墜落・転落○事故事例アーカイブ

築地市場近くの駐車場で転落事故 男性が死亡(東京都中央区築地)

 

entry-570卸市場は、多くの品物が絶え間なく行き交います。
品物や人だけでなく、トラックや運搬機械も数多く動いているので、素人がウロウロしていると、危険極まりありません。
特に荷物を運搬するターレットは、かなりのスピードで走っています。

もたもた歩いていると、ターレットにひかれそうになったという話もよく聞いたりします。

しかしターレットは周りの人を危険に晒すだけではありません。かなりのスピードで走っているので、乗っている人も危険になることもあるのです。

築地市場の近くで、ターレットに関係する事故がありました。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

築地市場近くの駐車場で転落事故 男性が死亡 (平成28年1月30日)

30日午前11時ごろ、築地市場近くの駐車場で「人が転落した」と119番通報があった。築地署によると、立体駐車場4階のエレベーター扉に小型搬送車「ターレット」が衝突し、運転していた会社員が扉の隙間から約8・5メートル下に転落。頭などを打って搬送先の病院で死亡が確認された。

署によると、被災者は同僚と荷物を運ぶ作業中だった。

朝日新聞

この事故の型は「墜落・転落」で、起因物は「エレベーター」です。

この事故は、築地市場の近くの立体駐車場で起こりました。
駐車場のエレベーターの扉にターレットが衝突、中に落ちてしまったのです。

ターレットを運転していた作業者は高さ8.5メートルの高さから落下した衝撃で、亡くなってしまったのです。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

この事故の直接的な原因は、ターレットでエレベーターの扉を激突してしまったからです。 なぜ、扉に衝突してしまったのか。
もしかすると、かなりのスピードが出ていたのではないでしょうか。

エレベーターの扉を乗り越えてしまう程ですから、結構なスピードだったと思われます。
スピードの出し過ぎだと急に止まることもできませんし、コントロールが難しくなります。

また同僚と一緒に仕事していたとのことですが、周りの状況がきちんと把握できていなかったのかもしれません。どこにどんな危険があるのか、毎日行き慣れている場所であれば、危険意識も薄くなるでしょう。

作業に慣れていても、危険がなくなるわけではありません。
ちょっとした大胆さが、時に事故を招く可能性があるのです。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

ターレットのスピードを出しすぎていたこと。
誘導などがなかったこと。
作業前の安全確認がなかったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

ターレットは、フォークリフトなどと同様の荷役運搬機械に含まれます。
荷役運搬機械には、作業時の決まりがあります。

その1つが制限速度を定めることです。制限速度は、作業場によって変わります。例えば、だだっ広い場所なら少々スピードを出しても大丈夫でしょう。しかし周りに荷物がたくさん積み重なっているような場所では、ゆっくり走らないといけないでしょう。

立体駐車場のような場所では、かなりゆっくり走らないと危険だったのではないでしょうか。

また狭く、見通しがきかない場所であれば、誘導したり、合図する人を必要とします。
慣れていない内はともかく、毎日のように通っている場所で誘導者なんてと思われるのですが、誘導者がいることで事故が防げたなんてこともあるのです。

何より作業の時には、危険があるということを意識しておくことが、何よりの事故防止です。毎日やってると、慣れマンネリ化して何を今さら危険なんてと思うかもしれません。
しかし現に事故は起こるのです。

決して経験の浅い人だけが事故にあうのではありません。
事故は、ベテランにも降りかかってきます。

仕事に慣れるのは大事ですが、一方で適度の緊張感を持って作業するのも大事なことです。

対策をまとめてみます。

荷役運搬機械は制限速度を定める。
誘導者の配置などを含めた、作業計画を作る。
安全意識を保つような教育を行う。

昔、ダウンタウンの松本さんと放送作家の高須さんがやられていた「放送室」というラジオで、幼なじみが今回紹介したのとそっくりな事故で亡くなったと話されていました。

その事故でもターレットでエレベーターな扉に激突、そのまま落下したそうです。ターレットはかなりのスピードが出ていたそうです。後には奥さんと、子供が残されたのだそうです。

突然、降りかかる事故。その可能性を小さくするのは、どのように慣れた作業を行うかです。慣れているから、気を抜いていると思わぬ落とし穴もあるのです。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

【安衛則】

第151条の5
車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、適正な制限速度を定めなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

安全に荷役運搬機械を使用するための措置

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA