崩壊・倒壊○事故事例アーカイブ

積み荷の下敷き 比の研修生死亡 芝山・航空貨物ビル(千葉県芝山町)

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荷役作業というのは、倉庫などで荷物を入れたり、出したり、保管のために積み上げたりする作業のことです。

天井クレーンやフォークリフト等が作業することが多く、これらの事故が多いのが実情です。 しかし、事故はフォークリフトだけで起こるものではありません。
荷物が積み上がっているのですから、これらに関わる事故もあるのです。

中でも、落下してきた荷物の下敷きになるという事故です。
周りに荷物が高く積み上げられている環境ですので、そういった事故もあるのです。

千葉県で、フォークリフトの誘導中に、崩れてきた荷物の下敷きになるという事故がありました。

今回はこの事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

積み荷の下敷き 比の研修生死亡 芝山・航空貨物ビル(平成27年11月18日)

芝山町大門のビル敷地内で16日午後6時20分ごろ、成田空港の航空貨物の荷下ろし作業をしていたフィリピン国籍の技能実習研修生が貨物の下敷きになった。被災者は頭などを強く打って病院に搬送されたが、約15時間半後に死亡が確認された。

空港署によると、被災者はフォークリフトの誘導作業中、作業所内に立てかけられていた縦3メートル、横2メートル、厚さ30センチの木箱に入ったトランポリン(重さ約340キログラム)が何らかの原因で倒れ、下敷きになったとみられる。同署で詳しい事故の状況などを調べている。

ちばとぴ
この事故の型は「倒壊・崩壊」で、起因物は「荷物」です。

この事故は、成田空港の貨物荷物を積み下ろす際に置きました。
被災したのは、フィリピン国籍の技能実習生です。フォークリフトを誘導している際、何かしらの原因で倒れてきた荷物の下敷きになってしまったのです。

倒れた荷物は作業所に立て掛けれていましたので、不安定な状態だったのかもしれません。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

事故の直接的な原因は、「縦3メートル、横2メートル、厚さ30センチの木箱に入ったトランポリンが入った木箱」が倒れてきたことです。 倒れた原因は何だったのでしょうか。調査で明らかにされるでしょうが、記事からだと2つほど考えられそうです。

1つは、立て掛け方が悪く、バランスが崩れたこと。もう1つは、何かに接触したことです。
フォークリフトで荷物を運んでいたのであれば、その荷物が接触してしまったのかもしれません。それで、先に立ち誘導していた被災者の上に崩れ落ちたのでしょうか。
もしフォークリフトの積荷に接触したのであれば、誘導ルートで目測を誤ったと言えそうです。

いずれにせよ、立て掛ける保管方法が事故の原因になってしまったのではないでしょうか。

一時的にせよ荷物の保管方法、誘導の仕方などに問題があったのではないかと推測されます。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

木箱の立て掛け方が不安定だったこと。
フォークリフトの荷物などに木箱が接触したこと。
荷物倒壊の範囲で誘導していたこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

一時的な保管であったかと思うのですが、荷物を立てかけるという保管方法は、倒れる危険を伴います。
壁に立てかけるのであれば、ロープを掛けるなどして、倒壊防止対策は必要になります。

また誘導ルートも、運搬中の荷物が周囲の荷物に接触しない場所を選ぶ必要があります。
そもそも、フォークリフトが通る通路と荷物保管場所には分離され、ある程度の余裕がある方が望ましいでしょう。

積荷を下ろす時で、まだ荷物も十分に整頓されていない時だったかもしれません。そのため仮置きしている品物も多数あったかと思います。その場合でも、倒れたり崩れたりしないようにする必要はありそうです。

対策をまとめてみます。

荷物の仮置きも含めた保管方法を改める。
荷物置き場と通路に間隔を取る。
誘導時に荷物の接触がないルートを選ぶ。

今回の事故の被災者は、海外の実習生です。言葉や習慣などの違いはあるので、しっかりとした安全教育を行う必要があります。
どれくらいの期間、仕事を行っていたか、慣れていたかで、今回の事故の意味は変わります。
もし仕事を始めて間もないのであれば、周囲の確認が不十分で、誘導ルートも悪かったかもしれません。

これから日本以外の労働者も増えてくることもあるでしょう。
言葉や習慣などが日本人通しで通じるものも通じません。その時大切になるのは、教育です。
きちんと守るべきこと、やるべきことを言葉で伝えなければなりません。
見て盗め、見て学べは一切通じません。
しっかり教育する体制は、事故防止のためにも、今後より重要になってきます。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

【安衛則】

第432条
はいの崩壊又は荷の落下の危険のおそれがあるときは、ロープで縛るなどの措置をとらなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。 荷役作業での危険防止措置について

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