○安衛法と仲良くなるクレーン作業

クレーンの安全その14。クレーンの定期点検と日常点検

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クレーンなどの機械は、最初のうちはキビキビと動いてくれますが、ノーメンテのままだと機能は衰え、いつかは故障してしまいます。

時々、ワイヤーや歯車にグリースオイルを補充してやる必要があります。 ワイヤーも、時間が経つと、切れて細くなってきます。

機能が衰え、故障を抱えたまま、使い続けるとどうなるか?
言うまでもありませんね。 事故の原因になります。

自動車で考えると分かりやすいかもしれません。 自動車も定期にメンテしないと、危険な状態になりますね。
タイヤの溝がない、ライトが点かない、ブレーキが効かない。 こういった症状がある車に安心して乗れるでしょうか?

クレーンも同様です。
ワイヤーが細くなっているのにも関わらず、定格荷重限界まで荷を吊り上げていると、いつしか千切れて、荷物が落下ということも十分考えられます。

安全装置が故障したままで使っていると、荷物が定格荷重を超えていても、気づかないということもあります。

いつも正常な状態で、使用するためには、こまめに点検を行い、状態を確認してやる必要があります。

クレーンの故障は、大事故になるので、定期点検が法的に義務付けられているのです。

点検には、頻度により、年次点検、月次点検、日常点検があります。

それぞれで、点検内容も異なります。

今回は、クレーンの点検に関する条文をまとめていきます。

index_arrow クレーンの年次自主点検

【クレーン等安全規則】

第3節 定期自主検査等

(定期自主検査)
第34条
事業者は、クレーンを設置した後、1年以内ごとに1回、
定期に、当該クレーンについて自主検査を
行なわなければならない。
ただし、1年をこえる期間使用しないクレーンの
当該使用しない期間においては、この限りでない。

2 事業者は、前項ただし書のクレーンについては、
  その使用を再び開始する際に、自主検査を
  行なわなければならない。

3 事業者は、前2項の自主検査においては、
  荷重試験を行わなければならない。
  ただし、次の各号のいずれかに該当する
  クレーンについては、この限りでない。

  1)当該自主検査を行う日前2月以内に第40条第1項の
   規定に基づく荷重試験を行ったクレーン
   又は当該自主検査を行う日後2月以内に
   クレーン検査証の有効期間が満了するクレーン

  2)発電所、変電所等の場所で荷重試験を行うことが
   著しく困難なところに設置されており、
   かつ、所轄労働基準監督署長が荷重試験の
   必要がないと認めたクレーン

4 前項の荷重試験は、クレーンに定格荷重に
  相当する荷重の荷をつって、つり上げ、走行、旋回、
  トロリの横行等の作動を定格速度により
  行なうものとする。

クレーンは1年以内ごとに、1回自主点検を行わなければなりません。

1つ注意点があります。 別の記事でまとめますが、クレーンはこれとは別で、性能検査というものも必要になります。
これは2年以内ごとに1回、公的な検査機関で受けなければなりません。

1年に1回の点検、年次点検は自主点検です。

これも車で例えましょう。
普通乗用車は、2年に1回車検を受けなければなりません。
これは車検場でチェックしますね。
一方、1年に1回はディーラー等で点検しようという案内が来たりしますね。これは年次自主点検です。

クレーンもこれと同様の点検と検査を必要とするのです。

さて、年に1回行なう検査ですから、それなりに細部に至るまで行います。
この時ばかりは、荷重試験も行わなければなりません。

とはいえ、落成検査等で行なうような、定格荷重×1.25倍の荷重までは必要ありません。
定格相当の荷重をかけます。
当然、荷重をかけたまま走行や旋回など、実際の使用にかなった動きも点検します。

荷重試験は、次のような条件にの場合免除もあります。

1.2ヶ月以内荷重試験を行った。
2.場所柄、試験は困難で、労働基準監督署も不要と認めている。

クレーンにとって、吊り能力、荷重を受ける能力は最重要です。
これが劣化していると、事故になるので、免除条件に該当しなければ、年に1回点検しましょう。

index_arrow クレーンの月次点検
第35条
事業者は、クレーンについて、1月以内ごとに1回、
定期に、次の事項について自主検査を
行なわなければならない。
ただし、1月をこえる期間使用しないクレーンの
当該使用しない期間においては、この限りでない。

