○安衛法と仲良くなる感電

感電防止 その3。 停電作業の時の注意。

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電気に関する工事や作業を行う場合には、1つ大切な原則があります。

それは、電気が通っている状態では行わないことです。

つまり、停電状態で作業を行わなければなりません。
もちろん、通電している状態、活線状態で行わなければならないこともあります。

しかし、電線の取り扱い、電線と機械との接続作業は、停電状態で行わなければなりません。

電気が通っているところを充電部といいますが、通電状態の時に、充電部に触ると、感電してしまいます。

機械などは、家庭よりも高い電圧がかかっているものもあります。
下手に触ると、とても危険なのです。

そのため、充電部を触る時は、この部分から電気を取り除いてからになるのです。

電気を取り除く、遮断することが停電となるわけです。

停電作業時の注意について、安衛則では規定されています。

ところで、停電作業で使われる用語で、少しややこしい物があるので、先に紹介しておきます。

それは、「開路」と「閉路」です。
これらは、電気を通している状態と通していない状態を示します。

どちらどちらか分かるでしょうか?

「開路」が通していない状態、つまり停電状態のことです。
そして「閉路」が電気を通している状態、通電状態のことです。

なんとなく文字のイメージから、「開」が通電、「閉」が停電しているように思うかもしれませんが、逆なんですね。

なぜ、このような文字が当てられるかというと、接点つまりスイッチの入り切りをイメージしてみたらわかると思います。
スイッチをいれるというのは、接点を接触させること。接点が接触すると、電気が通過できますね。
逆にスイッチを切ると、接点を離すことです。接点が離れると、そこで遮断されるというわけです。

条文には、「開路」と「閉路」という用語が出てきますが、それぞれどういう意味か分かっていると、理解しやすくなりますね。

【安衛則】

第3節 停電作業

(停電作業を行なう場合の措置)
第339条
事業者は、電路を開路して、当該電路又はその支持物の敷設、
点検、修理、塗装等の電気工事の作業を行なうときは、
当該電路を開路した後に、当該電路について、
次に定める措置を講じなければならない。
当該電路に近接する電路若しくはその支持物の敷設、点検、
修理、塗装等の電気工事の作業又は当該電路に近接する工作物
(電路の支持物を除く。以下この章において同じ。)の建設、
解体、点検、修理、塗装等の作業を行なう場合も同様とする。

  1)開路に用いた開閉器に、作業中、施錠し、
   若しくは通電禁止に関する所要事項を表示し、
   又は監視人を置くこと。

  2)開路した電路が電力ケーブル、電力コンデンサー等を
   有する電路で、残留電荷による危険を生ずるおそれの
   あるものについては、安全な方法により当該残留電荷を
   確実に放電させること。

  3)開路した電路が高圧又は特別高圧であったものについては、
   検電器具により停電を確認し、かつ、誤通電、他の電路との
   混触又は他の電路からの誘導による感電の危険を防止するため、
   短絡接地器具を用いて確実に短絡接地すること。

2 事業者は、前項の作業中又は作業を終了した場合において、
  開路した電路に通電しようとするときは、あらかじめ、
  当該作業に従事する労働者について感電の危険が生ずる
  おそれのないこと及び短絡接地器具を取りはずしたことを
  確認した後でなければ、行なってはならない。

電路を回路する、つまり停電作業を行うのは、電気が通っている所で作業を行うことです。
電気設備につながる電線や電線に接しているものを触る場合です。

停電作業中に注意しなければならないことは、作業中に電気が流れることです。
作業中は、感電の心配なしでやらないと、危なくて仕方ありませんよね。

停電作業中は、電気が流れ、感電しようような措置をとらなければなりません。

まず、停電を行っているブレーカーは、第三者が勝手にスイッチを入れられないようしなければなりません。
ブレーカーを収めるボックスに鍵をかけたり、スイッチ入り禁止等の掲示をします。
これらが難しい場合は、監視人を置いて、誰にも触れられないようにします。

停電を行って、作業を開始する前には、確実に電気が流れていないことを確認します。
もし電気が残留していたら、それで感電します。
そのため、安全に電気を放電させて、電気ゼロにしてから、作業を行います。

電気には電圧の高さにより、高圧、特別高圧という分類があります。
詳しくは改めてまとめますがが、高圧や特別高圧に触れると、人は一瞬で死ぬ位の電気が流れています。つまりものすごく危険なのです。

このような高圧、特別高圧での停電作業では、完全に電気を遮断しておかなければなりません。
開路して電気を遮断した後、検電器という通電を調べる測定器で、電気ゼロを確認しなければなりません。

また作業中にちょっとでも電気が流れると危険なので、接地という措置をとります。
接地とは、電気を大地に流すための通路を確保してやることです。
もし誤って電気が流れていたとしても、作業中の電路ではなく、大地へ流してやり、安全を確保します。

高圧や特別高圧以外でも、作業者が感電しないように、接地して、作業中の感電を防止しなければなりません。

(断路器等の開路)
第340条
事業者は、高圧又は特別高圧の電路の断路器、線路開閉器等の
開閉器で、負荷電流をしや断するためのものでないものを
開路するときは、当該開閉器の誤操作を防止するため、
当該電路が無負荷であることを示すためのパイロツトランプ、
当該電路の系統を判別するためのタブレツト等により、
当該操作を行なう労働者に当該電路が無負荷であることを
確認させなければならない。ただし、当該開閉器に、
当該電路が無負荷でなければ開路することができない
緊錠装置を設けるときは、この限りでない。

高圧や特別高圧は、鉄塔や電柱の間の電線でながれています。
工場の機械などでは、ブレーカーなどがあり、この入り切りで、電気を入れたり切れたりします。

しかし電柱間などでは、明確なブレーカーがありません。
その代わり断路器や線路開路器などで、開路したり閉路したりするのです。

ただブレーカーと異なり、明確に機械が止まるといった形で、停電しているとは分かりません。

目に見えて分かりませんが、確実に電気が通っていないことが確認できなければなりませんし、誤操作を防止しなければなりません。

電路を無負荷を確認するため、別途確認できるようにしなければなりません。
確認方法としてはパイロットランプやタブレットなどあります。
これらを用いて、確実に停電であることを確認しなければならないのです。

停電作業は、安全に作業を行うものですが、作業中に通電を防ぐことが大切です。

作業者は、まさか電気が流れてくるなど、考えもしません。
そのため、十分な保護具を着用することもありません。
非常に無防備です。

そんな時に、電気が流れてくると、無防備な状態で電撃を受けることになります。

電気を扱う人は、電気の恐ろしさをよく知っていますが、同時に慣れもあります。
普通に考えると、作業中に第三者が勝手にブレーカーを入れるなどはあり得ません。
しかし、100%ないとも言えないのが怖いところなのです。

わずか1%でも、可能性があるならば、感電の事故を防ぐための対策が必要です。

停電作業は、作業中の安全を確実に守ることが求められるのです。

まとめ。

【安衛則】

第339条
停電作業は、必要な措置をとって行なわなければならない。
>第340条
高圧又は特別高圧の電路で、負荷電流をしや断するためのものでないものの電流を止める場合は、無負荷状態を確認してから、作業させなければならない。