○安衛法と仲良くなる玉掛け

クレーン則の玉掛け規定。その2

entry-545

クレーン作業などで行う玉掛けでは、吊り荷に耐えうるだけのワイヤーロープやつりチェーンなどを使用しなければなりません。
しかし当初は丈夫で、頑丈なワイヤーロープであっても、長い間使用していると、劣化していきます。

劣化してきたワイヤーロープなどは、本来の強度を発揮することはできません。劣化が進んだものは、途中で切れる可能性があります。
劣化が進んだワイヤーロープなどは、使用できない不適格になるのです。

クレーン則では、不適格な吊具について規定されています。

【クレーン則】

(不適格なワイヤロープの使用禁止)
第215条
事業者は、次の各号のいずれかに該当するワイヤロープをクレーン、移動式クレーン
又はデリックの玉掛用具として使用してはならない。

  1)ワイヤロープ一よりの間において素線(フィラ線を除く。以下本号において同じ。)の
   数の10パーセント以上の素線が切断しているもの

  2)直径の減少が公称径の7パーセントをこえるもの

  3)キンクしたもの

  4)著しい形くずれ又は腐食があるもの

ワイヤーロープを使い続けると劣化し、ワイヤーが断線し、細くなり使用することが危険になるものもあります。そのようなワイヤーは使用してはならないものです。

不適格なワイヤーロープは使用してはなりません。

どのようなワイヤーロープが不適格かというと、次のものです。
ワイヤーロープは、細いワイヤーを何本もより合わせて、少し太いワイヤーロープを作ります。さらにこのワイヤーロープを撚り合わせ、より太く丈夫なワイヤーロープにするのです。

より合わせたワイヤーロープを作る最も細いワイヤーを素線といいますが、この素線が一よりの間で、10%切れているものは、不適格です。

ワイヤーロープの直径の減少が7%を超えるものも不適格です。

変な形が付いてしまって、まっすぐに伸びない状態をキンクといいますが、これも不適格です。

キンク以外にも形くずれしていたり、腐食しているものは使用してはいけません。

玉掛け作業の前には、ワイヤーロープについて確認しなければなりません。

(不適格なつりチェーンの使用禁止)
第216条
事業者は、次の各号のいずれかに該当するつりチェーンをクレーン、
移動式クレーン又はデリックの玉掛用具として使用してはならない。

  1)伸びが、当該つりチェーンが製造されたときの長さの5パーセントをこえるもの

  2)リンクの断面の直径の減少が、当該つりチェーンが製造されたときの
   当該リンクの断面の直径の10パーセントをこえるもの

  3)き裂があるもの

吊具は、ワイヤーロープだけではありません。つりチェーンも使用します。 そしてつりチェーンも使用基準があるのです。

つりチェーンで、伸びたり、断面が減少しているなどの不適格なものは使用してはいけません。

チェーンは金属なので固いのですが、長い間引っ張られていると、伸びます。この伸びが製造時の5%を超えるものは、使用できません。

また1つ1つのリンク(輪っか)がぶつかったり、削れたりすると、断面の直径が減少します。減少したリンクでは、十分な力が発揮できません。そのためリンクの断面の直径が10%以上減少しているものも、使用できません。

さらにリンクにき裂があると、そこから千切れの可能性があるため、これも使用してはいけません。

つりチェーンも、使用前には状態を確認して使用しなければならないのです。

(不適格なフック、シャックル等の使用禁止)
第217条
事業者は、フック、シャックル、リング等の金具で、変形しているもの又はき裂があるものを、
クレーン、移動式クレーン又はデリックの玉掛用具として使用してはならない。

フックやシャックルは、ワイヤーロープやチェーンと荷物をつなぐ金物です。これらもワイヤーロープなどと同じように、吊り荷の荷重がかかってしまう部品になります。

フックやシャックル、リングなどは変形していたり、き裂があるものを使用してはいけません。

これらの金具も使用前に点検しなければなりません。

(不適格な繊維ロープ等の使用禁止)
第218条
事業者は、次の各号のいずれかに該当する繊維ロープ又は繊維ベルトをクレーン、
移動式クレーン又はデリックの玉掛用具として使用してはならない。

  1)ストランドが切断しているもの

  2)著しい損傷又は腐食があるもの

吊具には、ナイロンスリングといった繊維ベルトやロープを使うことも多いです。ナイロンスリングは軽さと丈夫さを兼ね揃え、運びやすく非常に使い勝手がよいです。もしかすると1トン程度くらいまでなら、ナイロンスリングを使うことの方が多いかもしれません。

どんなに使い勝手とよくとも、吊具であることには違いありません。元が繊維ですから劣化すると切れたりもします。

繊維ロープやベルトは切れたり、損傷しているようなものは使用してはいけません。

大きく切れ込みがあるもの、ところどころほつれたり、穴が空いている、腐食しているものは使用してはいけないのです。

ワイヤーロープなどの吊具が、丈夫であってこそ使えるものです。切れかかっていたり、型くずれしていたりすると、吊り荷の重量を支えきれず、作業中に切れる恐れがあります。
玉掛け、吊り作業中に荷物が落下するのは、この上なく危険です。
このような危険を避けるため、吊具の事前点検で、異常のある吊具は使用してはならないのです。

まとめ

【クレーン則】

第215条
不的確なワイヤロープを玉掛用具として使用してはなりません。
第216条
不的確なつりチェーンを玉掛用具として使用してはなりません。
第217条
フック、シャックル、リング等の金具で、変形またとき裂のある玉掛用具として使用してはなりません。
第218条
不的確な繊維ロープ又は繊維ベルトを玉掛用具として使用してはなりません。

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