はさまれ・巻き込まれ

「製麺機」に巻き込まれ死亡、(大阪市阿倍野区)

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自営業で、自宅と工場が併設していると、時間を気にせず仕事ができます。
そのため明確な就業時間というものがありません。

またそういった作業場は、多くの場合は個人か1人か2人の従業員で仕事をしています。

このような小規模の工場と、多くの人が働く工場との違いは、人の目があるかどうかです。
会社ではピシっと決めていても、家に帰るとダラッとしてしまうのに似ています。

人の目があるかないかは、安全の意識が変わります。
人の目が、身を正す効果もあるのです。
どうしても、一人作業では、分かっていても、多少の無茶をやりがちなのではないでしょうか。

大阪では、自宅に併設した製麺所で、機械に挟まれるという事故がありました。

今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

「製麺機」に巻き込まれ死亡、大阪・阿倍野(平成27年11月30日)

30日午前6時20分ごろ、大阪市阿倍野区松崎町の製麺会社経営の自宅兼工場で、人が機械に挟まれていると経営者の妻から119番があった。1人が製麺機に巻き込まれ、死亡していた。大阪府警阿倍野署は遺体が経営者とみて確認を急いでいる。

同署によると、経営者はこの日午前5時すぎ、妻に「仕事に行く」と告げ、2階の自宅から1階の工場へ降りていったという。

産経新聞

この事故の型は「はさまれ・巻き込まれ」で、起因物は「機械(製麺機)」です。

この事故は、自宅に併設した工場で起こりました。
朝、この工場に向かった経営者は、何らかの原因で事故にあい、機械に巻き込まれた姿で発見されたのでした。

なぜ機械に巻き込まれてしまったのか、捜査で分かってくるはずです。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

工作機械や製造用の機械は、安全装置がついています。
この安全装置は、手や足、体が挟まれないようにするものです。

この工場で使用していた機械に安全装置があったとは思われます。しかし機能していたかは、不明です。少なくともこの事故を防ぐことは、できなかったようです。

もしかすると、機械が古かったのかもしれません。新しい機械では、備えている安全装置も改良を重ねたものです。つまり安全性も高いものが備わっています。

個人でやっている自営業では、そうそう機械を取り替えられません。
そのため、古くなり、安全装置が故障していても使い続けることがほとんどではないでしょうか。

安全装置が故障していれば、体が挟まっても、ストップしてくれません。

また長年同じ機械を使い続けると、その機械の勘が備わってくるものです。
多少の無茶な使い方もしがちです。例えば、回転部に何かが挟まったのに、機械を止めずに挟まったものを取り除こうとしたりもします。

この事故でも、機械が動いたままの状態でトラブルを解消しようとして、巻き込まれた可能性がありそうです。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

機械の安全装置が、働いていなかった
機械が動いたまま、挟まったものをとろうとした。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

最も効果の高い対策は、新しい機械を導入することです。新しい機械は、高い安全性を備えています。そのため体の一部が挟まりそうになるのを防いでくれるのです。

しかし、ちょっと機械が古くなったからといって、そうそう新しいものと取り替えられるものではありません。設備投資には、多大な費用がかかります。その費用を簡単に捻出できるものではないため、古くなっても、使い続けることがほとんどでしょう。

機械も多少故障しているくらいでは放置され気味です。メインの部分ならば、仕事に関わるので、すぐに修理もされますが、 安全装置は壊れていても作業には支障がありません。後回しになりがちなのです。

場合によっては、安全装置が機械を止めるので、切ってしまうこともあるようです。

機械は定期的に点検し、故障しているところは修理するのが望ましいのです。もちろん費用がかかることなので、簡単ではないのですが。

対策をまとめてみます。

新しい機械を導入する。
機械の安全装置を切らない。
修理や物が挟まりの除去は、機械を止めて行う。

機械は長年使って慣れきっていても、事故を防ぐことはできません。
慣れているからこそ、油断してしまうこともあります。
機械の巻き込まれは、周りに人がいなければ、途中で止めることもできません。

機械を簡単に替えられないのであれば、その使い方には慎重さが求められるのです。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。 【安衛則】

第130条の8
食品加工用ロール機の労働者に危険を及ぼすおそれのある部分には、覆い、囲い等を設けなければならない。
第130条の9
食品加工用成形機又は食品加工用圧縮機に身体の一部を挟まれること等により労働者に 危険を及ぼすおそれのあるときは、覆い、囲い等を設けなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。 食品加工機の安全 その2。

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