんでした。

また電源側に漏電しゃ断器がなかったこと、またグラインダーが二重絶縁構造でなく、さらにアースが付けられていなかったことが、漏電時に感電になってしまったのです。

工具だけでなく、鉄板の上で作業していたことが、感電被害を大きくしてしまったのでした。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

グラインダーが破損していたこと。
漏電しゃ断器、アースが取り付けられていなかったこと。
鉄板の上で作業していたこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

グラインダーなどの電動工具を使用する場合は、作業前に点検をしなければなりません。
点検ではグラインダーの試運転を行いますが、その前にケーブルの破損なども確認しなければなりません。
もし破損している箇所があれば、使用を控え、修理しなければなりません。

万が一漏電することに備え、電源側には漏電しゃ断器を取り付け、グラインダーにあるアースをとりつけなければなりません。
また工具は二重絶縁構造のものを使用になります。

作業場も鉄板敷であれば伝導性が高いため、感電しやすくなります。
そのため電動工具を使用する場所では、足元をゴムなどの絶縁構造にしたり、絶縁の靴や手袋を使用します。

対策をまとめてみます。

作業前の点検を行う。
二重絶縁構造の工具を使用し、漏電しゃ断器やアースを取り付ける。
絶縁の手袋や靴を着用する。

電動工具は電気で動きます。電気を使う以上問題になるのは、感電です。
感電を防ぐためには日々の点検が大切です。さらに万が一に備え漏電しゃ断器の取り付けやアースの取り付けを面倒がらずに行うのが重要です。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

第333条<
電動機を有する機械又は器具で、移動式若しくは可搬式のもの、湿潤している場所などで使用する場合は、漏電による感電の危険を防止するため、感電防止用漏電しや断装置を接続しなければならない。

 

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

感電防止。電気機器使用時の感電を防ぐ。

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