○安衛法と仲良くなる酸欠危険作業

酸欠作業 その4。 作業時の監視と避難の体制づくり。

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酸欠のおそれのある場所は、危険であるということが前提です。
そのため、酸欠作業はいつ危険が起こっても対処できるようにすることが求められます。
作業前には酸素濃度等を測定し、換気や呼吸マスクなどの着用で、しっかりと安全対策を行います。
しかし絶対安全とは言い切れません。

仕事においては、アクシデントがつきものです。

酸欠作業では、このアクシデントにも備えなければなりません。

現場では刻々と状況が移り、いつ何が起こるかわかりません。

具体的な備えとしては、退避方法の取り決めや救出方法の取り決めになります。

これらの規定についても、引き続き酸欠則にまとめられています。

【酸素欠乏症等防止規則】

(監視人等) 第13条
事業者は、酸素欠乏危険作業に労働者を従事させるときは、 常時作業の状況を監視し、異常があったときに直ちにその旨を 酸素欠乏危険作業主任者及びその他の関係者に通報する者を 置く等異常を早期に把握するために必要な措置を講じなければならない。

もし事故や人が倒れたという状況をいち早く発見するには、それを常時見る人が必要です。
そのため、酸欠作業時には、作業状況を常に確認する監視人等を配置ます。

監視人は、もし異常事態があれば、作業主任者に連絡するなどして、迅速に対応することが求められます。

作業者同士で確認し合えばいいじゃないかと思うかもしれませんが、作業に集中していたら周りのことが見えにくくなります。
もし異常事態が発生したり、作業員の1人が倒れたとしても、発見が遅くなる可能性もあります。

そのため、作業者と別で、監視人が必要になるのです。

(退避)
第14条
事業者は、酸素欠乏危険作業に労働者を従事させる場合で、
当該作業を行う場所において酸素欠乏等のおそれが
生じたときは、直ちに作業を中止し、労働者をその場所から
退避させなければならない。

2 事業者は、前項の場合において、酸素欠乏等の
  おそれがないことを確認するまでの間、その場所に
  特に指名した者以外の者が立ち入ることを禁止し、
  かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。

異常事態があれば、直ちに作業を中止させ、作業者を避難させます。

異常事態とは、作業中に酸素濃度が基準値の18%を下回った場合、硫化水槽などの濃度が基準値以上になってきた場合、ガスが噴出してきた場合などがあります。

つまり作業者が酸欠になるおそれがある場合です。

退避後は、環境改善するまで、立入禁止とします。
指名されたもの、しっかり呼吸マスクなどを装備して、酸素濃度等を測定する人等以外は、環境が改善するまで待機しましょう。

(避難用具等)
第15条
事業者は、酸素欠乏危険作業に労働者を従事させるときは、
空気呼吸器等、はしご、繊維ロープ等非常の場合に労働者を
避難させ、又は救出するため必要な用具
(以下「避難用具等」という。)を備えなければならない。

2 第7条の規定は、前項の避難用具等について準用する。

異常事態があった場合、避難器具や設備がなければ、退避が遅れてしまいます。
この時の遅れは致命的になりかねません。

呼吸器や地下などから出るためのハシゴやロープなど、避難用具を備えておかなければなりません。

避難用具は、使う前には必ず使えるかどうかをチェックしましょう。
そして、作業前に準備し、作業者に使い方と保管場所を周知しましょう。

(救出時の空気呼吸器等の使用)
第16条
事業者は、酸素欠乏症等にかかった労働者を酸素欠乏等の
場所において救出する作業に労働者を従事させるときは、
当該救出作業に従事する労働者に空気呼吸器等を
使用させなければならない。

2 労働者は、前項の場合において、空気呼吸器等の使用を
  命じられたときは、これを使用しなければならない。

酸欠で誰かが倒れた時に、すぐに駆けつけるのは危険なことがあります。
特に地下タンクなどの底で倒れているのを発見した場合、救助に向かった人も倒れるという、二次被害を生み出してしまいます。

酸欠で倒れた人を救出する場合は、呼吸マスクなどの空気呼吸器を使用しなければなりません。

すぐに駆けつけたくなるのは分かりますが、備えをしてから出ないと、自分も被害にあうのです。

(診察及び処置)
第17条
事業者は、酸素欠乏症等にかかった労働者に、
直ちに医師の診察又は処置を受けさせなければならない。

酸欠症状にかかった作業者は、必ず医師の診断を受けさせなければなりません。

一時的に回復したとしても、後から症状が悪化することもあります。
たとえ、作業者が平気平気といったとしても、必ず受信させるようにしましょう。

酸欠作業は、いつ事故が起こり、誰が倒れてしまうか分かりません。
万全な安全対策でも、環境の変化や、作業者の気の緩みまではカバーできません。

万が一に備える。
これが酸欠のような危険作業時の、大切な心構えです。

監視体制と退避方法の確保は、いざという時の大切な備えなのです。

まとめ。

【酸素欠乏症等防止規則】

第13条
酸欠等の危険場所では、異常があった場合、速やかに作業主任者等に連絡しなければならない。
第14条
酸欠等の危険場所では、危険が生じた場合、速やかに退避させなければならない。
第15条
酸欠等の危険場所では、避難するための器具を備えなければならない。
第16条
酸欠等の危険場所から救出作業を行う場合は、送気マスクなどの救援器具を使用させなければならない。
第17条
酸素欠乏症等にかかった労働者は、直ちに医師の診察又は処置を受けさせなければならない。