○安衛法と仲良くなる製造機械・工作機械

遠心機械の危険防止。

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機械の用途は、切る、延ばす、絞る、型抜するといった以外にもあります。

その1つが、容器に材料を入れ、回転させるというものです。
回転させて、材料を混ぜたり、分離したりします。

これらの機械は、とうてい人力では不可能な程、非常に高速で回転します。

高速で動くものは、すさまじいエネルギーを持つので、無防備に接触すると非常に危険です。
扇風機の羽根を触るどころの騒ぎではありません。
簡単に、体が吹き飛ばされてしまうのです。

高速回転機械の中には、遠心機械というものがあります。
遠心機械とは、いくつもの種類が混合状態の材料を、高速で回転させます。
このとき発生する遠心力によって、大きさや重さが異なる種類ごとに分ける機械です。

例えば、水と油が混ざった液体があったとします。
これを遠心機械にかけると、水だけの液体、油だけの液体に分かれてしまうというものです。
いわゆる遠心分離というものです。

遠心機械も機械なので、原則としては動いている時に接触しないということが重要です。

安衛則では、その他遠心機械ならではの規則もまとめられています。

【安衛則】

第5節 遠心機械

(ふたの取付け)
第138条
事業者は、遠心機械には、ふたを設けなければならない。

遠心機械は、高速で容器がさせる機械です。

もし容器に蓋がなければ、どうなるでしょう。

お分かりですね。中身が飛び散ります。
高速で辺りに撒き散らすので、掃除も手が届かないところまで、撒き散らされます。

遠心機械には、必ず蓋をつけなければなりません。

そして作業中は、必ず蓋は閉じましょう。
おそらく、蓋を閉めないと動かないような、安全装置があると思いますが、意識して閉めるようにしましょう。

もし開けたまま、回転させようものなら、何年たっても掃除の度に、痕跡を発見することになってしまうでしょう。

(内容物を取り出す場合の運転停止)
第139条
事業者は、遠心機械(内容物の取出しが自動的に行なわれる
構造のものを除く。)から内容物を取り出すときは、
当該機械の運転を停止しなければならない。

回転中に蓋を開けることも、やってはいけません。
理由としては、撒き散らされてしまうからです。

遠心機械では、材料は容器の内壁に張り付きます。
蓋は内壁に付いていることが多いでしょうから、開けば、飛び出すのです。

回転作業中に、蓋を開くことなどはできないでしょう。

蓋を開くのは、材料を入れたり、取り出すときです。
特に取り出す時は、直前まで機械が動いているので、より注意が必要です。

材料を取り出す時は、遠心機械の運転を停止しなければなりません。

まだ動きが完全に止まっていない時に、蓋を開くのもダメです。
中身が飛び出すことはもちろんですが、何よりも触ると危険なのです。

電源を切るまでは、不要ですが、完全に停止し、材料を取り出している最中に動き出すということはないようにしましょう。

なお、機械が自動的に、材料の取り出しまでやる場合は、機械を停止することは不要です。

(最高使用回転数をこえる使用の禁止)
第140条
事業者は、遠心機械については、その最高使用回転数を
こえて使用してはならない。

早く回れば、より効率的にできるものではありません。

機械には、これ以上の能力は発揮できないという限界があります。
それを越えて使用すると、機械が負荷に耐えられず故障しやすくなります。
動いている最中に壊れようものなら、回転する機械は、辺りに部品を飛び散らせて、周辺の人に危害を加えます。

遠心機械は、その機械の最高仕様回転数を越えて使用してはいけません。

過度の負荷をかけると、機械は故障してしまいます。
その故障は、人に危害を加える故障にもなるのです。

(定期自主検査)
第141条
事業者は、動力により駆動される遠心機械については、
1年以内ごとに1回、定期に、次の事項について
自主検査を行なわなければならない。
ただし、1年をこえる期間使用しない遠心機械の
当該使用しない期間においては、この限りでない。

  1)回転体の異常の有無

  2)主軸の軸受部の異常の有無

  3)ブレーキの異常の有無

  4)外わくの異常の有無

  5)前各号に掲げる部分のボルトのゆるみの有無

2 事業者は、前項ただし書の遠心機械については、
  その使用を再び開始する際に、同項各号に掲げる
  事項について自主検査を行なわなければならない。

3 事業者は、前2項の自主検査を行ったときは、次の事項を
  記録し、これを3年間保存しなければならない。

  1)検査年月日

  2)検査方法

  3)検査箇所

  4)検査の結果

  5)検査を実施した者の氏名

  6)検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、
  その内容

4 事業者は、第1項又は第2項の自主検査を行なった
  場合において、異常を認めたときは、補修その他の必要な
  措置を講じなければならない。

遠心機械は、材料を入れた容器を高速で回転させます。
それは、とてつもないエネルギーを使います。
当然、常に大きな負荷が機械にかかっているとも言えます。

機械が正常でないと、作業者にとっても危険です。
もしナット1つが緩んでおり、運転中にはじけ飛ぼうものなら、そのナットは弾丸となり、数ミリ程度の鉄板なら貫通する威力になります。

もし人に当たれば、どうなるか想像がつきますね。

遠心機械に限りませんが、機械は常に正常に動いてこそ、安全なのです。

遠心機械は、1年に1回以内自主点検しなければなりません。
点検の結果、異常箇所があれば、すぐに補修を行います。
点検結果は、記録に残し、3年間保存しなければなりません。

特に回転体や軸になる部分は、大きな負荷がかかるので、しっかり点検しなければなりません。

遠心機械も、他の機械と同様の注意が必要です。 共通事項なので、あえてここではまとめられていないのですが、動いている最中に、体の一部も接触しないようにすることが大切です。

接触防止のための、柵や覆いは必須です。

さらに、修理やメンテナンスの時には、電源を切ることや、第三者が修理中に電源を入れないような対策も必要です。

回転体には、触らない。
そして、撒き散らさない。

これが重要なことのようですね。

まとめ。

【安衛則】

第138条
遠心機械には、ふたを設けなければならない。
第139条
遠心機械から内容物を取り出すときは、当該機械の運転を停止しなければならない。
第140条
遠心機械については、その最高使用回転数をこえて使用してはならない。
第141条
遠心機械については、1年以内ごとに1回、定期に自主検査を行なわなければならない。