○コラム

新人教育は当たり前を身につけさせる

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労働新聞社の安全スタッフNO.2255(平成28年4月1日)の編集長のコラムで、なるほどなと思うことがありました。

その内容は、新入社員はまず挨拶からといったものです。
4月は新年度の始まり。新入生、新卒の新入社員がスタートを切る時期です。

新入社員が初めての職場で、初めての仕事を始めます。
誰でも最初は右も左もわからない初心者です。仕事のやり方はわかりません。そして何が危険かもわかりません。

そのため新入社員には新人研修を行います。

新人研修では、会社の理念や商品、報告書の書き方などのルーチンワークなどを学ぶことになります。
会社ごとにどんな商品を扱っているのか、どんなサービスを行っているのかを知るのは、大事なことです。

また安全衛生に関する内容としては、次の内容も教育します。

【安衛則】

(雇入れ時等の教育)
第35条 事業者は、労働者を雇い入れ、又は労働者の作業内容を変更したときは、
当該労働者に対し、遅滞なく、次の事項のうち当該労働者が従事する業務に
関する安全又は衛生のため必要な事項について、
教育を行なわなければならない。
ただし、令第2条第3号 に掲げる業種の事業場の労働者については、
第1号から第4号までの事項についての教育を省略することができる。

 1)機械等、原材料等の危険性又は有害性及び
   これらの取扱い方法に関すること。

 2)安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及び
   これらの取扱い方法に関すること。

 3)作業手順に関すること。

 4)作業開始時の点検に関すること。

 5)当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び
   予防に関すること。

 6)整理、整頓及び清潔の保持に関すること。

 7)事故時等における応急措置及び退避に関すること。

 8)前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は
   衛生のために必要な事項

2  事業者は、前項各号に掲げる事項の全部又は一部に関し
十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、
当該事項についての教育を省略することができる。

新人は何が危険かということを知りません。
刃物に触れたら切れるとか、高さ10メートルもの高さから落ちると命を落とす程度ならば、何となく分かるでしょう。
しかし初めて入る作業場で、どこにどんな危険があるのかは、ほぼ知らないと言っても過言ではありません。

無知は死を招きます。
知らないことには、対応することは出来ないのです。

また教育したからといって、もう安心ということもありません。
頭でわかっていても、慣れない現場では、上手く動けません。受け取る情報も多すぎて、細かいところまで注意が行き届かさるのも困難です。

そのため、新人時代には事故が多いのです。

以前のエントリーでも書いたのですが、新人は最初の1週間で事故に遭う確立が高くなるそうです。

新人は最初の1週間が山場です

そこで使ったデータを引用すると、こんな感じです。

入場からの日数 事故発生率
2日目 約11%
1~7日目 約61%

建災防「現場入場経過日数別・災害の種類別死亡災害発生状況(平成22年)」

7日めまでの事故発生率が約61%と、かなり多いといえます。

新人に注意しろと言っても、効果は薄いです。
その間は先輩やベテランがみっちり着いて、教育役をするのが望ましいのではないでしょうか。

とにかく最初の1週間、そして1ヶ月。
この間の事故は、本人だけでなく、周りの作業者が一緒になって防いで行く必要がありそうです。

index_arrow 社会人としての基本も学ぶ

新人教育では、会社、商品、仕事の方法、安全衛生関係だけでなく、その他のことも教育します。
それは、社会人としての当たり前のこと、常識などです。

最近は、バトミントン選手の裏カジノや、プロ野球選手の賭博などのニュースが取り上げられていました。
反社会的な行動についても教える機会になります。

建設業では公共工事を行う際に、反社会的組織と関係はないと誓約書を提出しなければなりません。
この誓約書は役員についてですが、もし1人の社員が関わりがあっても、影響は少なからず出てくる可能性があります。

そんなの当たり前、常識ということと考えがちですが、新社会人は知らないという可能性もあるのです。

そして常識で特に大切なことは、挨拶に関することです。

挨拶を相手にわかるようにすることは、とても大事です。
挨拶1つで、雰囲気がガラリと変わります。

工事の現場で、ときおりまともに挨拶ができない人がいます。
一度など下請けの作業者が、現場に来た時に首を少し上下させて、小さな声で「ウィッス」と言われことがあります。
さすがにこの時は、少しイラッとしてしまいました。
イラッとしたものの、注意するってほどではなかったのですが。
こういった対応をすると、本人にも良くないだろうにと思うんですけども、私も含め誰も何も言わないんですよね。

挨拶はコミニュケーションの基本です。
そして難しい技術を必要としません。やり方も知っているはず。

コミニュケーションがいまいちだと、打合せなく足場の上下作業をしてしまうなど、その気はなくとも危険行動をしてしまうこともあります。
一声
かければ済む話ですが、何となく出来ないという可能性もあります。

また合図などがうまく機能しなかったりしないかもしれせん。

人は気分に左右されます。
不愉快な気分だと、注意力も散漫になります。

挨拶したのに、返してくれなかったというのは、結構気分を害してしまいます。
確かに挨拶1つで気分を劇的に良くすることはありませんが、しかし心に引っかかりは作りません。

事故の起こりやすさは、結構職場の人間関係、コミュニケーションの円滑さが関係してきます。
コミュニケーションの基本は挨拶から。

挨拶を徹底させるのは、新人の教育だけでなく、ベテランを含めた全員に対して行いたいですね。
その意味では、新人教育は当たり前を身につけさせ、全員が当たり前のことを見なおす機会になりそうです。

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