はさまれ・巻き込まれ○事故事例アーカイブ

ローダーにひかれ、男性死亡(栃木県那珂川市)

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荷物、特に土砂や砕石といった土木作業で使用する材料を運搬する機械に、ショベルローダーやタイヤローダーといったものがあります。

これらの機械は、採石場や残土置場などで使用されます。機械ですので、接触すると、非常に危険です。
残土の処分などを多くの人で行うとは限りません。
機械と人が一緒に作業することも少なくないのです。

その時注意しなければならないのが、機械と人が接触することです。つまり敷地内で交通事故を起こすのを防ぐ必要があるのです。
人の体は、機械には勝てません。接触し、ひかれてしまうと、命に関わるのです。

栃木県那珂川市で、ローダーによる作業中に、作業者が惹かれて亡くなるという事故がありました。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

ローダーにひかれ、男性死亡 (平成28年2月10日)

那珂川署は10日、那珂川町松野の会社敷地内で、同町、会社員男性が、ショベルローダーにひかれ死亡したと発表した。

同署によると、同日午前9時40分ごろ、作業中の男性を別の会社員男性の運転するショベルローダーがバックしひいたという。

同署で原因を調べている。

下野新聞(元記事リンク切れ)

この事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」で、起因物は「ショベルローダー」です。

この事故は、ローダーの作業中に起こりました。
会社の敷地内での作業中に、おそらく残土などを運んでいたと思われますが、バックしていたところ、別の作業者をひいてしまったのです。

もしかすると、かなりのスピードが出ていたのかもしれません。
十分に後ろを確認していなかったのかもしれません。

ひかれた作業者は、亡くなってしまったのでした。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

事故の直接的な原因は、ローダーでバックしている際に、後ろにいた人をひいてしまったことです。
運転者が後方を確認していなかったということが一因でしょう。また作業者も不用意に、機械に近づいたことも問題でした。
仕事の仕方に、問題があったと言えそうです

以前、とある駅で線路の直ぐ側がコンテナ置場というところがありました。私はホームから、フォークリフトでコンテナを運ぶ様子を眺めていました。フォークリフトの運転者はかなりの熟練らしく、とてもスムーズにコンテナを運び、トレーラーに載せていましたが、かなりのスピードを出していたのを覚えています。

ローダーの事故でも、もしかするとスピードを出していたため、作業者が避けきれなかったのかもしれません。
また作業方法がしっかり定められておらず、ローダーが運行するルートや、作業者が歩くルートなどが決めされていなかったのではないでしょう。

さらにバックでひいてしまったということは、運転者と周囲の作業者で意思の疎通が取れていなかったといえそうです。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

ローダーの作業計画が作られていなかったこと。
ローダーの速度が速かったこと。
ローダーと作業者の意思疎通がとれていなかったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

ローダーは、荷役運搬機械になります。
荷役運搬機械の作業にあたっては、事前に作業計画を立てておく必要があるのです。
この作業計画には、機械と作業者との接触防止も検討しておく必要があるのです。

また速度制限も必要です。ローダーは公道を走り回るものではありません。限られた敷地内で動くものです。
そのような場所では、時速40キロも50キロも出さません。
多くの場合は20キロ以下ではないかと思います。狭い場所では、20キロでも早い感じがするものです。

さらに運転者と作業者の意思疎通をそれぞれの感覚に頼るのではなく、誘導者に誘導させるのもよいでしょう。
こういった作業場で、1人誘導専門を配置することはないかもしれませんが、安全な運行のためには必要な配置ともいえます。

対策をまとめてみます。

安全な作業計画を作る。
制限速度を定める。
作業指揮者、誘導者を配置する。

荷役運搬機械は、一定の敷地内で作業します。狭い範囲
内では、機械と人との距離も近く、接触する恐れがあります。
確認を徹底しようというのでは限界があります。
事故が起こらないような体制を作るのも重要です。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
【安衛則】

第151条の3
車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、あらかじめ作業場所を調査し、作業計画を作成し、作業すること。
第151条の5
車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、適正な制限速度を定めなければならない。
第151条の7
車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、接触するおそれのある場合は、誘導者を指名し、誘導させる。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

安全に荷役運搬機械を使用するための措置

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