危険物・有害物○安衛法と仲良くなる

化学設備の取り扱いの注意。その7

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化学物質の中には有害なものも少なくありません。
危険で有害な物質なのですから、保管したり取り扱ったりする設備は安全なものでなければなりませんし、取り扱い方にも注意を必要とします。

中でも特に重要なものが安全設備と言えるでしょう。常に作業者の安全を確保するために、安全装置を備えること、そして常に正常に働くように維持することが大事です。

安全装置についても安衛則に規定されています。
【安衛則】

(安全装置)
第278条
事業者は、異常化学反応その他の異常な事態により内部の気体の圧力が大気圧を
超えるおそれのある容器については、安全弁又はこれに代わる安全装置を備えているものでなければ、
使用してはならない。ただし、内容積が0.1立方メートル以下である容器については、この限りでない。

2  事業者は、前項の容器の安全弁又はこれに代わる安全装置については、その作動に伴って排出される危険物
  (前項の容器が引火点が65度以上の物を引火点以上の温度で製造し、
  又は取り扱う化学設備(配管を除く。)である場合にあっては、当該物。
  以下この項において同じ。)による爆発又は火災を防止するため、密閉式の構造のものとし、
  又は排出される危険物を安全な場所へ導き、若しくは燃焼、吸収等により安全に
  処理することができる構造のものとしなければならない。

有害な化学物質は、漏れだしたりすることを防ぐため容器の中に保管し、使用する場合も配管を通り、別の容器に注入します。なるべく人の手で運んだりすることを少なくし、触れる機会を減らしていきます。

化学物質の中には、反応によって発熱したり、圧力を増したりするものもあります。反応が過剰に進行してしまうと、保管している容器を破裂し、爆発します。爆発すると、衝撃だけでなく、危険物質が撒き散らされる危険もあるのです。

化学物質が異常に反応し、大気圧(1気圧)以上になるおそれがある場合は、安全弁などの装置を備えなければなりません。

安全弁とは、容器の中の空気を逃がし、圧力を下げるためのバルブで、一定気圧以上になると、自動的に開く仕組みになっています。 しかし安全弁が働き、中の空気を逃がす場合、一緒に危険物質まで排出したら問題です。

そのため、危険物質を保管する容器では、ただ安全弁をつければよいというものではありません。

危険物質を保管する容器の安全弁などの装置は、密閉式または排出された空気が安全な場所に集められる構造にしなければなりません。容器の中の空気を抜き、圧力は下げるけれども、危険物質を外に撒き散らさないようにしなければなりません。この安全装置も定期自主点検で、性能を確認し、安全な環境を保ちます。

安衛法で規制されている化学物質は約660あります。しかし化学物質の数は、何万もあります。大阪の印刷会社で発生した、胆管がんの事例のように、規制されていないけれども、有害な物質というものもあります。

そのため、化学物質を取り扱う製造業では、今後リスクアセスメントが義務化されます。今までもSDSで管理するなど、厳重な管理を求められていましたが、より踏み込んだ安全対策が求められるようになるのです。

化学物質は直接取り扱っている人以外には、危険性は理解し難いかもしれません。私も直接扱っていないので、わからないところもあるのですが、原子力発電施設を想像して理解に努めました。福島第一原発事故を見ればわかるように、放射能が漏れだすと、とんでもない事態におちいります。爆発まで至らなくとも、同じ原子力施設である、高速増殖炉もんじゅでは事故が絶えず、不安をかきたてくれました。

危険物質を取り扱う事業者にとって、直接関わる作業者と周辺住民の安全を確保することは義務です。安全装置を備え、常に維持することは、その義務の一環でしょう。

どんな危険物質でも、常日頃から扱うと危険を忘れがちになります。リスクアセスメントが義務化されることもあるので、改めて安全を確保するための対策が必要になるかもしれませんね。

まとめ。
【安衛則】

第278条
異常化学反応その他の異常な事態により内部の気体の圧力が大気圧を超えるおそれのある容器については、安全弁を備えているものでなければ、使用してはならない。