墜落・転落○事故事例アーカイブ

高所作業車が横転 1人心肺停止(東京都東大和市)

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高所での作業では、常に墜落の危険があります。墜落しないためには、高いところに昇らなければいいのですが、そんなことばかり言ってられません。高いところでの作業が、避けられないことも少なくないのです。

高所作業を安全に行うために、足場や高所作業車を使用します。これらの設備や機械は、しっかりと支えてくれてこそ安全確保になります。

もしこれらの設備や機械が、不安定なものだと、作業者は安心して作業できません。いつ落ちるだろうとヒヤヒヤしながらの作業は、怖くて仕方ありません。

東京都東大和市で、木の作業で使用していた高所作業車が横転し、上に乗っていた作業者が墜落する事故がありました。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

高所作業車が横転 1人心肺停止(平成28年1月14日)

14日午後3時すぎ、東京・東大和市の公園で木の伐採作業中の作業車が横転する事故があった。作業車のゴンドラに乗って作業中の2人が地面に投げ出され、60代の男性作業員が心肺停止、40代の男性作業員が軽傷。警視庁などが詳しい事故原因を調べている。

この事故の型は「墜落・転落」で、起因物は「高所作業車」です。
この事故は、高所作業車に乗り、木を切っていた時に起こりました。
高所作業車とは、消防で使用するはしご車をイメージすると分かりやすいかもしれません。

車の上に、ゴンドラ付きのアームを持っています。ゴンドラに人が乗り込み、アームを持ち上げることで、高所で作業ができるのです。

高所作業を支えるのは、車です。安心して高所作業するには、まずは車が安定していなければなりません。もし安定が損なわれると、上で作業している人の安定も損なわれるのです。

なぜ車に安定が崩れたのかが、ポイントになりそうです。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

この事故の原因は、高所作業車が転倒したことです。 では、なぜ転倒したのでしょうか。

原因は車両の支え方にありそうです。

高所作業車は、移動式クレーンと同様に、アウトリガーを伸ばして、車体を安定させます。車を配置するのも、平らで固い地盤でなければなりません。車両を安定させるためには、安定した地盤が必要になるのです。

事故現場は、公園内でした。山林ではないので、比較的地面は平だったと思われます。
しかし木が生えている場所の地面は、土です。地面の固さや安定度は、アスファルトには及びません。
地面が柔らかいと、アウトリガーにかかる重量により、沈むのです。

柔らかい地面の上に、高所作業車を配置して、作業していたところ、車が傾いた可能生はありそうです。
さらに傾いた場所だったなら、より安定性が悪くなります。

またアウトリガーを最大限伸ばすのが原則ですが、十分に伸ばせていなかったり、左右で長さが違っていたりすると、十分な安定がとれません。

そうそう高所作業車は倒れません。倒れるからには、よほど配置の仕方が悪かったのではないでしょうか。

もちろん、強風など非常に天候が悪かった、可能生もあるでしょうが、この点は記事から伺えません。

また車体を安定していても、アームを遠くまで伸ばすと、ゴンドラの重さに引っ張られ倒れます。
重い荷物を 腕を伸ばし、体から遠く離して持つのは、相当負担がかかるように、高所作業車もアームを遠く離しすぎると、車本体では支えきれないのです。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

高所作業車を配置した場所が、柔らかい地面だったこと。
アウトリガーが十分に伸ばせていなかったこと。
アームを遠くに伸ばしすぎたこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

高所作業車は固くて平坦な場所を選んで、配置します。
場所によっては、どうしても平坦に置けるとは限りません。そういった場所でもなるべく平坦部を選びましょう。その結果少々仕事しづらくなるかもしれませんが、安定性の方が大事です。

アウトリガーも最大限に伸ばします。これも場所によっては、片方しか伸ばせないこともあります。車を配置する位置を決めるときに、アウトリガーが伸ばせるかを確認しておくのがいいですね。
片方しか伸ばせない場合は、安定が悪いことを分かった上で、ゴンドラを伸ばします。

アウトリガーを置く場所にも、注意が必要です。も柔らかい地面に配置していると、アウトリガーを伸ばしても、安定をとることができません。荷重がかかると、沈んでしまうからです。柔らかい地面しかない場合、鉄板などを敷き、地面の強度を増します。

また、安定を損なうほど、アームを伸ばし、ゴンドラを遠くまで離してはいけません
。通常は警報が鳴ると思うので、それ以上伸ばさないようにします。どうしてもアームを伸ばす必要がある場合は、車の位置を変えるなどしましょう。

対策をまとめてみます。

高所作業車は、平坦で固い地盤に配置する。
アウトリガーは、最大限伸ばす。鉄板を敷き、地面の強度をあげる。
ゴンドラは警報以上に伸ばさない。

高所作業車は配置する位置が大事ですが、警報などが正常に鳴ることは大事です。
そのため、使う機械の整備も事故を防止には大事です。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
【安衛則】

第194条の11
高所作業車を用いて作業を行うときは、転倒または転落による労働者の危険を防止するための措置をとらなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

高所作業車の事故事例

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