○安衛法と仲良くなる酸欠危険作業

酸欠作業 その6。 ガスの取り扱い。

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可燃性のガスは爆発や火災の危険があり、取り扱いに注意が必要です。
しかしガスは全て可燃性ではありません。

窒素や二酸化炭素のように、不燃性のガスもたくさんあります。

しかしガスが充満すると、空気中の酸素濃度を変化させます。

実は恐ろしいのは、このガス充満による窒息なのです。

窒息は、酸素濃度の低下によって起こります。

つまりガスが満ち満ちた空間では、酸欠が起こりやすいのです。

ガスを取り扱う場合には、酸欠防止が必要です。

ガス取り扱い時の、酸欠防止の規定は、酸欠則にまとめられています。

【酸素欠乏症等防止規則】

(ガス漏出防止措置)
第22条
事業者は、ボイラー、タンク、反応塔、船倉等の内部で
令別表第6第11号の気体(以下「不活性気体」という。)を
送給する配管があるところにおける作業に労働者を
従事させるときは、次の措置を講じなければならない。

  1)バルブ若しくはコックを閉止し、又は閉止板を施すこと。

  2)前号により閉止したバルブ若しくはコック
   又は施した閉止板には施錠をし、これらを開放しては
   ならない旨を見やすい箇所に表示すること。

2 事業者は、不活性気体を送給する配管のバルブ
  若しくはコック又はこれらを操作するためのスイッチ、
  押しボタン等については、これらの誤操作による
  不活性気体の漏出を防止するため、配管内の不活性気体の
  名称及び開閉の方向を表示しなければならない。

ボイラーやタンクなど四方を覆われた場所の内部は、通気が悪く、空気が循環しません。

ボイラー等の内部で不活性ガスの配管があり、仮に配管から気体が流出すると、酸欠になってしまいます。
そして閉塞している場所なので、逃げようにも、簡単に逃げることができない場所です。

このような場所では、配管からの漏出を防ぐことが大事です。

このような場所では、不活性ガスが流出しないように、バルブやコックを閉止したり、閉止板を取り付けて、流れを止めておきます。

バルブなどで閉止した場合は、誤って開けてしまわないように、注意を掲げておきます。

またバルブなどの操作時には、操作間違えを防がなければなりません。
閉めるつもりが、開けてしまっていたということを防ぎます。
誰も間違えないように、バルブ開閉の方向や、どんなガスが通っているのかなどが分かるようにしてきます。

誤操作や、確認ミスを防ぐことが大事なのですね。

(ガス排出に係る措置)
第22条の2
事業者は、タンク、反応塔等の容器の安全弁等から
排出される不活性気体が流入するおそれがあり、
かつ、通風又は換気が不十分である場所における作業に
労働者を従事させるときは、当該安全弁等から
排出される不活性気体を直接外部へ放出することが
できる設備を設ける等当該不活性気体が当該場所に
滞留することを防止するための措置を講じなければならない。

もしタンク内部にガスが流入する場合、排出する設備を備えます。

配管には、溜まった水を排出するドレーン弁や安全弁などが備えられています。
弁は開閉するものなので、開けていればガスは通ります。

こういった弁類からガスが入り込み、タンク内部などに溜まると、中で作業している人は、酸欠になってしまいます。

このような場合は、漏れてきても、ガスを外に出し、新鮮な空気が送り込まれるような設備が必要になるのです。

(空気の稀薄化の防止)
第23条
事業者は、その内部の空気を吸引する配管(その内部の
空気を換気するためのものを除く。)に通ずるタンク、
反応塔その他密閉して使用する施設又は設備の内部に
おける作業に労働者を従事させるときは、労働者が
作業をしている間、当該施設又は設備の出入口の
ふた又は扉が締まらないような措置を講じなければならない。

保管するものによっては、真空に近い状態にするものもあります。
そのような保管を行う場合は、内部の空気を吸い出します。

もしこのような部屋内部で作業している時に、真空になってしまうと、中の人は危ないですよね。
空気と一緒に酸素も吸い出されてしまいます。

空気を吸引するような部屋内部で作業を行っている場合、出入口が塞がれないようにしなければなりません。

どこか一部が空いていれば、空気は吸いきれませんし、もし何かがあった場合には避難できるルートを確保しておく必要があるのです。

(ガス配管工事に係る措置)
第23条の2
事業者は、地下室又は溝の内部その他通風が不十分な
場所において、メタン、エタン、プロパン
若しくはブタンを主成分とするガス又はこれらに空気を
混入したガスを送給する配管を取り外し、又は取り付ける
作業に労働者を従事させるときは、次の措置を
講じなければならない。

  1)配管を取り外し、又は取り付ける箇所にこれらの
   ガスが流入しないように当該ガスを確実に
   遮断すること。

  2)作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を
   18パーセント以上に保つように換気し、
   又は労働者に空気呼吸器等を使用させること。

2 第7条の規定は、前項第2号の規定により使用させる
  空気呼吸器等について準用する。

3 労働者は、第1項第2号の場合において、空気呼吸器等の
  使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。

今までは、ガス配管以外の作業を行っている場合、漏出に備えるものでした。

しかし、ガスが通る配管そのものを取り替えたりする作業もあります。
屋外であれば、空気に希釈されますし、少し体を動かせば、新鮮な空気を吸うことができます。

しかし、地下室やタンクの中など、ガスが溜まってくると、酸欠になる場所での配管工事も行う場合は、より慎重さが求められます。

通風が不十分な場所で、不活性ガスの配管工事を行う場合は、ガスを止めるとともに、換気や空気呼吸器の着用が必要です。

まず何より、ガスの流れを止めなければなりません。
取替を行う箇所より、前の段階で、バルブ等を閉めたりします。

流れを止めても、配管に残留しているガスがあります。
これらをきちんと換気で、排出します。

また換気が十分に行えない場合は、空気呼吸器などで、呼吸を確保しなければなりません。

ガスが流る配管を取り扱うのですから、十分に対策を行う必要があるわけです。

可燃性ガスは慎重に取り扱う必要がります。
しかし可燃性でなくとも、不活性ガスも取り扱いは注意が必要です。

特に通気が悪い場所で、たまりやすい場所であれば、十分な対策が必要です。

ガスは目に見えません。
そのため溜まっているかどうかが、判断できないのです。

徐々に室内にガスが充満し、気がついたら気を失っていたという事故は多発しています。

ガスの配管の取り扱い、ガス配管付近での作業時は、ガスの漏出を止め、換気することが、安全な作業のために大切なことです。

まとめ。

【酸素欠乏症等防止規則】

第22条
ボイラー、タンク等の内部で不活性気体を送給する配管があるところでの作業では、バルブを確実に閉める、第三者が開けさせないなどの措置をとらなければならない。
第22条の2
タンク、反応塔等の安全弁等から排出される不活性気体が流入するおそれがある場所での作業では、安全弁から気体が流出するなどの換気措置をとらなければならない。
第23条
その内部の空気を吸引する配管に通ずるタンク等の施設や設備で作業させる場合は、出入口が閉まらないような措置をとらなければならない。
第23条の2
地下室等の通風が不十分な場所において、ガス配管工事を行う場合は、酸素濃度を保つ他、換気や空気呼吸器を備えなければなららない。