フォークリフト○事故事例アーカイブ激突

用途外のフォークリフト使用、容疑で書類送検(大阪府堺市)

entry-593

機械の用途外の使い方をするのは、時として危険が伴います。
クレーンで人を吊り上げる、ショベルカーのバケットに人を乗せ運ぶなどは、危険を伴います。

フォークリフトも荷物を2本の爪に乗せ、運ぶものです。
この用途以外の使い方をすると、思わぬ危険があるのです。

大阪府堺市でフォークリフトの用途外使用をしていて事故がありました。
この事故では、営業所長が書類送検されました。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

用途外リフト使用、容疑で書類送検(平成28年3月4日)

堺労働基準監督署は4日、労働安全衛生法違反容疑で、堺市のメーカーの所長ら3人を大阪地検に書類送検した。

容疑は、同営業所で昨年4月、フォークリフト運転手との運送会社のトラック運転手が木製パレット(重さ約800キロ)を降ろすため、用途外なのにリフトでけん引。所長は用途外使用を知りながら、防止に必要な措置を怠ったとしている。

同署によると、この作業で、リフトは旋回して建物の柱に激突。リフト運転手が骨盤を強打して死亡した。

毎日新聞(記事リンク切れ)

この事故の型は「激突」で、起因物は「フォークリフト」です。

会社社長、工場長長や営業所長などの責任者は、作業者の安全確保する義務があります。
それは危険作業をしていたら、すぐに是正させることも含まれます。

この事故では、フォークリフトで重さ約800キロの木製パレットをけん引、つまり引っ張っていた時に起こりました。おそらくパレットにワイヤーを巻き、爪に掛けて引っ張ったのではないでしょうか。
これはフォークリフトの用途外の使い方です。

そしてどうやらこの作業は、普段からよく行われていたようでした。責任者である所長もこの作業を知っていたようですが、これを是正指導することはありませんでした。

結果、ワイヤーが外れたのか、バランスを崩したのかは不明ですが、フォークリフトは旋回、つまりくるくる回り柱に激突しました。運転者はその衝撃で亡くなられたのでした。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

事故の原因はフォークリフトの用途外の使用方法です。

木製パレットの移動には、クレーンなどを使用することが適正だったのではないでしょうか。
この作業場に使えるクレーンがなかった、またはわざわざ使うまでもないと思っていたか、理由は伺い知れませんが、フォークリフトでけん引という作業方法を行っていたのでした。

このような使い方は、物を運ぶ機械であるフォークリフトには不向きです。というよりそのような機能も装置も備わっていません。
運搬する作業での安全装置は備わっていますが、けん引の安全装置はないのです。

フォークリフトなどの荷役運搬機械は作業指揮者を必要とします。
この事故の時にはいないようでした。

用途外の使用法はしないことはもちろですが、もしそのような様子を責任者が発見しても放置することは、暗に容認してことにもなるのです。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

フォークリフトの用途外の使い方をしたこと。
責任者が不安全行動を放置したこと。
安全教育などがされていなかったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

まず機械の用途外の使用はダメです。
今までやってきて特に問題はなかった、手っ取り早いなどの理由があるかもしれません。
しかし、あえて危険を犯す必要はないのではないでしょうか。

荷役運搬機械は作業指揮者を定め、指揮されます。
指揮者が配置されていたならば、事故はなかったかもしれません。

作業者がこのような用途外使用をするのは、社内での安全教育が十分でなかった、または危険を見落とした教育内容だった可能性もありそうです。

何より事業者、責任者は危険を放置してはいけません。
作業場巡視や安全パトロールで発見した問題は放置せず、解決するのが事業場責任者がやるべきことです。

対策をまとめてみます。

< /table>

作業によっては、危険なことでもやりたくなることもあります。
しかし危険は危険として、行わないようにしなければならないのです。

事故が起こってからでは遅いのですから、早期にこういった対応は抑えておかなければなりません。

機械の用途外使用をしない。
安全教育は現場に即した内容で行う。
事業者、責任者は問題を発見したら是正する。
index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
【安衛法】

(事業者の講ずべき措置等)第20条 事業者は、次の危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。

 1) 機械、器具その他の設備(以下「機械等」という。)による危険

 2) 爆発性の物、発火性の物、引火性の物等による危険

 3) 電気、熱その他エネルギーによる危険

第24条 事業者は、労働者の作業行動から生ずる労働災害を予防するため
必要な措置を講じなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

事業者は労働者の危険を防止しなければなりません。 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA