○安衛法と仲良くなるクレーン作業

クレーンの安全 その9。 作業時の注意

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クレーンを取り扱うためには、資格が必要です。

しかし資格を持っているからといって、いい加減な取り扱いをしてはいけません。

クレーンを取り扱うにあたって最も大事なことは、「安全」な作業を進めることです。

作業の効率も、品質もまずは安全が土台にあってからこそです。

実際にクレーンを取り扱うとき、十分な注意が必要です。

限界を超えた重さのものを吊らない、ジブの角度を上げ過ぎないなど、よくよく考えたら当たり前だと思うものもありますが、きちんと歯止めをかけるための規定が必要です。

自動車も法的に制限速度を定めておかないと、住宅街でも猛スピードを出す運転者もでてきます。こういったものは防がなければなりません。

今回は、このような作業時の注意事項をまとめていきます。

【クレーン等安全規則】

(過負荷の制限)
第23条
事業者は、クレーンにその定格荷重をこえる荷重を
かけて使用してはならない。

2 前項の規定にかかわらず、事業者は、やむを得ない事由に
  より同項の規定によることが著しく困難な場合において、
  次の措置を講ずるときは、定格荷重をこえ、
  第6条第3項に規定する荷重試験でかけた荷重まで
  荷重をかけて使用することができる。

  1)あらかじめ、クレーン特例報告書(様式第10号)を
   所轄労働基準監督署長に提出すること。

  2)あらかじめ、第6条第3項に規定する荷重試験を
   行ない、異常がないことを確認すること。

  3)作業を指揮する者を指名して、その者の直接の
   指揮のもとに作動させること。

3 事業者は、前項第2号の規定により荷重試験を
  行なったとき、及びクレーンに定格荷重をこえる荷重を
  かけて使用したときは、その結果を記録し、
  これを3年間保存しなければならない。

クレーンは重いものを吊上げて、移動させる機械です。
そういった機械ですので、最も大事なことは、性能を超えた重いものを吊ってはいけないということです。

クレーンは、定格荷重を越える荷重のものを吊上げてはいけません。

これは原則ですが、例外もあります。
一定の条件をクリアした場合に限り、定格荷重以上の重さのものを吊ることができます。

その条件とは、第2項1号から3号の内容になります。
1.事前に労働基準監督署に報告書を提出する。
2.荷重試験を行い、問題がないことを確認する。
3.作業指揮者を指名して、直接指揮させる。

定格荷重以上を吊れるとはいえ、上限はあります。
上限は、定格荷重×1.25倍、吊り荷重が200トンを超える場合は、プラス50トンまでとなります。

落成検査などで行う試験荷重と同じです。

誤解がないように付け加えると、これらの条件を満たしたからといって、常時定格荷重を越えてよいわけではありません。

どうしてもこの荷物だけ、定格荷重を越えてしまうなどの臨時1回きりの話なのです。

原則は、定格荷重を越えてはいけません。

また定格荷重を越えて吊り作業を行った場合は、記録を残し、3年間は保管しましょう。

(傾斜角の制限)
第24条
事業者は、ジブクレーンについては、クレーン明細書に
記載されているジブの傾斜角(つり上げ荷重が3トン未満の
ジブクレーンにあっては、これを製造した者が指定した
ジブの傾斜角)の範囲をこえて使用してはならない。

重さの次は、傾斜角です。

長いアームやジブの先にワイヤーを垂らすジブクレーンなどでは、アームやジブを寝かせたり、立たせたりすることができます。

このアームやジブの角度で、ワイヤーの調整を行ったり、吊り荷の位置を調整します。

アームやジブの傾斜角は大切です。
角度によって、荷物の荷重が変わってしまうからです。

手に荷物を持つことを考えましょう。
手を水平にして、肘を伸ばしたとき、荷物は非常に重く感じないでしょうか。
そのままの姿勢でいると、手がプルプルして、辛くなるのではないでしょうか。

クレーンも同じです。
角度によって、荷重が変わるのです。

またクレーンの角度を上げすぎるのも危険です。
ジブの背の部分が、本体に接触し、ひどい時にはその部分にき裂が入り、折れてしまうなんてこともあります。

アームやジブが上下する範囲は決まっているのです。

ジブクレーンの使用にあたっては、決められた傾斜角の範囲内で使用しなければなりません。

これを超えると、重さに耐え切れなかったりして、ジブが破損してしまうことがあります。

重さも角度も、無茶な使い方はしていけないということです。

(定格荷重の表示等)
第24条の2
事業者は、クレーンを用いて作業を行うときは、
クレーンの運転者及び玉掛けをする者が当該クレーンの
定格荷重を常時知ることができるよう、表示その他の
措置を講じなければならない。

クレーンで定格荷重以上のものを吊らないためには、吊り荷の重量を知る必要があります。

荷物の中には、小さいのに重い物、大きいのに重さはさほどでもないものがあります。残念ながら、見た目から重さを判断することはできないの現実です。

そのためには、重さを知るための装置が必要になるのです。

クレーン作業の時は、クレーン操作者や玉掛け者などが、常時重さを知ることができるようにしなければなりません。

具体的には荷重計を備えておくことが必要になります。

荷重計は、アナログのものもデジタルのものもあります。
角度によっても重さは変わります。

ひと目で、今どれくらいの重さかがわかるものが必要なのです。

(運転の合図)
第25条
事業者は、クレーンを用いて作業を行なうときは、
クレーンの運転について一定の合図を定め、
合図を行なう者を指名して、その者に合図を
行なわせなければならない。
ただし、クレーンの運転者に単独で作業を
行なわせるときは、この限りでない。

2 前項の指名を受けた者は、同項の作業に
  従事するときは、同項の合図を行なわなければならない。

3 第1項の作業に従事する労働者は、同項の合図に
  従わなければならない。

クレーン作業を行う場合は、クレーン操作者以外にも、玉掛けをする人など、複数の作業者が関わります。
これらの人が連携して、安全に作業を行う必要があるのです。

この時、吊り上げるタイミング、降ろすタイミングなどが伝わっていないと、荷物周辺の作業者が対応できず、接触してしまうことがあります。

誰もが、次に何をするのか、どこに位置すればよいのかなどを把握しておくかないと、危険なのです。
全員が状況を理解するために行うこと、それが合図です。

クレーン作業を行う場合は、一定の合図を決め、合図者を決め、その人が合図して作業を進めなければなりません。

ただし1人で作業する場合は、合図は不要です。

1つの作業場で、下請けなど複数の事業者が入る場合、合図がバラバラだと、何のことだかわからなくなります。
こういった場合は、元請け(元方事業者)は、合図を統一して、全ての関係請負人に使わせなければなりません。

この規定は、安衛則第639条で定められています。

合図者については、誰が行うのかをみんなは把握しておく必要があります。
合図者を明示するために、ヘルメットに目立つ色のカバーを被せたり、ベストを着用させるなどの工夫をするのもよいでしょう。

クレーンは、使い方に制限があり、決められた使い方があります。

一歩間違えたら大きな事故になりかねないものですから、事前に作業の方針などは、決めておく必要がありますね。

まとめ。

【クレーン等安全規則】

第23条
クレーンにその定格荷重をこえる荷重をかけて使用してはならない。
第24条
ジブクレーンについては、ジブの傾斜角の範囲をこえて使用してはならない。
第24条の2
クレーンを用いて作業を行うときは、定格荷重を常時知ることができるようにしなければならない。
第25条
クレーンを用いて作業を行なうときは、一定の合図を定め、合図を行なう者を指名して、その者に合図を行なわせなければならない。