  1)巻過防止装置その他の安全装置、過負荷警報装置
   その他の警報装置、ブレーキ及びクラッチの異常の有無

  2)ワイヤロープ及びつりチェーンの損傷の有無

  3)フック、グラブバケット等のつり具の損傷の有無

  4)配線、集電装置、配電盤、開閉器及びコントローラーの
   異常の有無

  5)ケーブルクレーンにあっては、メインロープ、
   レールロープ及びガイロープを緊結している部分の
   異常の有無並びにウインチの据付けの状態

2 事業者は、前項ただし書のクレーンについては、
  その使用を再び開始する際に、同項各号に掲げる事項に
  ついて自主検査を行なわなければならない。

年次の後は、月次点検です。

クレーンは、1ヶ月以内に1回、自主点検を行わなければなりません。

月次の点検ですから、点検サイクルも短いため、年次点検よりも簡易な内容となります。
簡易とはいえ、クレーン性能にとって最重要箇所の中心に点検することになります。

点検内容は、1号から5号に挙げられている、次の項目です。

1.安全装置
2.ワイヤー、チェーン
3.フックなど吊具
4.電気系統
5.ケーブルクレーンの各所

ケーブルクレーンだけ5号が必要になります。

全てクレーン性能の中心だと分かりますね。
中でも、過負荷防止装置や巻過防止装置などの安全装置の点検はしっかり行いましょう。
事故を防ぐ備えとなります。

今月は使うことはなかったとしても、月に1回は点検してあげましょう。

index_arrow クレーンの作業前点検
(作業開始前の点検)
第36条
事業者は、クレーンを用いて作業を行なうときは、
その日の作業を開始する前に、次の事項について
点検を行なわなければならない。

  1)巻過防止装置、ブレーキ、クラッチ及びコントローラーの機能

  2)ランウェイの上及びトロリが横行するレールの状態

  3)ワイヤロープが通っている箇所の状態

年次、月次は定期自主検査です。

定期に検査していても、機械のことですから、いきなり壊れることもあります。

この掃除機、昨日まで動いていたのに、今朝急に動かなくなった。 そんな経験もありませんか?

これはクレーンにも当てはまります。
何の前触れもなく動かないということはあまりないでしょうが、壊れる兆しのようなものあったはず。

安全に使うには、使う前に異常がないか点検して上げる必要があります。

クレーン作業の前には、点検を行わなければなりません。

作業前のことなので、そんなに点検に時間をとるわけにはいきません。 そのため点検内容は必要最小限です。

点検は次の項目について行います。

1.安全装置、操作系
2.レールの状態
3.ワイヤーロープが通っている箇所の状態

使用にあたって、異常がないかの点検だと言うのが分かりますね。

普段の点検は、使うのに問題はないかの点検ですが、同時に異常箇所の早期発見にも繋がります。

使用に差し障りがない異常であれば、次の定期点検で修繕でも構わないでしょう。
しかし安全装置やブレーキに異常があれば、使用を見合わせる必要も出てきます。

年次、月次、日常点検は、クレーンの状態を保ち、安全に作業の確保にもなります。

古いクレーンになると、所々故障するところも出てきますが、きちんと点検し、メンテしてがると長持ちします。
逆に、新しいクレーンでも、ノーメンテだと、故障しやすいですし、何より危険です。

点検は、作業者や周囲の人の安全のためにも重要な事なんですね。

index_arrow 条文の要約

【クレーン等安全規則】

第34条
クレーンを設置した後、1年以内ごとに1回、定期に、当該クレーンについて自主検査を行なわなければならない。
第35条
クレーンについて、1月以内ごとに1回定期に、自主検査を行なわなければならない。
第36条
クレーンを用いて作業を行なうときは、その日の作業を開始する前に、点検を行なわなければならない。